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        <title>宮城の新聞</title>
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        <language>ja</language>
        <copyright>Copyright 2012</copyright>
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            <title>学生がビジネスプラン提案　第７回キャンパスベンチャーグランプリ東北</title>
            <description><![CDATA[<h1>学生がビジネスプラン提案　第７回キャンパスベンチャーグランプリ東北</h1>
<p class="date">2012年2月6日公開</p>

<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 20px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_01.jpg" alt="" />
<p>第７回ＣＶＧ東北表彰式のようす＝３日、ホテルメトロポリタン仙台（仙台市青葉区）</p>
</div>
<p>
　学生による新事業提案コンテスト「第７回キャンパスベンチャーグランプリ（ＣＶＧ）東北」の表彰式が３日、ホテルメトロポリタン仙台（仙台市青葉区）で開かれ、各賞あわせて９件が表彰された。高橋宏明実行委員長（東北経済連合会会長）は「チャレンジ精神を発揮し、時代の開拓者として活躍して欲しい」と挨拶した。<br />
<br />
　ＣＶＧ東北は、起業家精神に富んだ人材を育てようと、東北地域の経済人などでつくる実行委員会が２００５年から実施。今年は５県１０校から４９件の応募があった。近年のスマートフォンやタブレットＰＣの普及と東日本大震災を反映した提案が多くあった。<br />
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_02.jpg" alt="" />
<p>最優秀賞受賞グループによるプレゼンテーションのようす</p>
</div>
<p>
　審査の結果、最優秀賞には東北大学の加納学さんらによる「デジタルサイネージと顔認識機能を利用した新しい広告手法」が選ばれた。化粧室など公共の場にある鏡を広告媒体にする提案で、人それぞれに合った広告を提案する斬新なアイディアが高く評価された。加納さんらは、３月８日に開催される全国大会に東北地区代表として出場する。<br />
<br />
　このほか、東北経済産業局長賞などの特別賞２件、奨励賞３件、努力賞２件が入賞した。入賞者には表彰式で、賞状と盾、賞金が授与された。入賞者は次のとおり（Ｇはグループ受賞で氏名は代表者、敬称略）。<br />
<br />
▽最優秀賞＝デジタルサイネージと顔認識機能を利用した新しい広告手法（東北大学・加納学Ｇ）▽特別賞・東北経済産業局長賞＝ペットの笑顔と命を見守るアプリBirth smile（宮城大学・西原政比彦Ｇ）▽同・日刊工業新聞社賞＝位置情報スマートフォンＳＮＳ「ＬＯＣＡ」の開発（東北大学大学院・平野裕作）▽奨励賞＝日本のUser Experienceに革命を起こす「Advoice」（国際教養大学・高下凌Ｇ）▽同＝フェアトレード製品市場の開拓に向けたネットワーク作り（弘前大学・岡本元聖）▽同＝ＵＶ－Ａ照射環境制御を用いた植物の栽培と光照射乾燥方法の複合化（八戸工業大学・長内崇拡Ｇ）▽努力賞＝Find Your Treasure!（国際教養大学・長田紘一郎Ｇ）▽同＝かもしれない倉庫（会津大学短期大学部・渡辺史Ｇ）<br />
</p>

<p style="font-size: x-small; text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_03.jpg" />
入賞者と関係者による集合写真
</p>
<br />

<h2>最優秀賞受賞者インタビュー</h2>
<h3>◆ビジネスプランをつくるプロセスで成長<br />　／最優秀賞受賞Ｇ代表の加納学さん（東北大学教育学部３年生）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_kanou-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
<p>最優秀賞受賞Ｇ代表の加納学さん（東北大学教育学部３年生）</p>
</div>

<p class="q">
―喜びの声を一言。<br />
</p>
<p>
　学年も学部も異なるメンバーと一緒に、様々な切り口を重ねながら、プランをつくるプロセスで多くのことを学んだ。受賞には驚いているが、その結果として、賞をいただけたことが嬉しい。</p>
<p class="q">
―本プランを提案したのはなぜ？<br />
</p>
<p>
　メンバー各々のアイディアの種を掛け合わせることで、新事業提案プランができた。アイディア出しの段階で、自分を出しつつ相手から吸収していくプロセスが楽しかった。<br />
</p>
<p class="q">
―これからの意気込みを一言。<br />
</p>
<p>
　今回提案したプランは、これから大企業も力を注ごうという分野。現段階では起業に至らないレベルだと思うので、いろいろな方のお力添えや自分達のブラッシュアップの過程で、他には負けない何かを築きたい。その先に起業や成功があれば嬉しい。<br />
</p>
<p class="q">
―中高生も含めた後輩へメッセージを。<br />
</p>
<p>
　いろいろな選択肢を考え、目先のものだけでなく、もっと広い視野で、自分の興味があることを増やしたり深めていけたら、より良い人生が送れると思う。<br />
</p>
<p class="q">
―ありがとうございました。<br />
</p>

<br />
<h2>ＣＶＧ東北関係者インタビュー</h2>
<p class="q">
―中高生も含めた若い世代に、あなたが期待することは何ですか？<br />
</p>
<h3>◆スケールの大きな構想でチャレンジして<br />
　／実行委員長の高橋宏明さん（東北経済連合会会長）</h3>

<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_takahashi-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>

<p>
　（今回のＣＶＧ東北で）斬新なプランが多数あり将来がとても楽しみだ。今の世の中、なかなかせせこましいから、人間どうしても小さくなってしまう。若い人には、大人のせせこましい世から離れて、スケールの大きな構想を持ってチャレンジしてもらいたい。<br class="c" />
</p>

<h3>◆地元を大切にしつつ、外に飛び出し自分を磨いて<br />
　／審査委員長の原田晃さん（産業技術総合研究所東北センター所長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_harada-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>

<p>
　今、日本の社会はどんどん縮小化している時期だが、若い人もそれにつられてはいけない。若い人達は自分の地元を大切にしつつ、外に飛び出し、自分を磨いて大きくなることが大切。その両方を満足するよう、元気に頑張って欲しい。皆で元気になりましょう。<br class="c" />
</p>
<h3>◆チャレンジ・夢・希望は若者の特権<br />
　／日刊工業新聞社東京支社長の石上明男さん</h3>

<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_ishigami-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>
<p>
　チャレンジ・夢・希望は若者の特権。やる気さえあれば何でもできる時間が若者にはある。ヒト・モノ・カネは人によって差があるが、時間は皆平等に２４時間ある。それを如何に有効に大事に使うかだ。今日からでも挑戦していこう。<br class="c" />
</p>

<h3>◆斬新かつ柔軟な発想で未来を切り開いて<br />
　／東北経済産業局長の豊國浩治さん</h3>

<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_toyokuni-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>
<p>
　若い皆さんには、斬新かつ柔軟な発想で未来を切り開いて欲しい。Facebook上場の話もあったが、日本でも最年少で上場する社長さんやスポーツで大金を稼いでいるのは２０代。そういう人達に負けない気持ちで頑張ってもらいたい。<br  class="c" />
</p>

<h3>◆科学を楽しんでもらうことが大切<br />
　／実行委員の山城巌さん（みやぎ工業会副会長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_yamashiro-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>
<p>
　若い世代に求めるだけでなく、我々も若い世代に科学を楽しんでもらうことが大切だ。今年も学都「仙台・宮城」サイエンス・デイに企業として出展し、その関係で中学校に出前授業をして皆さんに大変喜んでいただけた。今後もそのような活動を続けたい。<br class="c" />
</p>
<h3>◆自分が本当にやりたいことを見つけて<br />
　／実行委員の工藤治夫さん（宮城産業人クラブ会長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_kudou-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>
<p>
　自分は本当に何が好きなのかを見つけなさい。それを徹底的に自分のものにし、自分で仕事をつくれば、会社を興し、多くの人が飯を食べていけるようになる。その一つの心が決まれば、千里の道を歩んでいけば、苦労はあっても、成功につながっていく。<br class="c" />
</p>

<h3>◆コミュニケーションがとれる人材に<br />
　／佐伯昭雄さん（宮城産業人クラブ前会長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_saeki-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
<p>（写真左）</p>
</div>
<p>
　パソコンにむかって一人黙々とやるのでなく、わいわい酒を飲みながらきちんとコミュニケーションをとれる人材にならなければだめ。そうでなければ良いアイディアは浮かばない。酒を飲む目的はコミュニケーションだが、今の世の中、目的と手段を間違えている場合が多いことを、よく考えてもらいたい。<br class="c" />
</p>
<h3>◆チャレンジあるのみ<br />
　／佐藤徹雄さん（宮城産業人クラブ副会長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_satou-san.jpg" alt="" style="width:100px" />
</div>

<p>
　あなた達に次世代をつくっていってもらいたい。そのためには挑戦して、安住の考えだけでなく、リスクを伴ってでも、チャレンジしていってもらいたい。<br class="c" />
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20120203_01.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120203_01.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">社会って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">ビジネスプラン</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">学生</category>
            
            <pubDate>Mon, 06 Feb 2012 14:04:53 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>伊達宗行さん（物理学者）に聞く：科学って、そもそも何だろう？</title>
            <description><![CDATA[<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120119-top.jpg" alt="伊達宗行さん（財団法人新世代研究所理事長、大阪大学名誉教授）に聞く：科学って、そもそも何だろう？" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2012年1月21日公開</p>
<div id="subject">
<p id="t">「科学」は人間の本性であり、<br />
人間を大事にすることと同じ。
</p>
<p id="n">伊達　宗行　　Muneyuki Date<br />
（財団法人新世代研究所理事長、大阪大学名誉教授）
</p>
</div>

<p style="font-size:x-small;">
1929年仙台生まれ。理学博士。専門は物性物理学、特に磁性、極低温、強磁場研究で国際的に著名。1952年東北大学理学部卒業。1955年東北大学理学研究科物理専攻中退。大阪大学理学部教授を29年、同学部長、日本原子力研究所の初代先端基礎研究センター長、日本物理学会会長、日本学術会議会員、同第４部長などを歴任。現在、財団法人新世代研究所理事長、大阪大学名誉教授。電子スピン共鳴の研究で松永賞（1971）、超強磁場の開発で仁科記念賞（1980）、そして日本金属学会論文賞（1985）、藤原賞（1991）、紫綬褒章（1991）、勲二等瑞宝章（2000）を受賞。主な著書に、『新しい物性物理』（講談社）、『極限科学　強磁場の世界』（丸善）、『極限の科学』（ブルーバックス）、『「理科」で歴史を読みなおす』(ちくま新書）等がある。
</p>
<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
<span style="font-weight: 600; font-size: small;">一般的に「科学」と言うと、「客観的で完成された体系」というイメージが先行しがちである。　<br />
しかしながら、それは科学の一部で、全体ではない。科学に関する様々な立場の「人」が<br />
それぞれリアルに感じる科学を聞くことで、そもそも科学とは何かを探るインタビュー特集。<br />
</span><br />
<br />
物性物理学の専門家で、特に磁性・極低温・強磁場の研究で国際的に著名な<br />
物理学者の伊達宗行さんは、「『科学』と『科学技術』は非常に違う」と強調する。<br />
<br />
「『科学』とは自然そのものを探究する学問であり、<br />
　科学が見出した成果を如何に人間社会に持ち込むかが『科学技術』である」<br />
<br />
伊達さんがそう強調する根本には、科学のあり方を考えること、それはつまり、<br />
人間の本性（ほんせい）を大事にすることと同じである、という思いがあった。<br />
<br />
そんな伊達さんがリアルに感じる科学とはそもそも何かを探った。<br />
<br />
＜目次＞<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_1">「科学」と「科学技術」は非常に違う</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_2">人間の本性に反している</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_3">科学を総合的に理解する人が少なくなっている</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_4">大学の矮小化と科学者のサラリーマン化</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_5">アンチ・サラリーマンポリシー</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_6">時代を離れた科学者はいない</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_7">科学者も芸術家もつくるものではなく自然に出てくるもの</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_8">昔は教授になれる人数だけを教育した</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_9">天才を見出す能力に欠けた、サラリーマン化した評価方法</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_10">物理学は斜陽産業で、お呼びではない</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_11">物理学は「何がわからないか」を探す学問</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_12">人間を大事にすることと同じ</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php#p1_13">伊達先生が最近執筆した本の紹介</a><br />
</p>


