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2024年 11月 21日 (木)

宮城県仙台第一高等学校一年生 浅野 大輔 さん

2008年4月24日公開


現役高校生は何を考え、何を思っているのだろうか。2006年「中学生王将戦」全国大会で優勝した実力を持つ、宮城の将棋界期待の星・浅野君は、「自然体でやれている」と現状を語る。「自分の意思でやること」を体現している浅野君のありのままの姿を追った。


他のものに制限されない、自分の意思でやれることが楽しい。

-普段は何をしているの?

普段は、学校と部活、たまに塾をやっています。
将棋は1日1時間くらい練習しているけど、あまり練習してない。

-将棋の練習はどんなことをしているの?

将棋のうまい人の手順を見て、勉強しています。
先手・後手と言うのだけど、差し手が書いてある紙を読んで、
中盤の細かいところとか、プロ独特の差し手を学んでいる。

-学んでいるときは、どんな気持ち?

考えているときが、楽しい。
自分で自由に、駒を動かせる。
他のものに制限されない、自分の意思でやれることが楽しい。

-浅野君にとって、一番、自分の意思でやれる場が、将棋と言うこと?

そうです。全国に行ったとき、それを一番すごく感じた。
自分の意思で進んだ。やっぱり、それはいいこと。

-それって、ふわーっと、心の中から、喜びが湧き出てくる感じ?

ふわーとなります(笑)。でも負けるとその分、すごく悔しい。
自分の意思でやったのに、って。

-他人から言われてやったことは、「別にやりたかったわけじゃないし」って言い訳できるけど、
自分の意思でやったことだからこそ、悔しいんだよね。将棋は、いつからやっているの?

将棋は、小2からはじめました。おじいちゃんの形見だったのを覚えています。
将棋はお父さんに教えてもらいました。
小学校の頃は、サッカー、将棋、勉強をしていました。
中学校になると、その中で、将棋が一番になった。

-その時、将棋が一番、自分の意思でやれる場になった、ってこと?

うん。将棋、やっぱり。
学校だと、先生にあれこれと言われる。
先生が正しいこと言っているときはいいけど、
そうじゃないんじゃないってときも、「絶対に正しい」という顔をして怒ってくる。
それに反抗したら、また怒られるし。
どうせ怒られることはわかったから、言っても無駄だなと思った。

-今はそういったことを、感じている?

今はあまり感じなくなった。


自由な分、責任があると感じている。そこらへんは、みんなちゃんとしている。

-仙台一高に対しては、どう感じている?

他の高校はわからないけど、授業中みんなハイテンション。
ちょっとつかれちゃったけど(笑)。
あと、小学生や中学生が、普通に学校に入ってくるんです。それにびっくりした。

-一高は、小学生の通学路になってるらしいね。

この間、小学生が校庭で、普通に野球してた。一高、自由だから・・・(笑)。

-あと、これは一高、普通じゃないかなぁって思うことは?

上靴がないこと。

-上靴ないのは、いいと思う?

履き替えるのが面倒だから、いいと思う。
あと、体育館の2階にトレーニングルームがあるのだけど、自由に使える。
普通、高級な設備には、見張りの先生がいたり、許可が必要だったりするけど、
仙台一高には、見張りの先生もいなければ、先生に許可を取らなくてもいい。
名前だけは書くけど。
けれども自由な分、責任があると感じている。
そこらへんは、みんなちゃんとしている。

-自由だけど、なんでもいい、ってわけではないんだね。

あとは、普通に、休み時間、家に帰ったりする人もいる。
それも最初、びっくりした。
普通、学校の途中で帰っちゃいけないと思ってて。
でもみんな、ちゃんと時間に帰ってくる。

-自由だけど、その分、自分で責任を持って行動する、っていう感じなんだね。
それって、浅野君の「自分の意思でやる」というスタンスに合っていると感じる?

いいなぁ、自由だ、って思う。
自然体でやれていると思う。
最初は不思議に思ったけど。

-じゃあ、もし「自分の意思でやっちゃだめ」って禁止されたら、どう思う?

発展がない。おもしろくなくなる。


問題が解けても、他の解き方を考えたりする。そうすると、発展していく。

-今一年生(※取材時)で、受験勉強はまだまだ先だと思うけど、
 この先、勉強に対しても、自分の意思でやれそう?

