[Vol.8]
新田秀悦さん (新東総業株式会社 専務取締役)
2008年2月20日公開
包み隠さず、ありのままをさらけだして話す新田氏の言葉の背景には、ごっそりと言葉以上の情報が詰まっている。その言葉の背景にある、言葉にはならない情報で、人は、もしかするとコミュニケートしているのかもしれない。そう感じさせる新田氏の、熱くて芯のある「見えない言葉」が、他人を動かし、「一生かかっても叶わないもの」=「夢」を一歩一歩叶える道をつくっていく。
ユニクロは山口、大塚製薬は徳島。全部東京かと言えばそうじゃない
仙台商工会議所青年部の会長をさせてもらっていているのですが、「仙台から元気印の会社をつくろう」というのが私のスローガンです。私は経営者の"地域貢献"というものを、売り上げを上げて、利益を出して、税金を払うこと、なおかつ地元から社員を雇って、雇用を発生させ、会社が成長して継続すること、その税金が地域の公共工事に使われ、まちが潤うことだととらえています。
今年一億の売り上げだったら、来年は二億売り上げようと誰だって考えるはず。今年一千万の売り上げで、来年もずっと一千万でいい、って人はいないでしょう?翌々は宮城県一、全国一、世界一、という夢を誰だって持っていると思います。けれども仙台を見渡したとき、仙台から全国へ出た会社はどこかと言うと、名前が出てこない。ところが日本を見渡せば、ユニクロの社長だって山口出身で、今でも山口に本社がある。ポカリスエットの大塚製薬は、徳島。京セラや村田製作所は、京都。このように全部東京かと言えばそういうわけではなく、必ず地域から一社、二社、三社というように全国レベルの会社が出ているのです。
けれども仙台には全国レベルの会社が少ないから、これだけ不景気になるというのが自分のベースにあるので、それを今変えなきゃないと思っています。自分には夢があります。小さい夢は、東北一の会社をつくること。中くらいの夢は、日本一の会社をつくること。大きな夢は、ワールドワイドな仕事をしてみたいということ。そのためには、今何をしなければならないかとか、こうしなきゃならないということがあって、いろいろとやってます。
皆にお世辞だけど説得力があるねと言われるのは、本社が石巻で、石巻から仙台に出て来て、今は東北6県で商売をしているので、やってやれないことはないって言っています。本来であれば、東京に早く出ていって、今ITで活躍している人たちと一緒にやってみたいという気持ちもあるんだけど、やはり私は、石巻から出て宮城で育ててもらったので、絶対仙台から動くことはありません。それがポリシーとなって、今思っている夢を叶えてやるというスタンスでやっています。
特に若い人たちって、全部東京にある、って思っているじゃない。一番必要なものは、経験すること。経験はお金で買えないの。勉強は本を読めればできる。けれども自分の経験だけは、自分でノウハウを積んでいくことしかできない。如何に人よりも多く経験することができるかということが、人よりも一歩前に出ることだと思っています。
俺ら若手経営者は、学校に行って社会の構造を話していかないといけないよね
年に5、6回、頼まれて学校で講演をしています。そこで必ずね、校長先生と教頭先生が並んで「新田専務さん、よろしくおねがいします。世の中って厳しいですよね?子どもたちに、どれだけ世の中が厳しいか、ってことをしっかりと教えてください」って言われるんですけど、俺はそれが間違いだって思うの。だって俺がもし中学生だったら、世の中厳しいと言われたら絶対に働こうとは思わないよ。こっちが厳しい道で、こっちが楽な道だったら、100%楽な道に行くでしょ?学校の職場教育で、小中高生に世の中大変なんだよってことばかり言うから、ニートとフリーターが増えるんだって、俺はその先生たちに言うの。反対に、世の中や社会が、楽しくて夢があるところだよってことを教えたら、早く働こうと思うでしょ?先生たちのそういうスタンスが悪いんじゃないですか、っていつも言うのだけどね。だから講演を頼まれると、世の中どんなに楽しいか、何が待っているのかを話しています。世の中苦しいことなんていうのは、出ないとわかんないことだから。
―具体的にはどのようなお話をされるのですか?