<br /> 
<div class="interview"> 
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/kagaku_interview.gif" alt=""> 
<p>物理学者の伊達宗行さん（（財）新世代研究所理事長・大阪大学名誉教授）に聞く</p> 
</div> 
<br /> 


<h2 id="p1_1">「科学」と「科学技術」は非常に違う</h2>
<p class="q">
―伊達先生がリアルに感じる科学とは、そもそも何ですか？<br />
</p>
<p>
　殊に東日本大震災後、ある意味では、科学のあり方が問われています。非常に重要な問題だと思うので、今日はそこから始めましょう。<br />
<br />
　そもそも「科学」と「科学技術」は違います。それははっきりさせなければいけません。「科学」とは自然そのものの探究です。一方、科学が見出した成果を如何に人間社会に持ち込むかが「科学技術」です。したがって、科学と科学技術は非常に違います。<br />
<br />
　科学は、人間を容赦しません。例えば、あと一億年もすれば地球は人間が生きるようにしてはくれないでしょう。やがて地球は太陽に飲み込まれます。そして太陽系すべての星が死の世界への導かれます。そんなところに人間の入り込む余地などないわけです。<br />
<br />
　しかし、そのような自然を探求する学問、それが科学なのです。科学が見出した成果を人間社会に如何に使うかが、科学技術です。そして時代はどんどん変わり、科学のウエイトが高まり、科学技術の恩恵も非常に大きくなりました。<br />
<br />
　そして今回の震災で、こんな議論があったことを、僕は非常に心配しているのです。東電の原発事故を、「やっぱり科学が悪い」と言う人がいる。これは非常に問題だと思います。それは科学技術のやり方が問題なのであって、科学には良いも悪いもないんです。<br />
<br />
　繰り返しますが、科学とは人間の思惑とは無関係に存在する自然を調べるもので、人間にあくせくしていない。それが科学の魅力でもあるし、また自然の実態ですよ。<br />
<br />
　2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治さん（理化学研究所理事長）も仰っていました。酷い災害が起こる。それを科学技術のせいにするのも良くないが、さらに良くないのは、科学のせいにすることだ。それは絶対にいけません、科学と科学技術はわけなさいと。まさに仰る通りだと思います。<br />
<br />
　そういうことで今、科学のあり方を非常に心配しているのです。震災後、いろいろな意味で社会は歪んでいる。非常に由々しき事態です。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_2">人間の本性に反している</h2>
<p class="q">
―どのような点に歪みを感じますか？<br />
</p>
<p>
　私は科学を若い頃からやってきて、現在もその延長線上にいますが、関連する科学技術には関心がありますし、それなりのことも考えています。<br />
<br />
　何と言っても、真理を探求する科学という学問、それは理学・工学に関わらず、我々人間にとって最も大事なものの一つです。そして科学技術は、科学が切り拓いた新しい成果を受けて、「ではどこをなおそうか」と技術をさらに改良して進めていく。それが人間の歩んできた道ですよ。<br />
<br />
　それは原子力も同じです。原子力は人間が発見した「第２の火」と言われています（「第３の火」という人もいます）。<br />
<br />
　５０万年前、ネアンデルタール人か誰かが、火を使うことを覚えました。火を使うことが、人間と他の生物を区別する非常に重要な境目です。しかし、火が人間のものとなり誰でも使えるようになるまでに、５０万年もかかっているわけです。<br />
<br />
　少なくとも火が人間社会に入ってから１、２万年、火は危ないものだったでしょう。今の原子力のようにね。しかし５０万年後には、大火事が起きようが火山が爆発しようが、「火を使うのはやめよう」なんてことは絶対に言わなくなったわけです。<br />
<br />
　ちょっと数字で見てみましょう。原子レベルで言えば、火（化学反応）はeV（電子ボルト）程度、これは温度換算で約１万度です。一方、人間は火無しでは温度は自然に任せきり、自分では百分の１度もつくれません。つまり人間は火の使用で約百万倍（10の６乗倍）の熱エネルギーを手に入れたのです。<br />
<br />
　それから５０万年が経ち、人間は「第２の火」を発見しました。それはMeV（メガ電子ボルト）、奇しくもさらに６桁エネルギーが高いのです。そんな桁違いのものを、わずか５０、１００年で人間がマスターできるなんて到底思えません。ここから人知を尽くさなければいけないのです。ですから、それを「捨ててしまおう」なんて、とんでもない話です。人間の本性に反しています。<br />
<br />
　人間の本性とは、如何に困難なものであっても、あらゆる努力を払って改良に改良を重ね、科学技術の粋を駆使し、極めて危険に見えるものでも人間が使えるものにしてきた点にあります。原子力、宇宙旅行などが、このカテゴリーに入るでしょう。それが人間が他の動物に対して誇れるべき人間の能力なのです。だからこそ地球の覇者になっています。<br />
<br />
　そのようなことを、きちんと認識しなければいけません。それはやはり、科学をどう発展させるかが第一であり、そしてそれを踏まえて科学技術をどう発展させるか（失敗を乗り越えて）です。ものごとの順序はそうですよ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_3">科学を総合的に理解する人が少なくなっている</h2>
<p class="q">
―問題の本質はどこにありますか？<br />
</p>
<p>
　結局、今の科学界で一番問題なのは、科学者が専門家になり過ぎたことです。学問が進むほど、どうしても専門家でなければ仕事はできないため、やむを得ないことではありますが、科学を総合的に理解する人が少なくなっていることを心配しています。<br />
<br />
　産業革命まで、科学と芸術は一体のものであったと言います。それは「アルス」と呼ばれており、それ自体が創造の中核でした。それまでは、サイエンスも無ければアートも無く、広い視野でいつも全体を眺めていたのです。<br />
<br />
　しかし、その中から科学が異常なまでの成功を収め、ひとり抜けだして産業に革命をもたらし、社会構造に重要な影響を与えた時、アンチテーゼとしてアートが生まれました。アルスは分離され、崩壊したのです。<br />
<br />
　科学が地球をも変えられる、となった今日、"科学者による自己最適化"はもはや許されなくなりました。社会全体がアルスへの回帰を考えなければならない時期に来ています。<br />
<br />
　さもなくば、これからの科学は部分的な肥大病になる、あるいは大事なものが放って置かれる恐れがあります。そのことを非常に心配しているのです。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_4">大学の矮小化と科学者のサラリーマン化</h2>
<p>
　そして、科学者という存在がかつて尊敬され社会的地位を保っていたのとは裏腹に、大学が矮小化してきたことを心配しています。我々が若い頃と比べても、さらに矮小化しています。しかし、それは我々の時代よりもずっと前から始まっていることです。<br />
<br />
　「科学」という言葉が生まれたのは、１９世紀頃と言われています。イギリスのファラデーが電磁気学という新しい分野を実験的に確立した頃から、社会に「science（サイエンス）」や「scientist（サイエンティスト）」という言葉が生まれました。<br />
<br />
　しかしファラデーは、「scientist」と呼ばれることを非常に嫌ったそうです。彼は「philosopher」（フィロソファー：哲学者）と呼ばれたがった。<br />
<br />
　つまり、専門で小分けするのではなく、「philosophia（フィロソフィア：愛知）」、つまり知を愛する、そういうものが学問だとファラデーは強調しているのです。<br />
<br />
　その時代から比べれば、我々の時代もずいぶん矮小化したのですが、最近は特に、科学者がサラリーマン化していると感じます。もちろん生活がある程度安定しなければいけないですから、定収入のある社会に科学者を置かなければいけない、それは確かです。<br />
<br />
　しかし、科学者は普通のサラリーマンとは違うはずで、学問をするのに昼も夜もないはずです。ところが、昔の大学は昼夜も出入り自由でしたが、今の大学は「建物の管理の問題があるから」と言って夜は入れません。このような面においても、科学者の行動が矮小化されているのです。<br />
<br />
　私の見聞きの範囲で、外国でもこんな話がありました。「メスバウアー効果」を発見したメスバウアーというドイツ人研究者が、ある会議に参加した時のことです。<br />
<br />
　その会合をまとめている科学者たちの奥さんたちが会議にやって来て、こう言ったそうです。「ノーベル賞をもらったメスバウアーて、あなた？私の主人を１ヶ月間も大学に釘付けにして、家に帰さなかったのは、あんたなのね！」って。そう言って、笑ったそうですよ（笑）。<br />
<br />
　つまり、非常に重要な発見がなされる時は、昼も夜もないんです。ところが、サラリーマン化された科学者の生活の中では、それはもう不可能です。研究の場所が昼と夜で別々に管理され、それに自分が合わせていかなければならない。それではサラリーマンですよ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_5">アンチ・サラリーマンポリシー</h2>
<p>
　それから、例えば「これはもうぐじゃぐじゃやっていると、細かいものばかりやるようになって、こんなことじゃ科学はダメになる。ひとつ、一杯飲んで大騒ぎでもするか」ということが、今は個人的にしかできなくなりました。<br />
<br />
　昔はそういうことをしようと言えば、お金が出たのですが、今は科学研究費の使い方が非常に厳しくなりました。そうなったのは、悪いことをする奴がいるからなんですよ。だから、しょうがないのですが。<br />
<br />
　しかし結果的に、最も重要な研究と、その活力をまとめるための行動にお金を使うことが難しくなってしまいました。やっぱり、これもサラリーマン化現象の一つであろうと思っています。<br />
<br />
　私は東京で財団法人の理事長をやっていますが、これはとにかく「あいつは優秀だ」と見込みのある研究者を集めて一杯飲ませる会ですよ。もちろん名目はきちんとしていますが、なかなか能率が上がりますよ（笑）<br />
<br />
　というのは、そうやって専門領域を越えた有能な人たちが仲良くなって、共同研究をし、新しい発想で良い仕事が出始めています。やっぱり、そういった場が必要なんですよ。<br />
<br />
　アンチ・サラリーマンポリシーでもって、ものごとを動かさないといけないですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_6">時代を離れた科学者はいない</h2>
<p class="q">
―なぜ科学者のサラリーマン化現象は起こっているのでしょうか？<br />
</p>
<p>
　一つには、残念ながら、学問が進んだからですね。やはり昔のような、非常に根源に関わる重要な問題がなくなっちゃった。あとは、それを如何に展開し、如何に組み合わせて、というのが多くなった、ということは言えます。<br />
<br />
　２０世紀は物理学にとって奇跡の時代だったと言われていますが、２１世紀はそうなりそうもないですね。「奇跡」になることは、ほぼ発見されてしまいました。しかし、またとんでもないことが起きて、これから社会というものは進んでいくでしょう。<br />
<br />
　例えば、生命現象の物理学には、まだまだとんでもない発見があるだろうと思います。今、生命現象はわかったと言われていますが、枝葉末節がわかっているだけで、大きなところはまだわかっていません。<br />
<br />
　具体的には、例えば脳のどの部分が何をしているか等はかなりわかっていますが、全体がどうやって動かされるかや、総司令部がどうなっているかは、まだわかっていません。大体、そういうものがあるかどうかもわからないのです。<br />
<br />
　ですから、自然科学の中では、まだまだ非常に重要な発見があると思いますけどね。それが実際に２１世紀中、どれだけ進むかは、まだ１０年しか経っていないのでわかりません。<br />
<br />
　しかし２０世紀と比べて、最初の１０年を見れば、確実に減ったと言えるでしょう。２０世紀の最初の１０年は、例えば、アインシュタインの相対性理論、量子論や超電導の発見がありました。物理だけでも、とんでもない大きなものが発見されたのです。<br />
<br />
　一方、２１世紀の最初の１０年は、もちろん大事なことはいっぱいありましたが、それほど革命的なことは起きていません。「これから９０年もあるのにわかったことを言うな」と反論されるかもしれませんが（笑）、やはり２０世紀と２１世紀の違いだと思いますよ。<br />
<br />
　その前だって、１４～１６世紀頃にルネサンスで社会が変わり、１６００年前後にガリレオ・ガリレイが登場し、１７００年前後にニュートンが登場しました。やはり節目、節目があるのですね。<br />
<br />
　物理学者の中でほぼ意見が一致しているのは、とにかくここ数百年間を見ると、トップの物理学者はニュートンとアインシュタインの二人だ。数百年に一人という桁違いの科学者である。そうロシアの天才科学者ランダウが言っていました。<br />
<br />
　それはやはり科学者の資質の問題もありますが、時代というものを離れた科学者はいないですね。いくら天才でも、何もやることができない場所に放り出され、新しいことのできない時代に置かれたら、何もできませんよ。ただ生まれて死んでいくだけです。<br />
<br />
　ニュートンもアインシュタインも、やっぱり時代が彼らを天才に仕立てたというところがあります。そのような意味では、２１世紀にも百年に一人出る天才がいるのだろうけど、それが働くべき場所にいるかどうかは、また別問題なのです。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_7">科学者も芸術家もつくるものではなく自然に出てくるもの</h2>
<p>
