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2024年 11月 21日 (木)

[vol.2]
米鶴「寒仕込み体験」


米鶴酒造株式会社/蔵へ行ってみよう
お隣・山形の蔵元、「米鶴」。
地場の蔵人、地元の酒米にこだわる、創業元禄年間の蔵元です。
「米鶴」で寒仕込み体験ができると聞いて、早速行ってみました。
仕込みは、昔ながらの蔵で体験することが出来ます。

すでに、「精米」→「洗米」→「浸水」→「蒸米」までは完了しています。
ここからが、仕込み体験のはじまりです。
山田錦以外のお米は、地元にこだわる米鶴。
蔵人で酒造米の栽培から手間隙をかけているそうです。
ちなみに「亀の尾」は、山形生まれのお米。
米鶴オリジナル酒米「亀粋」は、この「亀の尾」の突然変異種だそうです。
こしき(蒸し器)から蒸米を掘り出します。
食べ物に対して失礼かも知れませんが、気分は雪かきです。
蒸あがったばかりの熱い酒米を細かくほぐして自然冷却します。
熱いうちにほぐさないと、理想的な外硬内軟の蒸米にならないそうです。

最初は熱々。これを0度まで(←もろみの温度と合わせるため)冷やします。
触ってみると、普段食べるお米のようにはべたつかず、さらさらとしています。
とても手間がかかる作業です。腰が痛くなりますね。
ということで、普段はほとんどこの機械で、蒸米放冷作業をするそうです。

ただし、特別なお酒(大吟醸の中でも、鑑評会出品用のお酒など)の場合には、
先程のような手作業で、酒米を冷やすそうです。

仕込む

先程冷やしたお米を、タンクへ投入。
醪(もろみ)造りも、佳境を迎えます。
(三段仕込のうち、最後の段階です)
醪の様子。
最適な温度にするために、氷が入っていますね。
この氷も、もちろん仕込み水でできているそうです。
水・麹・蒸米をタンクに入れ均等に混ぜる為に攪拌する、
「櫂入れ」という作業です。
うまく拡散するように混ぜるには、ちょっとしたコツがいります。

ちなみに、「櫂(かい)」は、船の櫂と同じ意味だそうです。
ちょっと見上げると、屋根からやわらかい光が。
昔ながらの色ですね。
こちらは、発酵14日目の大吟醸(山田錦・35%)の醪。
バナナのような、フルーティーな香りがしました。
ちなみにこちらが、山田錦・精米歩合35%のお米。
65%も削られているため、丸くて小さくなっています。
ちなみに削られたお米は捨てず、
玄米側→家畜の餌や、白米側→おせんべいの材料になるそうです。

見学する

熟成した醪を圧搾する方法の中で、最も一般的なのが、
この「ヤブタ式」と呼ばれる連続搾り機です。
ここでできた酒粕が、「板粕」。

鑑評会出品酒など特別な酒には、
袋に入れた醪を吊るしてしたたらせて搾る方法(袋吊り)で贅沢に絞ります。
ちなみに、「ヤブタ式」の「ヤブタ」は、
単に会社の名前らしいです。
こちらは、麹。酵母菌の餌です。 麹を食べると、その蔵の特徴が分かるそうなのですが、 米鶴の麹は、比較的もろく、一回噛んだだけで甘みを感じました。 けれども、お米の種類や、精米歩合、どの工程かによっても、 印象は変わると思うので、一概には比較できないかも知れませんね。
こちらが、麹菌。
この麹菌を蒸米にふりかけ、麹をつくります。
麹菌を植えつけた蒸米は、麹室(こうじむろ)という
30℃くらいの暖かい部屋の中で繁殖させます。

ガラス張りなので、外からの見学。
こちらは、酒母。
名前の通り、お酒の母です。
酒母は、水、麹、蒸米、酵母を入れてつくられます。
酒母を飲んで比較してみました。
「亀粋 60% 酵母901号 7日目」
「亀の尾 60% 酵母901号 9日目」
「亀の尾 55% 酵母1001号 13日目」を、飲み比べ。
7日目の酵母は、お米のつぶつぶと、乳酸(雑菌等が繁殖しないように添加されたもの)のすっぱさを感じましたが、 13日目にもなると、お米はどろどろになり、二酸化炭素のシュワーッとしたすっぱさを感じました。
よく耳にする「甘口・辛口」は、この「日本酒度計」で測ります。
この「日本酒時計」を日本酒に浮かべ、水に対する酒の比重を計ります。
糖分が多いと水よりも比重が重くなるので、日本酒時計は浮き、マイナス表示になります(=甘口)。 アルコールを添加すると水よりも比重が軽くなるので、日本酒時計は沈み、プラス表示になります(=辛口) ただこの表示は、あくまで比重を数値化しただけなので、あくまで「甘・辛」の目安なだけのようです。 まだまだお酒が貴重だった頃、糖分やアルコールを添加してカサを増やしていた風習を、今での引きずっている表示とも言えますね。

利き酒する

お楽しみの利き酒タイムです。
新酒の利き酒です。右から、
「山田錦35% KA+1601 大吟しずく 18.3% +3」
「美山錦50% 901+1601 生 19.5% +1」
「山田錦65% 山廃701 純米生 18.0% ー0.5」
(使用米 精米歩合 使用酵母 造り アルコール度数 日本酒度)
醪(もろみ)の試飲です。右から、
「吟50号 美山錦53% 901 12日」
「吟48号 出羽の里60% 901 16日」
「吟46号 山田錦35% KA+1601 20日」
「吟44号 山田錦35% KA+1601 24日」
売店で販売しているお酒も、試飲しました。
精米したときに出てきたお米の粉を、
おせんべいにしたものも売店で購入できます。
利き酒クイズもしました。
ABと同じお酒を、4つの中から選びます。
お酒を口に入れる前には感じた香りも、一度お酒を飲んでしまうと、
香りがわからなくなってしまいました・・・意外と難しかったです。

食す

お料理はすべて、社員さん達の手作りだそうです。
山形の郷土料理で、日本酒に合うものをご用意いただきました。
個人的に好きだったのはお漬物。
山形というと(勝手に)味が濃いイメージがありましたが、
さっぱりと上品な味で、たくさんいただけました。
もちろん、お酒がないと、はじまりません。
こちらは、「大吟醸 雫中取り」(非売品)。
さすが、鑑評会出品酒。美味しいの一言です。
この1本を狙って、飲みました!
こちらは、甘酒です。
私は甘酒が苦手なのですが、これなら美味しく飲めますね。
まるでお米のデザートのような味わい。
(たしかスウェーデンで、似たようなお菓子を食べたような・・・)
上品でさっぱりした甘さが、癖になりそうです。
杜氏の須貝智さんです。壁を感じさせない人柄が印象的な方です。
「酒が『こうなりたい!』と言ったら、無理に押さえつけないし、
想定時期より早めに熟成したら、そこで絞っちゃうね。」
はじめから酒造りを「こういうものだ」と決めつけず、お酒と日々対話する須貝さん。
まるで、お酒造りも子育てのようだなと感じました。
毎年元旦に仕込むという、入魂の限定酒を頂きました。
「なぜ、三十四号なんですか?」
「智の三十四(さとし)なんだよ。杜氏の須貝智さんが元旦に仕込むって決めちゃってるから、毎年うちら従業員は元旦返上なんだよね(笑)」
おみやげのお酒です。
何が入っているかはわかりません。
これは後からのお楽しみにします。
取材先: 米鶴酒造      (タグ: ,

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