まずは、感謝することを教えようとして、学校と会社のちがいを皆さんは知っていますか?って聞くのね。校長先生は社長です、教頭先生は専務です、と組織図を見せて説明していく。あなたたちはうちの社員と同じなんだ、うちの社員は売り上げをあげることをするんです。あなたたちは、一生懸命勉強するんです。仕事なんです。だから風邪を引いたからと言って休むと、会社では隣の人に迷惑をかけたり、仕事の工程が遅れて、次の仕事ができなくなるから、具合が悪くても会社に出てこなきゃいけないんだよ。あなたたちも同じように、30人の生徒がいる中で一人が休むと、先生だって学習進度を止めることだってある。また休めば休むだけ穴が開いて、覚えられないことが出てくるから、全体の工程がずれるってことがあるんですよ。そうなると、子どもたちの反応は、"仕事と学校って同じなんだ~"ってことになってくる。そこで最後に、じゃあ学校と仕事で大きく違うことがあるんだけど、何だかわかりますか?って聞くのね。あくまで無理やり一緒にすればだよ?大きく違うところはどこだろう?
―学校と会社の大きな違い、ですか?
いっぱい違いがあるなかで、俺が一番違うと思うところは、会社は行くとお金をもらえるんだよ、学校はお金を払って行くところだよということ。ということは、学校からすると来ても来なくてもいいんだよ。会社はお金払っているんだから、来なきゃならないんだよ。そういう認識があるんです、そういう大きな構造から見てみると。組織構造や仕事の中身で似通ったところがあるけれども、社会と学校は、お金をもらうか払うかで、大きく違うところがあるんですよ。となると、あなたはどこから収入を得ているのですか?お金を得ることを、皆さんは知らないわけですよね?皆さんは、お金を親からもらっているんですよ。俺は会社からお金をもらうと、それはもちろん働いた対価としてもらうわけだけど、有難いな、って思いますよ。あなたたちは親からお金をもらったときに、有難いと感じますか?
―子どもたちは、どんな反応でしたか?
子どもたちに、あなたたちは誰からお金をもらってるの?と聞くと、99%はお母さんだ、って答えるなぁ。それは多分ね、お父さんが働いて、お母さんにお金を渡して、お母さんがあなたたちにお金をくれているんだと思うよって説明するんです。次に、お父さんの給料日がわかる人は手挙げてと言うと、10人中9人は知らない。お父さんが給料をもらっているということ自体がわからない。そこで皆に言うのは、給料日にお父さんへ、ありがとうございます、とあなたたちは言わなければならないんですよ。そうじゃないと学校にも行けないし、次のステップというのも成り立たないんだよ。本来ならお金をもらうために働いて、今のことが成り立つんだけど、お父さんからお金をもらうことによって、今が成り立っているのだから、給料日にありがとうと言いなさい。後ろに立っているお母さんにも、お父さんの給料日を子どもたちに教えるということは最低限のことだ、と言っています。社会に出る前からそういう社会の構造を教えておかないと、会社に来て給料もらうのが当たり前だという態度で、仕事をしないで給料をもらうことだけを主張する子どもたちが生まれてくるんだよ。反対に、俺ら若手経営者は、学校に行ってそういうことを話さないといけないよね。先生は社会に出たわけではないし。俺たちがそういう活動をしないと、社員を雇おうとしたときに、まともな社員が育ってこない。そういうことが、教育に対しての私たち経営者の責任だと思っています。
―お金を切り口にすることで、学校に通える前提条件や他人とのつながり等、 本来そこにあるはずのものが可視化されるのですね。 そこから見えてくるのは、まさに社会の構造そのもの。 確かにそれは、学校という特異的な空間にはない発想なのかもしれません。
なぜ茶髪が駄目? 単純に頭から駄目と言っても、子どもたちは納得しない。
こういうことは、直接的に言ったほうが子どもたちもわかるんだと思うんだよね。お母さんにお金をもらったときに、ありがとうって言いなさいね。それをしっかり教えないと、会社に出てきても全く金銭感覚がない子どもたちが来るから、その辺から教えないといけないところがあるんだ。金銭感覚以外にも、服装のことを教えるんだよね。けれども小中学生にこの服装駄目だよって言っても、何が良くて駄目なのか判断つかないでしょ?
