[vol.4]
第4回宮城の日本酒を楽しむ会 (2008.03.10)
2008年7月30日公開
昨年大変ご好評を頂きました「日本酒を楽しむ会」の第4回目を開催いたしました。
昔ながらの酒造りにこだわる蔵元をゲストに迎え、三陸石巻直送の美味しいお魚と、
こだわり地酒屋の薀蓄を肴に、宮城の恵みを満喫するこの企画。
若い年代の方や、もっとお酒を知りたいという方、「日本酒はちょっと...」という方にも、
ぜひ一度、日本酒の世界を五感で「再発見」して頂けるような会を目指しています。
酒に対する情熱は人一倍の大沼さん。酒への思いを語り出したら止まらない。
藩政時代の物流の拠点だった"蔵の町"宮城県村田町に酒蔵を構える、正徳2年(1712年)創業の老舗。以来300年余、旨い酒造りを目指し、伝統の寒造りの技を活かした高品質な酒を醸している。
ユーモラスなトークで、人を惹きつける曜平さん。親しみやすい人柄が魅力。
岩手と宮城の県境に位置する金成の地で、江戸時代末期天保年間に創業され、170年以上の長い歴史と伝統の中で、酒造りに飽くなき情熱を傾けている。「日輪田」は、次期蔵元・佐藤曜平さんのブランド。
「今回のリストは会心の
出来」と阿部さん。
今回もこだわりの地酒屋・阿部酒店さんのご協力を得て、美味しい日本酒をご用意いただきました。「乾坤一」の大沼さんや「萩の鶴・日輪田」の曜平さんにもご協力頂き、大変豪華なラインナップが実現。実は、このお酒の並び方にも、阿部酒店さんのこだわりがあるのです。
いろいろな切り口でお酒を比較できるように、考慮されたリストです。
また、まだ商品化されていない秘蔵酒や、鑑評会で金賞や首席を受賞したお酒など、
普段はなかなか口に出来ないお酒もリストに含まれていますので、
この機会にいろいろと比較しながら、自分の好みの条件を探してみてください。
Q.「純米吟醸」、「純米大吟醸」とは?
純米とは、名の通り、お米のみでできている(「米・米麹」と表示されています)日本酒です。「純米酒」、「純米吟醸酒」、「純米大吟醸酒」に分けられます。
Q.「吟醸」と「大吟醸」の違いは?
精米歩合(玄米からどれだけ削って残すか)で決まります。つまり、精米歩合が低いほど、玄米が削られていると言うことです。違いがわかりやすいように、下の表にまとめてみました。
醸造アルコールを添加する 【原料】米、米麹、醸造アルコール |
精米歩合 | 醸造アルコールを添加しない 【原料】米、米麹 |
---|---|---|
大吟醸 精米歩合 | 50%以下 | 純米大吟醸 |
吟醸 精米歩合 | 60%以下 | 純米吟醸 |
本醸造 精米歩合 | 70%以下 | 純米酒 |
普通酒(※1) | その他(精米歩合関係なし) | 純米酒(※2) |
※1
一般に流通している日本酒の大部分。米、米麹以外にも、醸造アルコール、糖類、酸味料、化学調味料、酒粕などの添加が認められている。
※2
2004年の規制緩和によって、米だけで造ってあれば、どんな精米歩合であっても純米酒の名称を認められるようになった。
Q.「BY」って何ですか?
BYとはBrewe(醸造)Year(年度)の略です。つまりBY18なら、平成18年度(平成18年7月から平成19年6月までの間)に造られたお酒ということです。
Q.「生」と「生詰」って違うんですか?
日本酒は、酒質の固定と防腐対策の為、通常二回加熱処理(火入れ)を行うのが一般的です。一回目は貯蔵して熟成させる前、二回目は瓶詰めして出荷する直前です。「生」とは、火入れの一回目も二回目もしないこと。「生詰」とは、火入れ二回目だけをしないこと(詰めるときは、生ということ)。その他にも、「生貯」と言って、火入れ一回目だけをしないこと(貯蔵するときは、生ということ)があります。つまり、「生詰」も「生貯」も、完全に生であると言うわけではないのです。
Q.「斗瓶取り」って、何ですか?
日本酒は通常、もろみを袋に入れ、槽(ふね)と呼ばれるしぼり器でしぼられます。この槽を使わずに、もろみを布袋に入れて圧力をかけずに、その袋を吊るした重みで滴ってくる雫を採り、「斗瓶(とびん)」という18l 入りの瓶に入れて熟成させた酒を「しずく酒」「吊酒」「斗瓶取り」と言います。槽を使うものと比べて雑味が少なく、労力の割に取れるお酒は僅かですので、一般に出まわるのは僅かです。そのため、斗瓶取りをする酒とは、同じ仕込酒の中でも特別の酒。最上級の搾りの貴重なお酒なのです。
Q.「中取り」って、何ですか?