　ここで科学者の話に戻りますが、今、本当に優秀な科学者を育てられるのかと非常に心配しています。社会が科学を必要とすると声高に言っていますが、その理由は非常に簡単です。それは、科学ではなくて科学技術が欲しいからです。<br />
<br />
　例えば、世界の自動車メーカーのトップになるには、それなりの技術者を持つ必要があります。ですから社会が欲しがっているのは、そういうものに対応できる科学技術者であって、科学者ではないのですね。<br />
<br />
　最初に述べたように、科学と科学技術は非常に違うのです。そういう目で見ると、本当に科学者を育てられる場が、今、準備されているのでしょうか。昔よりも狭くなっているのではないか、という気がしますね。<br />
<br />
　今は、例えば「ポスドク一万人計画（※）」で研究者を増やしたりしていますが、それは、先ほどお話ししたように社会のニーズに応えるためのものであって、純粋な科学者を増やすためのものではないですね。<br />
<br />
※文部科学省が1996～2000年度の5年計画として策定した施策。研究の世界で競争的環境下に置かれる博士号取得者を一万人創出するための期限付き雇用資金を大学等の研究機関に配布したもの。（参照：Wikipedia「ポストドクター等一万人支援計画」）<br />
<br />
　それはどういうことかと言えば、もともと科学者とは無理してつくるものではなく、自然に出てくるものです。それは芸術家と同じですよ。ですから、やっぱり共に「アルス」の世界で、科学と芸術は本質的に同じなのです。<br />
<br />
　例えば、芸術関係でも学校がありますが、それは一つの通り拔けるべき門ではあるものの、そこを卒業したからと言って、芸術家が増えるわけではないし、また成功するとも限りません。<br />
<br />
　ひどく才能があっても、表に出ないまま死んでしまう人もいれば、ある時代と奇妙に馬が合って、滑稽な芸術がもてはやされることもあります。<br />
<br />
　いろいろへんてこなことがあるのですが、科学者にも同じようなところがありましてね。だから科学者と芸術家は同じなんですよ。科学者も芸術家も理屈の合わないところで育っているわけです。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_8">昔は教授になれる人数だけを教育した</h2>
<p class="q">
―「科学者は自然に出てくるもの」なのにどうやって「優秀な科学者を育てる」のですか？<br />
</p>
<p>
　我々の時代はまだ良かったと思うんです。それはなぜかと言うと、戦争中、大学の各学科で卒業生の一人か二人が「特別研究生」にされたのです。僕もそれをさせてもらいました。何が良いかと言うと、いきなり助手より良い給料をもらって研究ができたのです。<br />
<br />
　では、なぜ日本はそんなことをしたのか。それは戦争で若者が死んでいく中、科学者の卵を絶やさないようにしなければいけない。だから、教授になれる人数の確保だけを前提として教育したわけです。<br />
<br />
　しかし今は、そういう発想が全くありません。要するに、社会のニーズに応えるためには日本中でたくさん技術者をつくらなければいけないわけです。<br />
<br />
　けれども大学教授の数というのは、大学の数が増えたり減ったりしなければ、年間どの程度補充するか予めわかっているわけです。その補充できるだけの人数で言うと、旧帝大の一物理学科で一人か二人だけ学者にすれば良い、という計算になるのです。<br />
<br />
　戦時中は、そういう奴には助手より良い給料を渡そうという、非常に露骨な政策が取られたわけです。そのおかげで僕は、そのお金をもらって研究ができましたよ。<br />
<br />
　要するに、科学者、つまり教授候補が１０人いれば良いところに１００人も１０００人もいようでは、所詮不健全な社会です。一方で戦時中のように、一人か二人、非常に優秀な者を中心に教育しようという時代もありました。<br />
<br />
　しかし、今はそういうことをやろうとすると、「それは差別だ」と批判されます。だから今は、そうやって満遍なく金をバラまいているだけで、政策に強烈な指導力がないんですよ。<br />
<br />
　如何にして日本は最高レベルの天才的科学者を逃さないようにできるか。それを逃せば、もう皆どこかに生きて、それなりの人生を送って死んじゃうのですからね。<br />
<br />
　今日、ある意味では、教授になるのが偶然みたいな面があります。「教授席が空席になったからそこを埋めよう、あそこにこんな奴がいるから呼んでこよう」というのが主流で、便宜的に決まるケースもかなりあるのが実情です。若い時から目をかけ、じっくり育ててロイヤルゼリーをなめさせ（学問にもそういうのがあるんですよ）大物に仕立てる、こんなケースは稀になりました。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_9">天才を見出す能力に欠けた、サラリーマン化した評価方法</h2>
<p>
　また、学問の評価方法が、それこそサラリーマン的になっていると感じます。昔は入学した時点で「あれはもう将来の教授ですなぁ」という雰囲気をもった人間がいたもんですよ、いくら若くても。そこがおもしろいところでね。<br />
<br />
　こんな話があるんです。ショパンがポーランドからパリに逃れ、パリのとあるカフェでピアノを弾いた時のこと。その会場に偶然居合わせた非常に著名なピアニストが「諸君、起立したまえ、天才にむかって」と言ったそうです。おもしろい話でしょう。<br />
<br />
　ポーランドから逃れてきたピアニストが、天才であることは確かです。ショパンのピアノ曲には、それまでの古典的なものとは全く違った華やかさがありますからね。けれども、それを一瞬でわかった人も偉いんです。<br />
<br />
　この話は象徴的なので少し大げさに言いましたが、物理学者でも同じことが言えます。まだ何もしていない段階で「あいつはとんでもない奴だ。将来大物になるぞ」とわかっているケースがあるんです。<br />
</p>
<p class="q">
―それはどうやってわかるのですか？<br />
</p>
<p>
　それが、どうも言い難いのだなぁ・・・。どうやってわかるかと言うと、「見てわかるんです」と答えるしか、しょうがない。科学にはそういう面があるのです。先ほどのショパンの例のようにね。けれども、そういうのが大事な雰囲気がなくなってきました。<br />
<br />
　今は例えば「論文を１０本書かないと教授になれませんよ」というような雰囲気になっていますね。その証拠に論文の質が低下していると思います。昔はある論文を書くためには、それに関係する論文は全部、引用論文として書いた、と言うより、書けたのです。<br />
<br />
　しかし今は、例えばある考えがネットに流れると、あっという間にそれに関係した論文が１万本出てくる。１万本を全部引用論文として書くわけにはいかない、というわけですよ。<br />
<br />
　昔は「論文ができました」となると「引用は完全にしましたか？」となるのだけど、今は完全な引用なんてできるわけがない。学問というものは変わってしまったと、ノーベル物理学賞を受賞した小林・益川両氏も嘆いておられましたよ。<br />
<br />
　これは難しい問題です。人が多くなり、それから天才を見出す能力に欠けたサラリーマン化した場、しかも引用が不正確なまま論文がつくられる、そういう時代になっているわけです。<br />
<br />
　このような中で、群を抜いた仕事はどうやって出てくるのか、それはなかなか難しいです。科学を進めていくためには、今後の大問題ですね。それを科学行政として行政がどれだけ認識してやっていけるかが、非常に難しい問題になっています。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_10">物理学は斜陽産業で、お呼びではない</h2>
<p class="q">
―科学の現状について、問題点は山のようにありますね。<br />
</p>
<p>
　その通りです。就職問題も良くないと思います。我々が教授の頃は、研究室に配属された学生の就職に、教授が責任を持っていました。「少々乱暴者ですが一生懸命取り組む奴です」等と学生の個性を書いた教授の推薦状は信用され、企業は学生を採用してくれました。けれども現役の教授に「就職の世話はしているのか？」と聞くと、「今はそんなことをできる時代じゃないですよ」と言われます。<br />
<br />
　逆に今は、留学生がうんと増えていますね。ところが、せっかく育てた留学生には「日本よりもアメリカに行った方がいい」「中国に帰って来いと言われた」等と言われて、優秀な人間を確保することも難しい。現役の教授らは「逃げられる」という言い方をしていますよ。将来性のある優秀な人材を育て、そして確保するのは、なかなか大変です。<br />
<br />
　さらに悪口を言うと、教師の方にも問題があります。物理学の卒業生でありながら、物理学全体が見えていない。化学の卒業生でありながら、化学の一部しか見えていない。生物の卒業生でありながら、生物の一部しか見えていない。<br />
<br />
　しかし本当の大学の仕事とは、もちろん個々の優れた実績を持っていなければ困りますが、問題はやはり、物理のあるべき姿を把握できるかどうかなのです。しかし今は、それが難しくなっています。<br />
<br />
　なぜかと言うと、昔は教養部があったのですが、今は教養部という形はなく、だいぶ流動的になっています。昔は一般教養で物理学は必須でしたが、今はなかなかそれができていません。<br />
<br />
　最近驚いたのですが、福島大学の若い人で、東日本大震災後に放射線測定を行った人の手記に、「物理学科系業者は自分一人しか福島大学にいなかった」とありました。それほど（物理学者が）減らされたのかと大変驚きました。<br />
<br />
　もはや物理帝国の崩壊ですよ。物理学は斜陽産業で、お呼びではないのです。就職率を上げるために即戦力となる学生を育てようとする工学部系の教師にだんだん変わってきています。特に地方大学はそういう現実路線で、ますます物理が要らなくなっています。<br />
<br />
　しかしながら、物理的な考え方をできる人がいなければ、次の世代を一体どうするというのですか。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_11">物理学は「何がわからないか」を探す学問</h2>
<p class="q">
―そもそも物理的な考え方とはどのようなものですか？<br />
</p>
<p>
　物理学は「何がわからないか」を探す学問だと思った方が良いでしょう。「これだけは全然何かわからないことが根本にあるのだ」ということを探すのが、物理学の重要な仕事です。それがわかったら、あとは化学や生物学等に譲るのです。<br />
<br />
　しかし、そういうことのわかる物理学者が減っていることを非常に心配しています。素粒子や物性理論といった分野としての区切りの前にあるのは、もっと一般的にある物理学ですよ。<br />
<br />
　少し話は脱線しますが、私は東京で財団法人の理事長をやることになったので、会合で「理事長挨拶」というものをしていたのですが、理事長挨拶の内容なんて、もう決まっているんです。けれども、そんなの馬鹿げているでしょう（笑）<br />
<br />
　そこで「挨拶講演」というものをつくりました。学問の中で物理的なコンセプトが、どのように存在するのか、どのように組み立てられているのか、それぞれのニュアンスで講演するというものです。物理学だけでなく、化学や医学等いろいろな話を交えてね。挨拶講演、結構好評なんですよ（笑）<br />
<br />
　数学にも、わりと同じようなところがありますね。数学的あるいは物理学的に、新しいものがどういうものか、そしてどんな普遍性があり、他の学問と接続しているのかを見つけ出して皆さんに伝えることが、物理学の大事な仕事なのです。<br />
<br />
　そのためには、それなりの教育をしなければいけません。物理学全体の基本を教えなければいけないのです。けれども、どうしても自分の専門にこだわって（視野が）狭くなりますからね。<br />
<br />
　今度の地震だって、「あんな津波は絶対に来ない」と専門家の学者が思い込んでいたわけですから。ですから、今度の現実は貴重な経験として、単なる事実の書き込みだけではなく、研究の方法論として学問を進化させるために使わなければいけないのです。<br />
<br />
　およそ予知をしようという学問では、大事なことは歴史を調べると出てくるものです。歴史を調べることで、ある程度の人は今度のような大津波が来ることを知っていました。産業技術総合研究所の研究者で、昔の痕跡（堆積物）を調べていた人がいます。すると約千年前の貞観津波、その千年前、さらにその千年前まではわかるそうです。やはり歴史を調べてみるとわかることもあるのです。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_12">人間を大事にすることと同じ</h2>
<p class="q">
―これまでのお話を踏まえて、中高生も含めた読者にメッセージをお願いします。<br />
</p>
<p>
　そもそも科学というものは、教育によってつくられるものではありません。科学は、人間の本性に関わるものです。人間がこの世に現れ、現在地球の覇者となるほど発展したのも、人間が科学という考え方を理解したからです。それが人間の、他の動物と最も異なる特性の一つであり、まずそれを非常に大事にして欲しいと思います。<br />
<br />
　皆さんが、非常に正直に自然を見る、あるいは人の社会を見る、そこで感じたことや思うこと、そこに科学の原点があります。それが非常に重要なことなのです。それは教育によって磨かれるものではありますが、そもそもは人間の本性に従っているものであることを、ぜひ認識して欲しいのです。科学も芸術も同じ原点を持ち人間の本性の一つです。つまり人間を大事にすることと同じなのです。<br />
<br />
　自分自身の最も特徴ある人間の本性を発展させること。その根本から、科学に対する理解や信頼、思い入れ、そういうものを育てて欲しいと心から願っています。<br />
</p>
<p style="text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120119.jpg" alt="" />
</p>
<p class="q">
―伊達先生、本日はありがとうございました。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_13">伊達先生が最近執筆した本の紹介</h2>
<p>
・『「理科」で歴史を読みなおす』(ちくま新書)　：一般向き<br />
・『極限の科学』（ブルーバックス）　：理系向き<br />
</p>