―頭ごなしに叱っても、具体的に何がどう駄目なのかは伝わりませんものね。
だから仕事できる人はかっこいいんだよ、って言うの。例えばスポーツがわかりやすいよね。スポーツがうまい人は、ユニフォームの着方がうまいって言うよね。レギュラーの人は、ユニホームの着方がかっこいいでしょ?服の着方がかっこいい人がうまいというのは、社会でも同じなんだ。単純にこの人、かっこいいと思いますかどうですか?スーツを腰まで下げていて、綺麗か綺麗じゃないかって言うのは見ればわかるべ。かっこいいという人を真似なさいって言うんです。でも小学生は、仕事ができる人、かっこいい人を普段見ていないんだよね。先生たちがスーツ着てないさ。スーツのかっこよさという価値観が子どもたちにはないから、俺たちがかっこよくスーツを着て学校に行くことによって、かっこいいっていうインパクトを小中学生に与えないといけないよね。やっぱり対象物があると、みんなわかるようになるから。
―確かに、ロールモデルが身近にいるかいないかで、大きな差がありそうです。
なぜ茶髪が駄目なんですか?芸能人の茶髪はよくない人間なんですか?と子どもたちに聞かれるけれども、そういうことではなくて、芸能人はいいんです。でも銀行行って茶髪がいますか?TPOで職業によっては、茶髪が駄目なものもあって、反対に茶髪にしなければならないような業種もあるんだ。やっぱりそういうところを家族でも何でもいいから見に行って、そうなんだと子どもに教えないと、単純に頭から「茶髪は駄目」って言われても、子どもたちからするとわからない。かっこいい素敵だなということを、TPOで実際に見せてやらないと、子どもたちは納得しませんよね、ということを親には言うんですよ。歳をとらないとわからないこともたくさんあります。社会構造を理解する能力がない段階で、子どもたちにそれを言葉で教えるのは難しいと思うんだ。だから感覚的なことで教えて、興味を湧かせることしかできないのかなって思っているの。だから、わからないことを問うよりも、いいことを教えることが良いのではと思っています。
大手の社員だから、一流大学に入ったやつだから、世の中成功するわけじゃない
商業高校などで講演することもあるんだけど、私は金持ちになりたいと言います。金はないよりもあったほうがいいですよね。堀江モンのような例は駄目だけども、お金を得るような商売をするためには、勉強をしなければならないんだよ。10人いたら9人は社員だけど、1人は社長だ。だったら社長になったほうがいい。社長になった苦しみはあるけど、得るものが多い。金銭的なものだけじゃなくてね。
―高校生にはどんなお話をされるのですか?
NYに3回ともビジネスクラスで行ったのね。ビジネスクラスで何がいいかって言うと、飲み食いは好きなものが出てくるし、リクライニングシートでリラックスしながら、本も読めてPCもできる。そこで空想に浸っているのが好きなんだよねっ~て言うと、そうなんだ~すごい、乗ってみたい、って高校生も言いだすんだよね。じゃあ、乗れるようにがんばったらいいじゃない、と言うと、え?!できるんですかね?という反応が返ってくる。できるよ。その代わり、商業高校を卒業するだけでは駄目だから、少し勉強して大学入って一流企業に入るか、一流企業入れなかったら自分で起業したらいい、と言います。すると高校生が、でも俺オール2だから駄目だって。オール2が悪いわけじゃないんだけど、俺には先がないって思っているんです。
―無意識のうちに諦めさせられてしまうような構図が、世の中にはたくさんあるように思います。
俺も石巻商業という商業高校だったのだけど、成績は下から数えた方が早かったんだよね。他は駄目だったけど、簿記では100点取れたから、簿記で推薦入学できる大学を探して、東京国際大学へ行ったんだ。そういう人でも頑張れば、ビジネスクラスに乗って、外国に行くことができる。大学だって、東北大学だけが大学じゃない。あがってからが問題なんだよ。大学時代は、単純に海外で仕事をしたかったから、ある有名な商社に就職したかった。でもこの会社(新東総業)に30歳になって戻ってきたとき、親父から、その商社の支店長とご飯食べに行くんだけど行くか?という誘いがあったの。憧れの会社だったから楽しみにしていったら、想像したほどのレベルじゃなかった(笑)。だから大手の社員だからすごくできるとか、一流大学に入ったやつだから世の中成功するわけじゃないんだよ。やればできるんだ、というような話を高校生にはしたりしています。
26、7歳になってはじめて、俺は自分では何もやってないことに気づいた
高校時代は3年間ひたすらバスケをやっていて、大学に入ってもバスケをやろうとしたんだけど、自分の実力のなさに落胆して、その当時流行っていたウインドサーフィンをやりはじめたの。ここでちょっと自慢話なんだけど、スポンサーももらって、4年間ハワイにも行ったんだ。日本で5本指に入るランキングにも入ったの。今も現役で活躍しているプロサーファーの山崎さんに当時は教えてもらっていて、チームを背負ってやっていました。大学四年生の春、山崎さんが"新田、お前どうするんだ?"と俺に聞いてきたの。"就職しないのか?"って聞くものだから、俺は就職しないですよ、プロになるんだ、って言ったのね。そしたら山崎さんが"やめろ"と言ってきた。
―山崎さんは、なぜ新田さんにサーフィンをやめるように言ったんですか?