新酒を搾り取る際、一本の仕込タンクの中でもお酒の状態には3つの順序と特徴があり、それぞれに「あらばしり」「中取り」「責め」という名前があります。一番最初に出てくるお酒は薄く濁っていて、「あらばしり」といいます。次に、最も酒質の良い透明な中ほどの部分のみを瓶詰めしたものが「中取り」です。「中取り」が出おわると、最後は圧力をかけてお酒を絞り出します。圧力をかけて搾ることを「責め」といいます。「中取り」は、この3つの中で最も味と香りのバランスが優れた酒。つまり「中取り」は、最良部分だけを商品化した、言わば贅沢品なのです。
お酒を楽しむ上で大切なもののひとつに、空間や雰囲気があります。
今回の会場は、阿部蒲鉾店様のご好意で、阿部蒲鉾店本店「笹生の里」をお借りすることが出来ました。
敷地内の茶室や神社は竹林と静寂に包まれており、街中であることを忘れさせてくれる素敵な空間です。
阿部蒲鉾店さんには、この場を借りて感謝申し上げます。どうも有り難うございました。
15時会場前に、お酒のチェックをする「萩の鶴」の曜平さん。 その奥では、「乾坤一」の大沼さんが、お酒を利いています。 まだ造りは完全に終わっていない時期であるにも関わらず、 お忙しい中はるばる足を運んで下さり、感謝感激です。 また今回のために、お酒についても様々な配慮を頂きました。 本当にどうも有り難うございます。 |
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15時受付開始と同時に、自由な利き酒タイムです。 全18種類のうちから、目隠ししているお酒と同じものを 選ぶ利き酒クイズも実施中です。 皆さん、黙々とお酒の香味を確かめています。 |
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今回も定員いっぱい(30名)のご参加、有難うございます。 参加層は、いつも通り、私と同世代の方や日本酒初心者の方が 過半数を占めましたが、(自称?)日本酒通の方にも、 多数ご参加頂きました。参加者の幅と輪が、 少しずつ広がってきたような印象です。 |
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阿部蒲鉾店の大宮さんにもご参加頂きました。 大宮さんは、「笹生の里」1階ミニ工場の工場長さんです。 なんと当会のために、当日「笹生の里」オリジナル笹かまぼこを 人数分、焼いてくださいました!何から何まで有難うございます。 笹かまぼこと日本酒の組み合わせが楽しみです。 |
今回もお料理を担当してくださいました、 「三陸おさかな倶楽部」の津田さんご一家です。 今回も、石巻からはるばるお越し頂き、感謝感激です。 お父様の目利きで選別した魚と、 お料理上手で知られるお母様の手間隙かかった自家製惣菜、 そして長男であるお魚王子こと津田さんの絶妙なトーク。 これを毎回楽しみにされている方、実は多いんです。 |
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「身が厚くて、とろけるように美味い」と、毎回大好評の お刺身です。お酒との組み合わせを是非お楽しみ下さい。 個人的な話にはなりますが、私は赤くない(つまり生の) ホッキ貝をはじめて見ました。 |
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「あかうおの煮魚が本当に美味しかった」と会終了後、 色々な方からコメントを頂くほど、大好評の煮魚。 津田さんのお母様が、こだわりと愛情を込めて、 じっくりとつくってきてくださった一品です。 こちらもお酒との組み合わせが楽しみですね。 |
最初の30分は、お酒のみを比較して味わって頂きました。 次に、お酒とお料理の組み合わせで、どのように お酒の印象が変わるかを実際に体感して頂きます。 前列にあるお酒はご自由に注いで頂けます。 蔵元さんたちとの会話に花が咲く参加者の皆さん。 とても熱心にいろいろな質問をされています。 |
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今回は、「お酒をもっと知るための30分」コーナーを設けました。 阿部酒店さんから、お酒リストの説明や、 蔵元さんからお酒造りに対する思いなど、 参加者との双方向のやりとりが増えるように配慮しました。 |
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「乾坤一」の大沼さんや、「萩の鶴・日輪田」の曜平さんからは、 今回の出品酒の位置づけや、その思いをお話頂きました。 造っている方の顔を見て、その意図などを聞くと、 またぐっとお酒の味わい方に変化がでてくるから不思議です。 |
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参加者からは、 「お酒の雰囲気を人に伝えるために、どのような表現をしたらいいと思いますか?」 「乾坤一さんがささにしきを普段使われている意図は?今回ささにしき以外のお米を使っている意図は?」 「酒に賞味期限はあるの?」「自分の好みの酒をどう選べばいい?」など、 活発な質問が交わされました。 |