今は、自分の意思でやれている感じがする。
今はあまりプレッシャーを感じていないけれども、そうならないように今からしたい。
高校は、中学と違って、勉強は毎日しないと駄目かなぁと思ってる。
でも、自然体で受け止めたいと思ってる。

-授業は楽しい?

面白いのと、つまんないのがある。
特に一高生は、数学で悩んでいる人が多い。
みんな真面目に受けてるんだけど。

-浅野君は、どんな授業が一番楽しい?

先生の無駄話が、けっこう楽しい。
国語の平居先生とか、一番無駄話が多くて、
自分の趣味から入っていくから(笑)、話が上手。
数学は楽しい。将棋やっている人は、みんな数学が好きなんじゃないかな。
英語は苦手。なんでだろう?難しいわけじゃないけど、なぜか眠い。
起きなきゃーっておもってるんだけど、でも1、2回寝ちゃったことがある。
将棋やっている人の、典型的なパターンな気がする(笑)。

-数学も、将棋みたいに「自分の意思」でやっているかんじ?

勉強もそんなかんじ。
問題が解けても、他の解き方を考えたりする。
そうすると、発展していく。


自分がそれなりにできると思っていても、まだまだ上がいる。その分、がんばれる。

これまで一番うれしかったのは、中3の頃、将棋の全国大会で優勝したとき。
流れで、優勝するかしないかがわかる。

-「流れ」って、別の言葉で言うと、どんなかんじ?

予選や決勝トーナメントで、
「序盤、自分は悪いけど、最後、自分がひっくり返した」ことが2、3回続くと、
優勝することがわかる。

-逆に、油断はしない?

ない。 逆に、緊張していると、力が入りすぎて駄目だから。
それだと、力が出せない。
ちょうど、決勝戦の相手がそんな感じだった。
序盤は相手がリードしていたけど、負ける気はしなかった。
最後、自分がひっくり返した。

-よくスポーツやゲームで「流れ」って言うけど、それをすごくかんじているんだね。

よく言えないけれども、流れを感じてる。
中学校のときは、大会で勝っても、学校側から何かを言われることはなかったけれども、
高校は大会が多いので楽しい。

-どれくらい、大会があるの?

平成19年度は、4つ県の大会があった。団体戦をあわせると、5つ。
そのうち4つは優勝した。団体戦は準優勝だった。

-高校の大会は、中学生の大会と、ちがう?

全国トップレベルに会ったけれど、全然レベルが違った。
目に見えるのは一手差でも、感じるものとして違った。
次はぬかしてやる、って思った。

-そういう差って、将棋以外にも感じる?

将棋以外の場では、あまり感じない。
勉強だとあるかな。スポーツとかでもそうだと思う。
自分がそれなりにできると思っていても、まだまだ上がいる。
その分、がんばれる。

-「自分の意思」でやっているから、そう感じられるんだね。
では、もっとこうだったらいいのに、っていうことは、何かありますか?

もうちょっと自分が勉強できたらなとか、将棋で優勝できればいいな、
というのはあるけど、学校に対してはない。


「勝負手」はあまりやりたくない。日頃から考えることを心掛けている。

-では、中学校と高校の違いはありますか?

前よりも忙しくなった。将棋も勉強も、忙しい。
それが逆に、充実してるなと思うけど。

-ちなみに、中学生の頃、仙台一高に対するイメージはありましたか?

家族や親戚がみんな一高だったし、小さい頃から「一高に行け」と言われていたから、
中2の段階で迷わず一高を選んでいた。

-最後に、中学生へ、何かアドバイスはありますか?

日頃から、考えて勉強することが大切。
例えば、中3の4月で偏差値50くらいでも、あと一年だからいけると思う。
4月とか、総体終わった6月くらいから考えて、
どれくらい勉強したら、希望する高校に入れるかを考えると、
そんな大変なことにはならないと思う。

-それって、将棋にも通じるところがあるの?

将棋でも、「勝負手(勝負が苦しい時に、局面を打開するために放つイチかバチかの1手)」っていう、相手をどうにかしてごまかす手があるのだけど、
それはあまりやりたくないと思ってる。
将棋でも、考えることを心がけている。

―どうもありがとうございました

【大草芳江】

取材先: 仙台一高      (タグ: , ,

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