<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20120119-top.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20120119-top.jpg" width="600" height="401" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php</link>
            <guid>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20120119.php</guid>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">名誉教授</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">大阪大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">物理学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">物理学科</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">理学部</category>
            
            <pubDate>Sat, 21 Jan 2012 11:32:58 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>田村裕和さん（原子核物理学者）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？</title>
            <description><![CDATA[<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110810-top.jpg" alt="原子核物理学者の田村裕和さん（東北大学大学院理学研究科教授）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2011年12月27日公開</p>
<div id="subject">
<p id="t">物質のでき方の基本は謎だらけ</p>
<p id="n">田村　裕和　　TAMURA Hirokazu<br />
（東北大学大学院 理学研究科 物理学専攻　教授）
</p>
</div>

<p style="font-size:x-small;">
専門は原子核物理学（実験）。1983年東京大学理学部物理学科卒業。1988年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了（理学博士）。東京大学大学院理学研究科助手を経て、1996年東北大学大学院理学研究科物理学専攻助教授、2004年から同教授に就任し、現在に至る。2009年仁科記念賞を受賞。
</p>
<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
　<span style="font-weight: 600; font-size: small;">「科学って、そもそもなんだろう？」を探るべく、【科学】に関する様々な人々をインタビュー<br />
科学者の人となりをそのまま伝えることで、「科学とは、そもそも何か」をまるごとお伝えします 
</span><br />
<br />
英語の「atom（＝原子）」はギリシャ語の「これ以上分解できないもの」を<br />
語源とすることからもわかるように、太古の昔から人間は<br />
「物質とは何からできているのか」を探究し続けてきた。<br />
<br />
現代の教科書には、原子はさらに原子核と電子に分解され、<br />
原子核は陽子と中性子に分解されることが当前のように書かれ、<br />
さらに、物質を構成する最小単位は「素粒子」と呼ばれている。<br />
それでは、物質のでき方の基本など、みな既にわかっているものかと思いきや、<br />
「実は未だに謎は山ほどあるのです」と原子核物理学者の田村裕和さんは語る。<br />
<br />
物質の基本単位である原子核が、本当の意味での究極粒子である素粒子から、<br />
どうやってつくられてきたのだろう？<br />
それを「奇妙な素粒子（ストレンジクォーク）」を使って探究する<br />
田村さんという「人」から見える、科学とはそもそも何かを探った。<br />
<br />
＜目次＞<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_1">物質のでき方の基本は謎だらけ</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_2">素粒子（クォーク）から、どうやって原子核はできたのか？</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_3">奇妙なクォークでつくる「ハイパー原子核」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_5">複雑な原子核や物質の世界を、クォークの理論で説明したい</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_6">宇宙に浮かぶ巨大な原子核「中性子星」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_7">中性子星にある人類未知の物質を地球上で調べる</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_8">大強度陽子加速器施設「J-PARC」で実験本格化</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_9">一つの理論ですべての現象を説明したい</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_10">実験と理論が協力し合って、新しい物理学に発展する</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_11">ハイパー原子核γ線の測定に初めて成功</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_12">Λ粒子が原子核に入ると、原子核の大きさが縮む現象を発見</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810.php#p1_13">何かにとらわれることなく、いろいろな興味で、いろいろな経験をして</a><br />
【学生インタビュー】<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810-2.php#p2_1">先生や先輩たちの話を聞いて「おもしろそう」だった</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810-2.php#p2_2">７年間かけて皆でつくった実験装置「ハイパーボールＪ」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810-2.php#p2_3">自分が興味のあることを、体験しながら探して</a><br />

</p>


<br /> 
<div class="interview"> 
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/kagaku_interview.gif" alt=""> 
<p>東北大学大学院理学研究科教授の田村裕和さんに聞く</p> 
</div> 
<br /> 



<h2 id="p1_1">物質のでき方の基本は謎だらけ</h2>
<p class="q">
―田村さんはどんな研究をしているのですか？なぜ、その研究をしているかを中心に、教えてください。<br />
</p>
<p>
　まず、我々が研究しているのは、「原子核」や「素粒子」（＝物質を構成する最小単位）です。けれども、素粒子自体を研究しているのではなく、素粒子がどのように集まって原子核や物質をつくっていったかを、調べています。<br />
<br />
　皆さんが良くご存知の原子には、元素の周期表からもわかるように、たくさんの種類があります。原子の中には、原子核とそのまわりをまわる電子があります。<br />
<br />
　原子核には電荷（陽子の数）の異なるものが90数通りあり、それに応じてまわっている電子の数も異なるため、いろいろな性質の異なる物質ができるわけです。<br />
<br />
　また、電子は原子核に比べて非常に軽いので、原子の質量のほとんどは原子核の質量です。ですから、原子核がどのような電荷や質量を持つかが、実は、物質の一番基本的な性質を決めていることになるのです。<br />
<br />
　原子核は、陽子と中性子からなり、それらがだいたい同個数ずつ、くっついてできています。ですから我々の疑問は、物質のでき方の一番の基本である陽子や中性子が、なぜ存在するのか？それがどのようにくっついて原子核になったのか？その原子核には、どのような種類があるのだろうか？ということです。<br />
<br />
　こうしたことはもう当たり前のように教科書に書いてあるので、皆さんすでにわかっていることだと思われるかもしれませんが、実は、未だに謎は山ほどあるんですよ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_2">素粒子（クォーク）から、どうやって原子核はできたのか？</h2>
<p class="q">
―どのようなところが、まだわかっていないのですか？<br />
</p>

