ヘッドホン作り、音の伝わるしくみ学ぶ ソニーものづくり教室
2010年08月06日公開
ソニー仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で4日に行われた「ソニーものづくり教室」のようす
ソニー仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)で4日、「ソニーものづくり教室」が開催され、市内の小学5・6年生20人がオリジナルヘッドホン作りを通して、音の伝わるしくみを学んだ。
同センターを訪れた子どもたちは、ソニー製品を紹介する展示室や社員食堂、ブルーレイ工場を見学。続いて、エンジニアの遠藤敬太郎さんらソニー社員の指導で、ペットボトルと牛乳パックを使ったヘッドホン作りに挑戦した。
ペットボトルと牛乳パックでヘッドホン作り
ペッドボトルを切断し、フィルムをドライヤーの熱で圧縮し、ヘッドホンの耳あてを作成
20メートルの導線をペットボトルに巻きつける「コイル巻き」に子どもたちは悪戦苦闘
導線にオーディオケーブルをつなげ、キャップに磁石を張り付け、ヘッドホン部分の完成
まず、ペッドボトルをはさみで切断し、はしを切りそろえ、ペットボトルのラベルのフィルムをドライヤーの熱で圧縮し、ヘッドホンの耳あてを作成。
次に、20メートルの導線をペットボトルに巻きつける「コイル巻き」作業で、子どもたちは「うまく巻けない」「大変だ」と悪戦苦闘。遠藤さんらは「本物のヘッドホンは、機械がぐるぐる巻いてつくるんだ。でも自分の手でつくるからうれしいんだよ」と子どもたちを励ましていた。
続いて、導線の端をやすりで磨き、オーディオケーブルをつなぎ、ペットボトルキャップに磁石を貼り付けて、ヘッドホン部分の作成完了。さらに牛乳パックでつくったヘッドバンドを取り付けて、オリジナルヘッドホンが完成した。
オリジナルヘッドホンから音が流れることを確認する子どもたち
子どもたちはオリジナルヘッドホンを装着し、ウォークマンなどにつないで音楽を再生。音が流れてくることを確認すると「本当に音が聞こえた!」と歓声を上げていた。
城南小学校5年生の男子児童は「売っているものより、自分でつくったものの方が、聞きたいと思うし、楽しく聞こえる」と嬉しそうに話していた。
音の伝わるしくみ学ぶ
ヘッドホン完成後、音の伝わるしくみについて講義が行われた
子どもたちがヘッドホンを完成させた後は、音の伝わるしくみについてソニー社員が講義。まず、音とは鼓膜が感じる振動であることに気づかせ、ヘッドホンの振動が空気を伝わり耳に届くことで、音として認識できることを伝えた。
次に、ヘッドホンを振動させるために、電流と磁石の不思議な関係を利用していることを説明。電流が流れたところは磁石のように振舞う性質があり、「何度も導線を巻いたのは、より強力な磁石をつくるためだったんだよ」と解説した。
続いて、電流の向きを変えることで磁石の向きが変わることを、デモストレーション実験で披露。コイルに流れる電流の向きを切替る度に、磁石が浮いたり沈んだりして、振動することを示した。
電流の向きを切替える間隔を短くするにつれ、だんだん高い音になることを示すデモストレーション実験のようす
さらに、電流の向きを切替える間隔を短くするにつれ、単位時間あたりの振動数が増え、だんだん高い音になっていくデモストレーション実験を行った。子どもたちは身を乗り出しながら、その様子を興味深そうに眺めていた。
最後に、ウォークマンなどのオーディオ機器が発信した電気信号が、コイルと磁石の働きにより、ペットボトルそのものを振動させることで音が伝わることをまとめ、「身のまわりの家電製品も、同じ原理で動いているんだよ」と説明した。
城南小学校5年生の女子児童は「自分でつくったヘッドホンで音が鳴ったことに驚いた。音は振動だということがわかった」と話していた。
主催者の声
◆いろいろなことに興味や疑問もって
(エンジニアの遠藤敬太郎さん)
エンジニアの遠藤敬太郎さん
私にも小5の娘がいるが、(小学5・6年生は)いろいろなことに興味を持ったり、疑問に思ったりする時期。今回の教室は、身近な材料だけを使ってヘッドホンをつくるため、ブラックボックスではなく、しくみは単純明快。それだけで音が聞こえる驚きと感動を味わってもらうと同時に、なぜこれで音が聞こえるの?と疑問が湧くと思う。この教室を通じて、子どもたちの探究心や想像力が膨らむことを期待している。
今回の教室では、ものをつくる過程で、失敗しながらも、音を聞くことができた達成感を味わってもらえたと思う。また、音の伝わるしくみを説明するデモストレーション実験を行ったが、その時の子どもたちの表情を見て、やってよかったと感じた。
子どもたちには、いろいろなことに興味や疑問を持ち、それを知ろうとする気持ちを今後とも持ち続けてもらいたい。
◆自分で考えて、行動することが大切
(ソニー仙台テクノロジーセンター代表の伊藤努さん)
ソニー仙台テクノロジーセンター代表の伊藤努さん
主催者側のプログラム通りにものをつくらせるのではなく、子どもたち自身が主体的に課題を受け止め、自律的に動けるような体制づくりが必要だと感じた。
単に子どもたちに「ものづくりのチャンス」を与えるのではなく、子どもたちが自ら考え行動できる環境が大切だ。主催者は、子どもの安全や課題進行を考え、子どもたちを思い通りに動かそうとする。もっと失敗を認める余裕があっても良いかもしれない。自ら試行錯誤し、そして成功することで、また次の興味が生まれる。
次世代を担う子どもたちには、いろいろなことに興味を持ち、自分で考え、行動して欲しい。私たちは、そのお手伝いを継続していく。
コラボレーション
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