"お前は多分このまま行けば、日本一になって、ウインドサーフィンで食ってはいけるだろう。けれどもお前が努力以上に実力をつけたのは、親父さんが仕送りをし続けたからだ"って言うんだよね。普通の人は一生懸命バイトをして、自分たちの時間をつぶして練習をしているわけ。けれども俺は、親父の仕送りで、ハワイで年がら年中、練習できたんだ。環境が良かったんだね。だから山崎さんに、"お前はこの世界にいる人間じゃないから、帰れ"って言われたんだ。
―すべて自分の実力だと思っていても、見えないベースに環境の力があったのですね。そこで新田さんはどう答えたんですか?
当時俺は天狗だったからさ、そこでカチンときて、何ででですか、俺がいなくなったらこのチームはどうなるんですか、お客も半減するよ、って山崎さんに言ったんだよな。けれども山崎さんには"お前いなくても、どうにでもなるんだ"って突っ返された。その後、俺は海にも行かなくなって、親父のコネで就職活動して、山崎さんとはずっと音信不通にしていたんだ。それで2年か3年たってからかな、山崎さんから電話かかってきたんさ。"お前にはああ言ったけど、一人息子をこの世界に引き込んで、お前の親父に悪いと思ったんだ。ちゃんと就職してわかったべ?一生波乗りできるように、ボード送ってやるから"。山崎さんとは今でも交流があるし、そのもらったボードで今でも波乗りをやっているの。そういう人に恵まれて、俺の今があるんだな。
―山崎さんとの出会いには、今の新田さんにとってどのような意味があったとお考えですか?
26、7歳になって、はじめて俺は自分では何もやってない、ってことに気づいたんです。大学四年間は、波乗りしかやってなかったし。26、7になって、俺、このまま親父の会社に帰ったら大変なことになる、って本気で思った。そこではじめたのが、本を読むこと。ビジネス本を読むことに決めて、今でも週3、4冊は読んでいます。最初は読めなかったけど、今では読めるようになりました。そこに共通して書いてあったことは、"当たり前のことを当たりにやれば、世の中通っていく"ということなんです。でも当たり前のことを当たり前にやることが、一番難しいんですよ。例えば、具合が悪くなって、たまたま朝の挨拶をしなければ、"なんでお前は挨拶をしなかったんだ"と叱られるところから一日がスタートしてしまいます。今日出す約束をしていた見積書を17時までに出せなくなってしまったとして、じゃあ次の日の9時に出そうなんて考えていたら、次の日朝一番でお客様からお怒りの電話が来て、それが契約破棄につながることだってあります。いろんな理由で当たり前にできないっていうところに難しさがあって、世の中のビジネス書には、言葉と形が変わっているけど、中身は全部同じことが書いてあったんです。10あるうちの8は同じで、あとの2が特別なことが書いてあるだけ。そういうことを、30歳になる手前のところで、わかるようになったんです。成功しようと思えば、本を読めば大体わかる。あとは、経験です。熱いか冷たいかと言うことは、どんなに本を読んでも、本当に熱いかどうかは手を入れて見なければわからない。でも熱いってことだけは本読めばわかるのだから、手の入れ方に工夫はできる。そういうところで努力をしていれば、誰にでも負けないようになるよ、という話を高校生にはしています。
一生懸命自分たちでやらない人たちは、子どもたちの「なんで?」に二の句を継げない
こういった話はどこに行ってもする話なんだけど、高校生は大体皆、へ~って聞いて、じゃあ本を読み出そうかなという人が出てくるけど、続く人は何人いるのかな(笑)。でも子どもたちは、"当たり前"ってことは感覚的にわかるんだよな。
―飾りのない言葉で、正直にさらけ出してお話されているからこそ、高校生も頭だけでなく、体でそのメッセージを感じられるのかもしれません。