<div class="rightPicture" style="width:250px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110810_1.gif" alt=""  style="width:250px;" /><br />
<p>【図１】現在の知見では、物質は原子からなり、原子の中にある原子核は陽子と中性子（まとめて核子と呼ぶ）からなり、さらに核子は二種類の「クォーク」、upとdownから構成されていることが実験的にわかっている（提供：東北大学大学院理学研究科原子核物理研究室）</p>
</div>
<p>
　陽子や中性子の中には、さらに「クォーク」という素粒子があります。陽子と中性子は、クォーク３個で構成されていることがわかっています。このクォークが、本当の意味での素粒子、つまり、「これ以上分解できない究極の粒子」と考えられています。<br />
<br />
　しかし、クォークから陽子や中性子がどのようにしてつくられるのか、なぜクォーク３個なのか、こうした基本的なことが未だによくわかっていないのです。また、とても軽いはずのクォークから、なぜあのように100倍も大きな質量を持つ陽子・中性子ができるのかも大きな謎です。このように、素粒子クォークから陽子や中性子がつくられる謎を解明することが、物質を理解するための出発点です。<br />
<br />
　なおかつ、陽子や中性子ができても、それらがくっつかなければ原子核になりませんから、なぜくっつくのだろう？というところを解明することも必要です。そこにも、わからないことがいっぱいあるんです。要するに、このふたつを解明できれば、物質のでき方がわかったことになるのではないか、ということなんですね。<br />
<br />
　実際に、宇宙には一番最初は、バラバラの素粒子しかありませんでした。それなのに今の世界では、陽子と中性子、それらがくっついてできた原子核がもとになって物質となっています。つまり、宇宙の最初期「ビックバン」直後の素粒子だけの世界と、今の世界の間には、何か歴史的な発展があるわけですね。その途中には、まだまだわかっていないことがいっぱいあるのです。<br />
<br />
　要するに、物質の基本単位である原子核が、本当の意味での究極粒子である素粒子から、どうやってつくられてきたのだろう？それを調べることが、僕に限らず、原子核物理学者の現在のテーマですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_3">奇妙なクォークでつくる「ハイパー原子核」</h2>
<p class="q">
―その謎に対して、田村さんはどのようなアプローチで解明しようとしているのですか？<br />
</p>
<p>
　それを調べるにあたって、いろいろな方法があるのですが、我々は、クォークと陽子・中性子、あるいは、クォークと原子核の関係をもっと詳しく調べようとしています。<br />
</p>
<p class="q">
―どのようにして調べるのですか？<br />
</p>
<p>
　クォークは全部で６種類あることがわかっているのですが、現実の宇宙にはそのうち２種類しか存在しません。けれども宇宙のごく初期には、６種類あったことがわかっています。クォークは６種類あると予言したのが、小林・益川理論です（2008年ノーベル物理学賞）。その６種類は特別な実験でつくることができるんですよ。けれども、つくってもすぐに壊れちゃって、また２種類だけになってしまう。<br />
<br />
　陽子と中性子が原子核をつくる基本のブロックですが、その陽子と中性子は２種類のクォーク、「up（上向き）クォーク」と「down（下向き）クォーク」が組み合わさってできています。けれどもクォークは６種類あるのですから、別のクォークに取り替えれば、陽子・中性子ではないけれども、似たような別の仲間の粒子ができるはずなんですよ。<br />
<br />
　実は、そのような粒子は、加速器を使った実験で無理やりエネルギーを与えてやることで人工的につくることができます。しかし、このような粒子は、現在の物質世界には存在していません。なぜならば、つくってもすぐに壊れてしまうから。宇宙初期にはあったかもしれないですけど、今はないわけです。そのような意味では、こうした粒子を加速器で人工的につくる研究は、物質の立場から行う宇宙の研究の一種と言うこともできますね。<br />
<br />
　そこで今、我々は、クォーク６種類を全部使うのは難しいので、３種類目のクォーク「strange（奇妙な）クォーク」に注目しています。<br />
</p>
<p class="q">
―「３種類目」とは、何順で言っているのですか？<br />
</p>
<p>
　質量で言っています。図２を見てください。６種類のクォークの下にある数字が、質量を表しています。ちょっと単位が難しいのですが、upクォークとdownクォークの二つが特別に軽いのです。右に行くほど、ものすごく重いのですが、重たいものは不安定で、すぐに壊れてしまいます。ですから、無理やりつくっても地球上に存在できるわけがないのです。<br />
</p>

<div class="rightPicture" style="width:300px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110810_2.gif" alt=""  style="width:300px;" /><br />
<p>【図２】素粒子（クォーク）の種類（提供：東北大学大学院理学研究科原子核物理研究室）</p>
</div>
<p>
　けれども、３番目に軽いstrangeクォークは、不安定ではあるものの、upクォークとdownクォークの次に軽く、寿命が割と長いのです。寿命は、10のマイナス10乗秒（＝10億分の１秒）。「長い」と言っても一瞬ですが（笑）、それでも他の３種類よりは長くて、性質もよくわかっているんですね。<br />
<br />
　陽子と中性子は、「upクォーク・upクォーク・downクォーク」あるいは「upクォーク・downクォーク・downクォーク」で構成されています。この３個のうちいずれかを、strangeクォークに入れ替えるのです。すると「strangeクォーク・upクォーク・downクォーク」となり、陽子・中性子と似ているのですが、やっぱりちょっと違う性質を持った変な粒子ができるのですね。<br />
<br />
　このstrangeクォークが一つ入った特殊な粒子を「Λ（ラムダ）粒子」と呼んでいます。Λ粒子は、陽子・中性子の仲間ですから、実はちゃんと原子核の中に入れることができるのですよ。こうしてできる原子核を「ハイパー原子核」と言うのですが、我々は実際にこれを実験でつくって研究しているのです。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_5">複雑な原子核や物質の世界を、クォークの理論で説明したい</h2>
<p class="q">
―どうして「ハイパー原子核」をつくるのですか？<br />
</p>
<p>
　どんな意義があるかと言いますと、一つは、周期表にあるような原子のもとになっている原子核とは構成要素がまるで違う、質的に全く異なる原子核、あるいは物質をつくることができるということです。こういう新しいタイプの原子核をたくさんつくり、物質の種類を広げることが、一つの興味です。ただ、これはつくったとしても非常に寿命が短く、ある時間が経つと壊れちゃうので、そのまま何かに応用できるというものではありませんね。<br />
<br />
　我々の目的の一つは、先ほどもお話しましたように、陽子と中性子からなる原子核の中で、陽子と中性子がどのような力でくっつきあっているかを調べることです。この陽子と中性子の粒子間の力を「核力」と言います。湯川秀樹先生がその力のしくみを予言し、ノーベル物理学賞を受賞した、日本人には非常に馴染みある重要な力ですね。けれども実は、湯川さんが約50年も昔にノーベル賞を受賞したにもかかわらず、核力は未だに完全には解明されていないのです。<br />
</p>
<p class="q">
―どのあたりが解明されていないのですか？<br />
</p>
<p>
　もともと陽子と中性子の間には、湯川さんの言うように特別な"のり"みたいな物質（中間子）があって、それでくっついていると言われてきました。その考え方は正しいのですが、すべての物質はクォークでできていることがわかっちゃったので、すべてクォークで説明できなければならないわけです。湯川さんの発見した"のり"の物質も、実は、クォークでできていることがわかりました。<br />
<br />
　すべての陽子と中性子のくっつき方や原子核のでき方を、すべてクォークの理論によって説明することができるはずなのです。それで「すべてがわかった」ことになるのですね。ところが、それは大変難しいので、クォークの種類を全然違う種類のものに替えて、陽子・中性子を種類の違う新しい粒子にし、現実には存在しない原子核を無理やりつくってやるのです。<br />
<br />
　すると、その粒子間の力も変わるはずですよね。そして、その粒子と他の陽子・中性子の間の力をいろいろ調べてやれば、クォークを替えると力がどう変わるかがわかるのです。要するに、クォークの種類を入れ替えたら核力はどう変わるかを調べていくと、核力はクォークのどのような性質から生まれるのかがわかるわけですね。こうして、クォークの理論から、核力、あるいは原子核の性質を導き出すことが可能になるわけです。<br />
<br />
　何か基本的な法則があったら、そこから全てが演繹的に計算され、説明されて欲しいわけですね。物理学って、そういうものなのです。ですから、例えばアインシュタインの一般相対論のような基本理論があると、それは方程式一つだけの本当にシンプルな理論ですが、そこから、時間・空間の性質からあらゆる天体の動きやら宇宙全体の性質までが全部、出てこなければいけないわけです。そして実際に出てくるわけですね。それと同じことを、物質に対してもやりたいわけですよ。<br />
<br />
　クォークの基本理論は一応あるのですが、そこからどうやったらこの現実の複雑な原子核や物質の世界が説明できるかは、まだわかっていないのです。それをやりたい、そういうことなのですよ。そのために、クォークの種類を替えた原子核をつくってみて、そこからクォークの理論で物質がどのように説明できるか調べているということです。それが我々の一番大きな目的ですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_6">宇宙に浮かぶ巨大な原子核「中性子星」</h2>
<div class="rightPicture" style="width:300px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110810_3.gif" alt=""  style="width:300px;" /><br />
<p>【図３】中性子星ができるまで（提供：東北大学大学院理学研究科原子核物理研究室）</p>
</div>
<p>
　実はもう一つ、おもしろい目的があるんですよ。ここに、いろいろな星の絵がありますが、「中性子星」という星があるのです。太陽のような星、いわゆる恒星は、どんどん大きくなっていきます。星の内部で原子核反応が起こっていて、どんどんエネルギーを出して膨張していくのです。そして最後には大爆発を起こして、壊れちゃいます。この大爆発のことを「超新星爆発」と言います。<br />
</p>

