「作家の瀬名秀明さんをインタビューしました」への投稿
会社員様より、記事名「作家の瀬名秀明さんをインタビューしました」への投稿を頂きました。
はじめまして。
工学と理学の違いですね。学問のアプローチは、ネットで少し調べると判りますので、こちらは省略します。
歴史、理念、就職を中心に違いを述べます。
理学部の歴史は大学の歴史そのものです。
大学は12世紀ぐらいの設立当時、神学部、法学部、医学部の教会職業を意識した上級学部(修士と博士を出せる)、上級学部への進学を前提とした哲学部(学士号のみ出せる)で構成されていました。
その内に、哲学部はヨーロッパ上流階級向け教養学校になります。「職業を教えない」というスタンスですね。
哲学部は19世紀に上級学部へ昇格して、理学部と文学部に分裂します。理学部の考え方が、工学部より文学部に近いのは、このせいかと思います。
工学部は、18世紀に政府から大学へ設立要求が出るのですが、教会の影響および、ヨーロッパ階級社会のごたごたより、話しが流れます。そこで、大学外に学校が誕生します。理工科大学校(フランスの大学校。エコールポリテクニーク)ができ、その後ドイツで学位の出せる専門学校(工科大)ができます。そして、日本が文明開化をして、工部大学校を設立させます。それが東大工学部となり、世界初の工学部が誕生します。日本には、キリスト教の影響が無いからこそできたことです。19世紀ですね。
その後、アメリカでも工学部ができます。ヨーロッパでも最近になって工学部が設立され出します。
日米では、工学部、理学部の明確な序列はありません。東大では工学部の方が理学部より格上とはしています。全般的に、やや工学部の方が実利の面で格上という感じもあります(主観です)。
ヨーロッパでは、理学部の方が職業臭さが無いため格上です。ヨーロッパの大学とは上流階級のためにありますので。工学部は専門学校(中流向け)ですから。
理念;
理学部;真理の追究 職業を想定していない
工学部;技術者養成
各国の理・工就職状況;
・フランス
大学に工学部がありません。理工科大学校が実質の工学部です。ここを出ると、技術官僚と民間企業の工場長、経営者になれます。
フランスの理学部は、高等師範大学校と大学にあります。高等師範大学校は、学者・教員になるための専門学校です。大学教授はここ出身で占められます。大学理学部は職業を想定していませんので、大学理学部を出ても、教師になれなければ、残念ながら、ニートとなります。大卒ニートが社会問題になっています。現場の技術者は高専卒で占められます。
・イギリス
大学に、つい最近まで工学部がありませんでした。工科大もありません。そのため、理学部が工学部(技術者、しかも工場長候補)の肩代わりをしています。現場の技術者は、高専卒で占められます。技術というのは、学校でなく会社がやるものだという意識が強い国です。
・日米:
やはり就職では工学部の方が有利です。工学部教授は、会社とのチャンネルを持っています。工学部は産学連携が盛んです。
追記
こんばんは。追記です。
工学部と理学部のことしか書かれていませんが、
欧米には統計学部というのがあります。
もちろん、日本にはありません。
統計学部は20世紀初期~中盤に、理学部よりスピンアウトして出来た学部です。
実質、工学部として機能しております。