何かを教えるということは、やっぱり体験談だと思うんだ。かっこつけて都合の良いところだけをしゃべっても、子どもたちはそれが嘘だとわかると思う。例えば、都合悪いところだけは言わないでだよ、本を読まなければいい学校に行けないんだよって言った時に、じゃあ本当にそうなの?ってなると、そこまで努力した人が近くにいなかったりするんだよ。自分たちが勉強しない人たちは、なぜ勉強しなければならないかというところの、後ろの言葉がないわけだから、子どもたちのなんで?に二の句を継げないんだな。勉強しろ、勉強しろと、やる気のない子どもに言ってもしょうがない。何か目的を持たせないと駄目な印なんだ。俺は、27,8まで、本なんて一冊も読んだことはなかった。本を読めなきゃ駄目だ、天声人語を読まないと駄目だ、って人は言うけど、俺は未だに天声人語が読めない。でもこうやってやっていけているということは、それと違うところがあるんじゃないの?そういうものがあってもいいでしょ?ということなんです。
じゃあ勉強しなくても新田さんみたいになるんじゃないの?っていう反応に子どもたちはなるんだけれども(笑)。俺は苦労して26、7になってから勉強したけれども、でもそれを20歳からやっていたら、もっと上にいけたはずだ、と言うんだね。みんなは笑って聞いているけど、50人に1人か2人が、もしかしたら"よし俺がやってやる"って思って本当に動いてくれる人がいればいい。みんなが一緒、ってわけではなく、そういう人を育てれば、数学ができなくても、いつかどこかで羽ばたくかもしれないしね。自分の仕事も一生懸命やるけど、子どもたちにもそういうことを伝えて、夢を持たせて進ませないといけないかなぁと思うの。夢って叶わないものだから、叶えてやるっ!てあがくんだよね。一生かかっても届かないものに、がんばらせるようなものがないと。目標と言うのは叶うもの。基本的には叶わないものを夢って言うと俺は思う。今の子どもたちにはそういうところを教えないと、何も伝わらないよね。
―言葉というものは不思議なもので、たとえ同じ言葉を発したとしても、言葉の背景にその人の体験に根ざしたものがごっそりとつながっていることを感じると、言葉にならないものまで伝わってきます。反対に、言葉の背景に何もない場合には、何も伝わっていないのかもしれません。
みんなには、"お前45歳にもなって子どもみたいに日本一になってやるとか、何言ってんの"って言われるけども、"そうだね、できないね"って言ったら、それで終わりなんだ。死ぬまで俺は求め続けるから。そして死んだ時にお前らが言ったことを判断するから、お前らの言うことは聞かないって言うと、"また、はじまった~"ってなるのだけどね。でもそういうことを俺はずっとやってきたし、それをいろんなところで伝えるの。そうするとついてくる奴もいる。一生懸命真面目にやって、経験を積んだり、肌身で感じたりしなければ、成長はないんだよね。社会人になっても一緒さ。誰かが教えてくれて体験させてくれる人がいないと、自分の頭の中で、最高のことができると思い込んで、成長が止まってしまう。俺の場合は、山崎さんが忠告してくれた。当時は足を引っ張られたと思ったけど、一生懸命真面目に生きていけば、共感を得て、忠告をしてくれる人や、親身になって話してくれる人が出てくる。如何にそういう人たちをいっぱい抱えるか、それが成功する秘訣だと思うんだよね。俺には、数学や理科や社会を教える能力はないけど、子どもたちにも、そういうことを教えたい。あとは、それをいつどこで感じるかだよね。ラッキーなやつは、小学生で気づいて一生懸命勉強して、出世するかもしれないし、大学を出る間際で気づく人もいるだろう。でもそれでも遅くない。熱く伝える人がいて、それをはっと感じたとき、俺やろうと感じた人が、成功するのだと思う。学校でもそういうことを教えてやれば、俺、子どもたちも動くと思うんだけどなぁ。
コラボレーション
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