<p>
　超新星爆発を起こすと、外側はすべて吹き飛ぶのですが、その反動で内側は圧縮されて、一番内側には非常に質量の大きい固まりが残ります。それが重すぎた場合は、ブラックホールになります。けれども、ブラックホールになり切れなかった中途半端に重たいものがあるんですね。それを「中性子星」と言います。<br />
</p>
<p class="q">
―「中性子星」のどのようなところがおもしろいのですか？<br />
</p>
<p>
　普通の物質は、原子核のまわりに電子があって、それが原子をつくっていて、その原子が結晶のように並んで物質になっています。けれども、その電子が全部消えてなくなって、すべての物質の原子核だけがくっつき合って塊となって一つの星ができているのですよ。ほとんど中性子だけから成り立っているので中性子星というわけですが、ものすごく密度が大きいんです。耳かき一さじ程度でトラック1000台分くらい。それくらい膨大な質量を持っているんです。<br />
<br />
　原子核には陽子があったはずですが、陽子はプラスの電荷を持っているので、陽子と陽子の間では、実は電気的な反発力があるわけですね。原子核の中ではこの反発力よりも、もっと強い"のり"の力で陽子同士もくっついているわけですが、そうは言ってもあまりに陽子の数が多くなると、陽子同士の反発力によってバラバラになってしまいます。<br />
<br />
　電子は、マイナスの電荷を持っているでしょう？電子と陽子がくっついて中性子に変わるんですね。すると、電子の数と陽子の数は等しいですから、最終的には全部、中性子になっちゃうわけです。星と言っても半径10キロメートルくらいの小さな星ですが、それが太陽の２倍くらいの質量を持っているんです。凄まじいでしょう？<br />
<br />
　すべて中性子だけという塊、一個の巨大原子核のような星です。それが実際にあることがわかっていて、天文の観測でもたくさん見つかっています。それを発見した人や計算した人たちが、すでにノーベル賞を受賞しています。また、さきほど電子と陽子がくっついて中性子に変わるといいましたが、実は電子は、マイナス電荷を陽子に吸い取られて「ニュートリノ」という中性の粒子に変化し、星から外へ逃げていきます。これを実際に観測して、超新星爆発で中性子星が作られるメカニズムを証明したのが、小柴先生です。中性子星は、宇宙の中でも非常におもしろい天体なんですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_7">中性子星にある人類未知の物質を地球上で調べる</h2>
<p class="q">
―中性子星と田村さんの研究は、どのような関係があるのですか？<br />
</p>
<p>
　中性子星があることはわかっていますが、その性質は謎に包まれています。現場に行って直接調べるわけにもいかないので、観測だけで皆、遠くからのぞいて想像しているだけなのです。ただ、いろいろな中性子星の観測結果と、さまざまな原子核の実験データをもとにつくられた理論を組み合わせてみると、どうも中性子星の中では、密度が非常に大きいせいで、３種類目のstrange クォークが勝手に生まれ、中で安定に存在しているらしいということが、予想されるようになってきたのです。<br />
<br />
　これはかなり画期的なことです。宇宙にあるこの世界の物質は、今現在はupクォークとdownクォークの２種類だけでできているはずなのです。初期宇宙では、ほかのクォークもあったはずなのですが、すぐに消えちゃったはずなのです。けれども今でも、中性子星の中に行けば、外側はupクォークとdownクォークからなる中性子ですが、中の方にはstrange クォークがあるらしい。これは、我々の物質観がかなり変わることだと僕は思うのです。<br />
</p>
<p class="q">
―どのように物質観は変わるのですか？<br />
</p>
<p>
　だって、これまでupクォークとdownクォークだけで、宇宙のすべてはできていると思われていたわけです。けれども実は、そうじゃない。strange クォークの入った物質は、普通の原子核とは全く違う性質を持っているはずなので、我々が全く知らない物質なわけです。あるいは、別の言い方をすると、先ほどお話したΛ粒子のように、strange クォークの入った粒子が、中性子星の中にはいっぱいできているのではないか。それが本当だとすると、すぐ壊れちゃうはずなのに、壊れないで安定して存在していると予想されます。<br />
<br />
　それが本当かどうかを調べるためには、もちろん観測しても良いのですが、所詮観測しても現場に行けるわけではないので、詳しくはわかりません。そこで、我々がやっている実験では、strange クォークの入った原子核をつくります。この性質を詳しく調べてやると、strange クォークが入った時、物質あるいは原子核の性質がどう変わるかがわかるわけです。それで、その理論がつくれるわけですね。この理論計算を進めると、じゃあ、これが大きくなって中性子星になったら、中にstrange クォークがどれくらい存在していなければならないか、計算で出すことができます。けれども、その計算のもとになるのは、我々がやるような実験なのですよ。<br />
<br />
　要するに、ハイパー原子核の実験をすることによって、strange クォークの入った物質の性質を調べ、中性子星の中のstrange クォークの割合、あるいは、そこがどういった性質の物質かを解明することができるのです。ですから我々の実験には、実際に行って調べることができない中性子星の中にある、今まで人類が知らなかったすごく変な物質を、地球上で調べているといった意味もあるのですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_8">大強度陽子加速器施設「J-PARC」で実験本格化</h2>
<p class="q">
―それはどの辺りまで明らかになっているのですか？<br />
</p>
<p>
　なかなか鋭い質問ですね（笑）。これは日本で特に盛んな分野です。筑波のKEK（高エネルギー加速器研究機構）や京都大学、大阪大学の人たちと一緒に研究しています。ハイパー原子核やstrange クォークの研究は、世界で最も日本が進んでいる分野なのですよ。<br />
<br />
　今まで我々がやってきた研究を全部合わせますと、中性子星の中のどれくらいの深さまで行って、密度がどれくらいまで上がれば、strange クォークが発生し始めるのか、ということがかなりわかってきました。半径15kmのうち中心から5kmから10kmくらいでしょうかね、中心に近いところへ行くと、急に strange クォークが、ばーっとできてくるんです。そういった中性子星の中の構造もわかってきました。<br />
<br />
　ただ、そうは言っても、まだ観測と合わないところもあって、謎がいっぱいです。例えば「中性子星の中はこうなっているはずだ」と計算も一応できるのですが、計算式を少し変えてみると、答えがかなり違ってしまうので、ちょっと難しいですね。まだ完全にはわかっていないのです。そのためには、もっとこういった研究をしなければいけないですね。<br />
<br />
　さらに、実はつい最近、とても質量の重い中性子星が発見されて、天文学者や核物理学者の間で世紀の大発見かもしれないと大騒ぎになっています。この重い中性子星の中にもstrange クォークがあるはずですが、それがΛ粒子のような我々が知っている粒子（バリオン）とはまったく違う形で存在している可能性があるのです。
<br />
<br />
　陽子、中性子、Λ粒子のようにクォーク３つが閉じ込められた塊の粒子（バリオン）ではなく、クォークがばらばらになってしかも超伝導状態になっている「クォーク物質」ができていなければ、その中性子星の重い質量が説明できないのです。「クォーク物質」の存在が証明できたら本当に画期的なことですが、そのためにも我々の研究がますます重要になっています。
</p>
<p class="q">
―これからどのように研究を進めますか？<br />
</p>
<p>
　こういった strange クォークが入った粒子って、Λ粒子の他にも何通りもあってね。strange クォークが２つ入っていたり、電荷もプラスのやつもあればマイナスのやつもあるし、電荷がないやつもあるんです。陽子と中性子は、プラスとゼロですけどね。strange クォークが入った粒子には、電荷がマイナスのやつもあるんです。<br />
<br />
　このように異なる種類のstrange クォークが入った粒子を全部、原子核にそれぞれ入れてどうなるかを調べます。すると、中性子星の中でもどの種類がどれくらいできてくるのか、といったことも全部わかるだろうと思います。それを、これからどんどんやっていこうと思います。<br />
</p>
<p class="q">
―具体的には、どのような実験をするのですか？<br />
</p>
<p>
　茨城県東海村で2009年から稼働した、「J-PARC」というすごく大きな加速器を使います。世界最強の強いビームを出す、凄まじい加速器ができたのですよ。これは陽子のビームなのですが、飛んでくる陽子の個数（加速度）が、世界で断トツに多いのです。その強度はこれまでの世界最高加速器の10倍にもなります。<br />
<br />
　J-PARCで本格的な実験がやっと始まりつつあったところで、今回の震災によって多少被害を受けてしまいました。しかし修理は無事済んで、2012年1月から本格的に動き出します。そうすると今お話したハイパー核の研究が、ものすごく進むはずですよ。すると多分４、５年もすれば、もう少しはっきりと「中性子星の中はこうなっているはずだ」と言えるかもしれませんね。<br />
<br />
　もう一つは、先ほどお話したように、なぜクォークが３つでくっ付いて、それで陽子と中性子ができて、その粒子間の力（核力）が今のようになっているか。それをきちんとクォークの理論で説明する時に、非常に役に立つデータが取れると思います。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_9">一つの理論ですべての現象を説明したい</h2>
<p class="q">
―田村さんの研究に対する個人的なモチベーションを聞かせてください。<br />
</p>
<p>
　物理の研究は、基本的な物理法則で、全ての現象を説明することが目標です。物理学とは、そういう学問なのです。例えば、ニュートンの理論というのは、それまで別々の法則に従うと信じられていた地球上の物体の動きと天体の動きを、一つの法則で同時に統一的に説明してしまったのですね。それが「かっこいい、素晴らしい」と憧れて、物理の道に進みました。<br />
<br />
　今一番の問題は、クォークという素粒子があり、クォークがどのような法則に従うかはわかっているのに、そこから現実に存在する物質のさまざまな性質が、まだ説明できていないということです。もちろん、この課題は世界的に研究されています。そこに少しでも自分が貢献したいと思うのです。<br />
<br />
　アインシュタインのように何か一つの画期的な理論を考えつき、たった一つの方程式を計算してやれば、あらゆるものが説明できてしまう。そのような理論をつくるのは、すごくかっこいい。アインシュタインのように究極の理論をつくって、すべての現象を説明したいというのが、物理をやるすべての学生の夢だと思います。それもあって、理論物理学者になりたい学生さんがいっぱいいますね。<br />
<br />
　アインシュタインの重力の理論は完璧ですごいのですが、それとは別に、物質の基本単位であるクォークの理論もちゃんとあって、それも間違いないことがわかっています。けれども、違った理論がいくつかあったら、本当は気持ち悪いのです。「重力が今のようになっているのはなぜか？」「物質が今のようになっているのはなぜか？」、やっぱり一つの理論から、すべてを説明したい。それは、誰も見つけていない究極の理論で、それができたら本当に素晴らしい。それに憧れて理論物理をやりたい学生もいっぱいいます。<br />
</p>
<p class="q">
―理論か実験で言うと、田村さんは実験物理ですね。<br />
</p>
<p>
　僕も学生の頃は、かっこいいので、アインシュタインみたいな理論物理をやりたいと思っていました。けれども、なんせ数学的な能力がある人でないとできない、それはすぐにわかるんです。<br />
<br />
　僕の場合は学部３年生の時、こういう原子核の実験をやる先生で、素敵な方に出会いました。自分がやっている研究が如何に楽しいか、いつもニコニコしながら楽しそうに講義で喋っているのです。何を言っているかわからなかったことも多かったのですが、とにかく楽しそうなので、その研究室に行ってみました。<br />
<br />
　それ以来、こういう実験の方が、おもしろいと思うようになりました。もし僕が理論をやっていたら、研究者になれなかったかもしれないし、あるいは、たいした成果も出なかったかもしれないですね。僕の場合は、父親が電気屋さん、つまり技術者だったこともあって、装置をいじったり、何か測ったりすることが好きだったというのもありました。それで、実験の方に行ったのです。<br />
</p>
<p class="q">
―実験物理ならではの「おもしろい」ところは何ですか？<br />
</p>
<p>
　理論物理はもちろんかっこいいのだけど、でも物理学である以上、数学とは違うところが一つだけあるのですよ。現実に合っていない理論は、ゴミと同じなのです。どんなに素晴らしい理論でも、現実と合わない理論は、数学としては良いですが、物理学には全くならない。<br />
<br />
　「じゃあ、この理論は現実をちゃんと記述しているのか？」を確かめるには実験家の努力が必要です。それで、いろいろな工夫をして、いろいろなデータをとって、いろいろな怪しい理論が出てくる中で、どれが正しいのか、あるいは、どれも正しくないのか、を判定します。ものすごい数のいろいろな理論が提案されていますが、全部正しくないことも、たくさんありました。<br />
<br />
　実験をやると、どの理論も予想していない、すごく不思議な現象を見つけちゃっうことがよくあります。それが本当の発見なんです。実験屋さんが、理論屋さんが予想もしていなかったことを見つけると、その説明をするために、全く新しい理論が必要になって、その新しい理論を使うと初めて、他にいっぱいあった謎も一気に解明されることもあります。つまり、実験をやることによって、理論家が思いもしなかったような、物理学を発展させる。そういうことが素晴らしいと思いますね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_10">実験と理論が協力し合って、新しい物理学に発展する</h2>
<p>
　あと、理論がかっこいいと言いましたけど、素粒子はどうしても理論主導の面がなくもないのですけど、我々が今やっているような素粒子と現実の物質を結ぶところですね、そこは理論計算がものすごく難しいところで、理論だけではやっぱりうまくいかないのですよ。<br />
<br />
　理論と実験が対等に協力し合って、場合によっては実験の方が理論をリードして、いろいろデータをとって、いろいろ解釈して、「どういう理論だったらこれを説明できるか」を理論家と一緒に検討して、新しい考え方をつくっていきます。そうやって進んでいくんです。<br />
<br />