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「高いお酒が美味しいのは当たり前。 普段飲めるお酒で美味しいものを造りたい」と曜平さん。 「日本酒を楽しく飲むと幸せになれます」と、 比較することで好みの日本酒を見つけられる楽しみを語る大沼さん。 これまで口にしたお酒も、造り手の思いを知るだけで、 さらにそのお酒が身近になるように感じます。 |
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終始和やかな雰囲気で、皆さん お酒とお料理と蔵元さんのお話を楽しまれていました。 |
今回参加してくださった皆さん、ご協力頂いた皆さんの集合写真です。
皆様、どうも有り難うございました。
最後におまけ。 反省会も兼ねた二次会は、国分町にある「一心」さんで行いました。 予想を上回るおよそ20名の方にご参加頂き、ほぼ貸切状態。 |
さすがにどれも美味です。
司会進行の緊張も解け、リラックスしてお酒とお料理を頂きました。
阿部蒲鉾店の大宮さんに、またまた差し入れを頂いてしまいました。 さりげない心遣いに、本当に感謝です。 |
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写真ではちょっとわかりづらいですが、 「乾坤一」の大沼さん(写真中央)の隣で、大沼さんの真似をしている 「萩の鶴」の曜平さんです(写真左)。 最後まで、楽しい時間をすごすことが出来ました。 大沼さん、曜平さんをはじめ、 阿部酒店さん、三陸おさかな倶楽部さん、阿部蒲鉾店さん、 そしてご協力頂きました皆様には心より感謝申し上げます。 |
【世話人】
亀岡の地酒屋 阿部酒店 阿部隆之さん
宮城の地酒を豊富に取り揃えている、こだわりの酒屋さんです。 その徹底した品質管理から、蔵元からの信頼も厚く、ここでしか手に入らないようなお酒(特約店のみの販売)が数多くあります。阿部さん主催の「お酒を楽しむ会」で、私は日本酒の世界の楽しさ・奥深さを教えてもらいました。お店に行けばいろいろなアドバイスや情報を教えていただけるので、楽しくお酒を選べます。詳しくは、阿部酒店のホームページをご覧下さい。(阿部さんはビルゲイツと同じように人差し指だけで毎日ブログを更新しています)
http://www.abesake.com/
【協力蔵元】
大沼酒造店(「乾坤一」醸造元) 大沼充さん
藩政時代、物流の拠点だった"蔵の町"宮城県村田町に酒蔵を構える、正徳2年(1712年)創業の老舗の蔵元さんです。縁あって今年に入って2度も「乾坤一 大吟醸原酒 斗瓶取」を頂く機会があり(平成18年度全国新酒鑑評会金賞受賞酒とは知らずに飲んでいました)、その美味さに感動していたところ、丁度ゲストに来て頂けて感激でした。大沼さんのお話からは、いつもお酒に対する熱い思いを感じずにはいられません。もっとお話を伺いたくなるような方です。
【協力蔵元】
萩野酒造(「萩の鶴」「日輪田」醸造元) 佐藤曜平さん
岩手と宮城の県境に位置する金成で、江戸時代末期天保年間創業の蔵元さんです。「萩の鶴」を頂くと、ほっとする方の気持ちが最近私もわかるようになってきた気がします。「高いお酒で美味しいのは当たり前。手頃な値段で美味しいものを提供したい」という曜平さん。一消費者としても、実際そのようなお酒に出会えると、造り手の努力に感激してしまいます。また当日は、ユーモアを交えた歯に衣着せぬトークで場を盛り上げて下さいました。「日輪田」は、そんな次期蔵元・佐藤曜平さんのブランドです。
【お料理協力】
三陸おさかな倶楽部 津田さんご一家
「本当に美味しいものを、欲している人に提供したい」と 質にこだわり、決して安売りはしないという姿勢を貫く、宮城県石巻市のこだわりのお魚屋さんです。 前回に引き続き、今回のお料理もすべて津田さんにお願いしました。お父様の目利きで選別した魚と、お料理教室でも大好評だったと言うお母様特製の「あかうお煮魚」は、当会でも大好評。お魚王子こと・長男の津田さんは、五橋に"お魚屋さんらしくないお魚屋さん"を開いています。詳しくは、ホームページをご覧下さい。 http://osakana-club.jp/
【会場協力】
阿部蒲鉾店本店「笹生の里」
仙台土産の代名詞と言えば、「笹かまぼこ」。笹かまぼこの老舗・阿部蒲鉾店「笹生の里」(仙台市青葉区大町)では、本格的な笹かまぼこの手焼き体験や、製造工程を学べます。敷地内の茶室や神社は竹林と静寂に包まれており、街中であることを忘れさせる素敵な空間です。 阿部蒲鉾店さんは、製品の安全性向上への貢献、地域社会への貢献、商品開発の独創性、技術の普及を評価され、平成19年度(第29回)食品産業優良企業等表彰事業において、「農林水産大臣賞」を受賞しています。詳しくは、ホームページをご覧下さい。 https://www.abekama.co.jp/index.shtml
文責:大草芳江
コラボレーション
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