　実は、それは原子核だけでなく、物質のもう少し先の世界、結晶や超伝導体など、これを「物性物理」と言いますが、そういった物質の性質の研究分野も同じです。理論と実験が本当にうまく絡み合って、協力し合って物理学をつくっていく。さらに、半導体や超伝導体の研究をしている人はそれ自身もおもしろいのだけど、それが産業に応用できるところもあって、さらに進んでいるわけです。<br />
<br />
　我々はちょっと残念ながら、ハイパー核とか変な原子核はいっぱいつくれますけど、すぐに消えちゃうので、それを使って、何か世の中に役に立つことができるかと言えば、実用性は今のところ全くないのですが。ただ物理学としては、物質と素粒子の間を結ぶ、一番大事なところだと思っています。やっぱりそこが一番、今やりがいがあるところだと思っています。<br />
</p>
<p class="q">
―今まで研究してきた中で、実際にそのようなことはありましたか？<br />
</p>
<p>
　実験物理の醍醐味の話ですが、先ほど僕が言ったのは、例えば、ニュートンが不十分でアインシュタインが正しかったというような、もっと物理学の枠組みをひっくり返すような、ものすごい大転換の話です。そういう大転換が実験によって起こることも、過去にはありましたね。<br />
<br />
　例えば、４種類目のクォークを発見した実験なんかが、そうですね。実は、さきほどクォークは６種類あるとお話しましたが、1960年ごろクォークという素粒子が考え出されたときにはクォークは３種類でした。それが、４種類目のクォークを実験家が発見してしまったので、大変なセンセーションになりました。<br />
<br />
　クォークが４種類あるといいと予想していた理論家もいるにはいましたが、そもそもクォークは素粒子なんだから種類がたくさんあったら不自然でしょう。「３種類なら許せるけど、４種類あったらおかしいだろう。だったら、５つ目、６つ目、７つ目はどうなっているんだ」という話になりますからね。場合によっては、「本当は素粒子ではないのではないか。さらにその中に何かあるのではないか」と思う人もいるしね。それは大変な大発見だったわけです。<br />
<br />
　けれども、よくよく考えたら本当は６種類なくてはいけないのだと、４種類目が見つかる前から言っていたのが、小林・益川理論です。ものすごく先見の明があったわけで、それは理論の素晴らしさですね。<br />
<br />
　けれども当時は、誰もそんな理論は顧みず、「素粒子と言うのだから、数がいっぱいあっちゃ駄目でしょう」と、あまり相手にされなかったことでしょうね。でも実験で４種類目が見つかったので、「じゃあ、５つ目、６つ目もあるかもしれない」と、小林・益川理論も取り上げられるようになったわけですね。要するに、一つの実験で、さっと大きく理論の考え方が変わることがあります。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_11">ハイパー原子核γ線の測定に初めて成功</h2>
<p class="q">
―田村さんの研究では、いかがでしたか？<br />
</p>
<p>
　僕の実験で言えば、そんな大それたことはないです。けれども僕の場合は、実験で大発見というよりも、「こういうものはあるかもしれないけど、誰も測れないだろう」と思われていたものを、装置を工夫して測れるようにしたんですね。<br />
</p>
<p class="q">
―どのようなものを測れるようにできたのですか？<br />
</p>
<p>
　ハイパー原子核から出てくるγ（ガンマ）線を測ったんです。「それを測ると、こんなことがわかるはず」と、前もって理論家の人がいろいろとアドバイスしてくれていました。けれども測れなければ全然始まらない話なので、みんな測りたいと思っていたわけですが、今まで誰も測れなかったのです。そこでいろいろ装置を開発して、測定に成功しました。<br />
</p>
<p class="q">
―ハイパー核から出てくるγ線を測ると、どんなことがわかるのですか？<br />
</p>
<p>
　要するに、strangeクォークを持った粒子（Λ粒子）が、原子核の中で、どのように動いていたり、どんな力をまわりから受けているかが、γ線の測定によって、手に取るようにわかるようになった、ということなのです。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜγ線の測定によって、Λ粒子の動きや力がわかるのですか？<br />
</p>
<p>
　γ線とは光の一種です。普通の可視光やエックス線などの光は、原子から出ます。原子のまわりをまわっている電子には、軌道があり、軌道が変わる時、余分なエネルギーを光として出すわけですね。それと同様に、原子核も、陽子や中性子がぐるぐると原子核の中を整然とまわっているのです。そこにも実は軌道があって、そのまわっている軌道が変化する時に出る光が、γ線なのです。<br />
<br />
　そのγ線のエネルギーなどを正確に測ることで、原子核の中でどういう軌道でまわっているか、わかっちゃうわけです。それが我々の装置によって、できるようになったわけですね。このようにして、Λ粒子が中でどう動いているかがわかり、中で動いているΛ粒子が受けている力もわかるようになって、、ハイパー核の中身の細かい構造がわかるようになりました。だいぶ、その辺の研究が進みました。<br />
<br />
　ただ、実験してみると、理論家の予想通りじゃないこともいろいろありました。例えば、γ線の出方やエネルギーなど、予想とはだいぶ違っていることもありましたね。それは、理論の中でΛ粒子の核力が正しくなかったからです。そこで理論が修正されて、そうやってより正しい理論に変えられていく。やはり実験あるいは理論が何か大発見してすべてが発展したと言うより、実験と理論の両方で互いに連携しながら研究が進んでいく。そういうことだと思いますね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_12">Λ粒子が原子核に入ると、原子核の大きさが縮む現象を発見</h2>
<p class="q">
―「実験と理論の両方で互いに連携しながら研究が進んでいく」具体的なエピソードはありますか？<br />
</p>
<p>
　ハイパー核のγ線測定は、僕のこの１５年くらいのテーマですが、それを最初にやろうとした頃のことです。当時、僕は助手で、ハイパー核のγ線をこれから測り始めると言った時、当時、理論の大学院生だった肥山詠美子さん（現在、理化学研究所）が、「γ線を測るのなら、ぜひある測定をしてください。原子核にΛ粒子を入ると原子核がきゅっと縮むのがわかるはずなんです」と言ってきたのです。<br />
<br />
　Λ粒子が原子核に入ると原子核がきゅっと縮むとは、昔から理論的には予想されていて、計算もされていたのですが、誰も測れる人がいなかったのです。けれども、僕の装置を使ってγ線の放出の様子を正確に測ると、実は縮む様子までわかることに、最初は僕も気づいていなかったかなぁ。<br />
<br />
　それで当時２０代の彼女が、「こういう風に縮んで、その縮んだ影響でγ線の出方がこう変わるはずだ」というところまで精密に計算して論文までつくって、それで「測ってください」って言ってきたわけね。「あぁこれだったら、本当に測れるかもしれないな」と思い、急きょ実験方法を検討して、すでに提出していた実験提案書を書き換えて再提出して、それで実験したのです。<br />
<br />
　そしたら彼女の予言通り、原子核が縮んでいる証拠がつかまった、ということがありましたね。楽しいですよ。理論の予言通りでも楽しいし、違っていても、それはそれで楽しいです。<br />
</p>
<p class="q">
―その研究は、どのような点でユニークなのですか？<br />
</p>
<p>
　だいたい原子核は、ほとんど縮まないことで有名な物質なのです。水玉のようにぶよぶよ振動したりして一瞬だけ縮むこともあるのですが、ずっと縮んだ状態にしておくことはできない。水だって、圧縮しようとしても密度はほとんど変わらないですよね。大きな原子核も小さい原子核も、いつも一定の密度なのですよ。陽子と中性子は割とみっしり詰まっているのですが、それがいつも完全にくっついているわけでなく、ちょっと微妙な一定の距離を置いてお互いが存在しているのです。<br />
<br />
　陽子や中性子のように、互いに引力で引き付け合っている粒子が集まれば、たくさん集まるほど全体が小さく縮むのが普通なのですが、原子核は縮まないのです。大きくても小さくても、いつも同じ距離を保っていて、全体の密度は一定なのですよ。でもΛ粒子を入れると、ちょっとだけどぎゅっと縮んで密度が上がるんです。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ縮むのですか？<br />
</p>
<p>
　なぜ？を説明するのはちょっと難しいのですけど（笑）。Λ粒子は特別な粒子でして、クォークの種類が違うせいで、陽子や中性子がすでに存在している中にも、どこまでもずけずけと入っていけるのですよ。<br />
<br />
　陽子と中性子は、すでに自分の仲間がいるところには入れないのです。陽子ならすでに陽子がいるところには入れないし、中性子ならすでに中性子がいるところには入れません。<br />
<br />
　原子の中の電子もそうですね。電子もある軌道にすでに電子がまわっていると、同じ軌道に入れないのです。実は、これは高校の化学でも習っています。K殻、L殻、Ｍ殻というのはそれぞれがいくつかの軌道の集合です。同じ軌道を電子が１つしか回れないため、それぞれの殻にはいれる電子の個数も決まってしまうのです。<br />
<br />
　厳密に言うと、電子には上向きと下向きのスピンのものがあって、これを別々の粒子と考えていいので、一つの軌道に上向きスピン１個と、下向きスピン１個の２個が入れるのですけど、とにかく、ある軌道には同じ粒子は１種類しか入れないという決まりがあります。これは、「排他原理」と言うのですが、量子力学の鉄則なんですよね。「パウリ原理」や「パウリ排他律」とも言います。<br />
<br />
　その鉄則に従うと、原子の電子軌道の場合と同じように、陽子や中性子も、原子核の中でそれぞれいろいろな軌道を、みっしりと詰まってまわっているわけです。そこには外からは入れません。だから、一番外の空いている軌道をまわるしかないわけです。外の軌道をまわっても、中は別に縮まないわけですね。<br />
<br />
　けれども、Λ粒子は種類の違うクォークを持っている、陽子や中性子とは別種の粒子なので、その排他原理に従う必要がないため、陽子や中性子がすでにまわっている軌道にも入っていけるのです。一番内側でも、途中の軌道でも、好きな軌道に入ることができます。実験でも、好きな軌道に入れることができます。<br />
<br />
　そうやって中の方に入ると、そこだけ密度が上がりますよね。さらに、Λ粒子は陽子・中性子を引力でひきつけるので、まわりから陽子・中性子が集まってきて、全体の密度が上がる。そういうことが起こるんです。それはおもしろい。普通の原子核では、絶対に起こらない効果ですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_13">何かにとらわれることなく、いろいろな興味で、いろいろな経験をして</h2>
<p class="q">
―クォークの理論と、現実の物質、このふたつをつなげたい。そして、一つの理論で、この複雑な現実の世界を説明したい。そのためには、理論と実験がお互い協力し合うことが大事で、そのようにして物理学が発展していくおもしろさを、田村先生のお話から感じることができました。<br />
</p>
<p>
　そこをやらないと、現実の世界がわかったことにならないことは確かなのでね。<br />
</p>
<p class="q">
―では最後に、今までのお話を踏まえて、中高生も含めた読者へメッセージをお願いします。つまり、田村さんはどんなことが大切だと思っているかを、メッセージに代えさせていただければと思います。<br />
</p>
<p>
　一般には、やはり高校の頃は、何でも積極的にやってほしいな、ということですかね。僕なんかも、高校生の頃は受験勉強もあったし、物理や数学が好きだったけれども、精神医学や心理学の本を読んで「精神科医になりたい」と思ったり、仏教の本を読んだり。やっぱり、知的好奇心が一番大きい時でしたね。<br />
<br />
　だから、自分が将来何になりたいかなんて、普通はわからなくて良いと思うのです。高校の頃、それを決めるのは無理だと思います。よく自分が将来何をすれば良いかわからないということで、何となく引け目を感じると言うか、「自分の将来像もないのに勉強して良いのか、目的なく大学に進学して良いのか」と思っちゃう人が結構いるみたいだけど。<br />
<br />
　でも、僕もそうだったんですが、別に最初から科学者になるだなんて、それは決められないものですよね。もちろん科学者も一つの夢ではあったかもしれないけど。だから高校の頃は、将来の目標を明確にしていなくても、いいのかなと思うのですけどね。ただ、それでも高校３年生になれば進学する大学の学部や学科を決めなければいけないのが難しいところです。本当は早すぎると思うんですが。<br />
<br />
　将来の目標がはっきりしていなくてもいいのですが、無気力になってはいけません。高校生から大学１、２年生くらいまでは、とにかくいろいろなことに興味を持って、もちろんその中で気に入ったものはどんどん勉強してもらいたいですね。しかし、何かにとらわれる必要も必ずしもなくて、いろいろな経験をしてもらいたい、ということですかね。<br />
<br />
　東北大学の１、２年生によくいるのですけど、ひきこもってしまったり、あるいは、物理学科なら物理の勉強はするけど、ほかには興味がなかったり。もちろん、学校の勉強まっしぐらの人の良い部分もあるけど、でもやっぱり積極的にいろいろなことに首をつっこんでみたり、いろいろなことをやってみて、経験を積んでほしいなと思いますね。<br />
<br />
　そうやって、だんだんやりたいことが、自ずと見えてくると思います。ましてや高校生は、やはり基礎知識をつける時期、あるいは考え方の基本を身につける時期。ですから、今の学校でちゃんと勉強して、あと部活なり課外活動をしっかりやって、友達をたくさんつくってということを、普通にやることが一番良いと思うのですけどね。<br />
</p>
<p class="q">
―個人的な感想ですが、自分が中高生の頃を振返ると、何か具体的な目的に最適化しなければならないような脅迫感のような雰囲気があって、本当は自分が不思議に思ったり興味が湧いた気持ち自体を削ってしまった気がします。だから、それをとり払って、不思議に思ったり興味が湧いたものに、ナチュラルにリンクをかけれたら良かったなと思います。<br />
</p>
<p>
　全くそう思いますよ。なんか最近、そういう傾向がありますよね。将来の目標がなければいけないとかね。でもそれはかえって、酷なことかなと思いますけどね。けれども、だいたい大学の高学年くらいになったら、当然将来を見据えて、そこから先は、突っ走ることでしょうね。<br />
</p>
<p style="text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110810_4.jpg" alt=""  style="width:600px;" /><br />
</p>
<p class="q">
―田村さん、本日は大変お忙しい中、どうもありがとうございました。<br />
</p>

<br />
<p id="sa_next">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20071226-n.gif" alt="次へ">
<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110810-2.php">【学生インタビュー】先生や先輩たちの話を聞いて「おもしろそう」だった</a>
</p>
<br /><br />

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-->]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学理学部物理系同窓会 泉萩会</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">教授</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">物理学専攻</category>
            
            <pubDate>Tue, 27 Dec 2011 09:13:35 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>世界中の研究者が憧れる研究拠点へ／東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典</title>
            <description><![CDATA[<h1>世界中の研究者が憧れる研究拠点へ／東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典</h1>
<p class="date">2011年12月17日公開</p>


<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_28.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>７月末に竣工した東北大学WPI-AIMR本館＝東北大学片平キャンパス（仙台市青葉区）</p>
</div>
<p>
　東北大学原子分子材料科学高等研究機構(山本嘉則機構長、仙台市青葉区、以下WPI-AIMR)の本館の竣工記念式典が７日、開催され、同大学や文部科学省、施工業者などの関係者らが出席した。<br />
<br />
　本館の建設は震災のため予定より約４ヶ月遅れ、７月末に竣工した。外壁は旧東北帝国大学工学部金属工学教室のすだれレンガが壊されることなく保存され、居住空間はガラスを用いて現代的に仕上げられた。研究者同士の活発な交流を促進するためのスペースも設けられた。
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_03.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>東北大学WPI-AIMR本館竣工記念式典の様子</p>
</div>
<p>
　記念式典では、山本機構長が司会を務め、「これまで片平や青葉山キャンパスに散在していた研究者の大半が一堂に会することにより、さらなる異分野融合研究を推進し飛躍発展する研究環境が整った」と挨拶した。続いて井上明久総長からの挨拶があり、阿部博之元総長（現・科学技術振興機構顧問）、戸渡速志文部科学省大臣官房審議官、黒木登志夫WPIプログラム・ディレクターから祝辞があった。
</p>
<div class="rightPicture" >
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_05.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>交流会で鏡開きを行う関係者ら</p>
</div>
<p>
　記念式典後は、出席者が研究者の説明を受けながら、研究室や交流スペースなどの施設を見学した。次いで行われた交流会では、西澤潤一元総長（現・上智学院顧問）と長田義仁WPIプログラムオフィサーから祝辞があった後、関係者による鏡開きが行われ、同機構のさらなる飛躍発展を祈願した。
<br />
<br />
　同機構は、文部科学省が０７年度にスタートした「世界トップレベル研究拠点（WPI）プログラム」に採択された６拠点のひとつ。
材料科学分野を中心として、世界中から第一線の研究者が集い、異分野を融合させ、新材料の研究開発から応用まで一貫して取り組む研究拠点の構築を目指している。
</p>
<br />


<h2>インタビュー：関係者に聞くこれからの意気込み</h2>


<h3 style="border:0px">◆井上明久さん（東北大学総長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px; margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_inoue-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>井上明久さん（東北大学総長）</p>
</div>
<p>
　これまで各キャンパスに散在していた研究者が片平キャンパスに一堂に会することにより、本プロジェクトに求められている、異分野が融合し合うことで新たな科学技術・学術を創り出す環境は整った。後はぜひ各研究者等に頑張っていただき、さらには本学の発展に力を尽くしていただきたい。
</p>
<br />
<h3 style="border:0px">◆山本嘉則さん（東北大学WPI-AIMR機構長）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px; margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_yamamoto-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>山本嘉則さん（東北大学WPI-AIMR機構長）</p>
</div>
<p>
　（研究環境整備のため）文部科学省から２０億円を措置された、非常に大きな責任が我々にはある。国民の税金を使っているので、その期待に応えて、世界中から材料科学の研究者が集結するような、世界トップの研究拠点をつくらなければいけない。プロ野球選手が大リーグに憧れるように、「材料科学と言えば仙台」と世界中が憧れるような研究拠点をつくりたい。
</p>
<br />
<h3 style="border:0px">◆谷垣勝己さん（東北大学教授）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px; margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_tanigaki-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>谷垣勝己さん（東北大学教授）</p>
</div>
<p>
　日本は昔から内向き志向で、一時は世界へ出ようとした時期もあったが、最近は内に戻っている傾向にあると思う。このような世界トップレベルの研究拠点があれば、また新しく日本が外に打ち出せる、あるいは外国人を日本に呼んで来れることになる。それは研究の発展に重要なこと。その観点から期待をしているし、私個人としても楽しみだ。
</p>
<br />

<h3 style="border:0px">◆高橋隆さん（東北大学教授）</h3>
<div class="rightPicture" style="width:100px; margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_takahashi-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>高橋隆さん（東北大学教授）</p>
</div>
<p>
　WPIは世界が注目する研究所。これから東北大学の英智を片平に集結させ成果を挙げようという、まさに出発点。これまで各キャンパスに分散していた研究者達が新しい建物に一堂に会し、すぐ隣の部屋には、自分とは全く分野が異なる、一流の研究者達がいる。そこで融合研究を進めて、もう一飛躍したい。世界の材料科学のメッカという、東北大学の一番の強みを活かし頑張りたい。
</p>



<br />

<h2>フォトギャラリー（WPI-AIMR本館の施設見学）</h2>

<div style="width: 290px; float: left; margin: 15px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_02.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">内観</p>
</div>
<div style="width: 290px; float: right; margin: 15px 0px 0px 10px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_19.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">交流スペース</p>
</div><br class="c" />

<div style="width: 290px; float: left; margin: 15px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_11.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">バイオデバイス研究室（下村グループ）</p>
</div>
<div style="width: 290px; float: right; margin: 15px 0px 0px 10px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_12.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">界面物理化学研究室（栗原グループ）</p>
</div><br class="c" />

<div style="width: 290px; float: left; margin: 15px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_13.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">有機ソフト・ハイブリッド材料研究室（阿尻グループ）</p>
</div>
<div style="width: 290px; float: right; margin: 15px 0px 0px 10px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_14.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">電子材料研究室（谷垣グループ）</p>
</div><br class="c" />

<div style="width: 290px; float: left; margin: 15px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_15.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">界面物理化学研究室（Teizerグループ）</p>
</div>
<div style="width: 290px; float: right; margin: 15px 0px 0px 10px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_16.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">材料物理先端分光研究室（高橋グループ）</p>
</div><br class="c" />

<div style="width: 290px; float: left; margin: 15px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_17.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">界面物理化学研究室（一杉グループ）</p>
</div>
<div style="width: 290px; float: right; margin: 15px 0px 0px 10px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_18.jpg" alt="" style="width: 290px;">
<p style="font-size: x-small; padding: 0px; margin:0px">有機ソフト・ハイブリッド材料研究室（山本・浅尾研究室）</p>
</div><br class="c" />
<br />

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20111207_28.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111207_28.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111210.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">WPI</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">竣工式</category>
            
            <pubDate>Sat, 17 Dec 2011 18:30:45 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>飯島澄男さん（物理学者・化学者）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？</title>
            <description><![CDATA[<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_2011119-top.jpg" alt="飯島澄男さん（物理学者・化学者）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2011年12月5日公開</p>
<div id="subject">
<p id="t">幸運は準備のできた者に味方する
</p>
<p id="n">飯島　澄男　　Sumio Iijima<br />
（名城大学理工学部教授、 NEC研究開発グループ特別主席研究員など）
</p>
</div>

<p style="font-size:x-small;">
1939年、埼玉県生まれ。物理学、材料科学、電子顕微鏡学、結晶学の研究者。1963年電気通信大学卒、1968年東北大学大学院理学研究科博士課程を修了。1968年東北大学理学部助手、1970年米国アリゾナ州立大学研究員、1979年英国ケンブリッジ大学客員研究員、1982年新技術事業団(現・科学技術振興事業団)を経て、1987年日本電気株式会社（NEC）に入社。1991年にカーボンナノチューブを発見し、1998年から名城大学理工学部教授、2001年から産業技術総合研究所新炭素系材料開発研究センター（現ナノチューブ応用研究センター）研究センター長など現職で兼任。「高分解能電子顕微鏡法の確立およびカーボンナノチューブの発見」などの業績により、ベンジャミン・フランクリン賞、バルザン賞、カブリ賞、アストゥリアス皇太子(スペイン)賞などの海外の賞や、日本学士院賞恩賜賞、文化功労者顕彰、文化勲章など国内の賞など、数多くの賞を受賞。トムソンISI社の調査により、2007年にノーベル物理学賞候補として名前が挙がっている。
</p>
<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
　<span style="font-weight: 600; font-size: small;">「科学って、そもそもなんだろう？」を探るべく、【科学】に関する様々な人々をインタビュー<br />
科学者の人となりをそのまま伝えることで、「科学とは、そもそも何か」をまるごとお伝えします 
</span><br />
<br />

２１世紀を支える基幹材料のひとつとして期待されているナノ炭素素材<br />
「カーボンナノチューブ」の発見者として世界的に著名な科学者の飯島澄男さんは、<br />
「"カーボンナノチューブの飯島"と言われるのが、心外でね」と笑う。<br />
<br />
はじめから狙ってカーボンナノチューブを発見したわけではない。その意味では偶然だ。<br />
しかし、新たな分野に自ら飛び込むことで見つけた「おもしろい」分野・電子顕微鏡の研究で、<br />
飯島さんは、物質構造を原子レベルで解明する高分解能な電子顕微鏡の技術を、世界に先駆けて開発。<br />
約30年間も「みる」体験と「どうしてか？」を積み重ねた結果、ある瞬間、パッと新しい世界がみえたそうだ。<br />
「幸運は準備のできた者に味方する」（パスツール）という意味では、必然の結果でもあった。<br />
<br />
このように偶然をとらえて幸運に変える力を「セレンディピティ（serendipity）」と言う。<br />
そこに至るまでの過程こそが大切と語る、飯島さんから見える、科学とはそもそも何かを探った。<br />

<br /><br />
＜目次＞<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_1">サイエンスとエンジニアリングのキャッチボール</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_2">だんだん取捨選択して今に至る</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_3">サイエンスとエンジニアリングが混じり合っている</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_4">細分化された分野が融合されていく</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_5">既存のものには満足しない好奇心</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_6">みないことには何もはじまらない</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_7">玉石混淆の中から本物を見抜く目</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_8">共通の思考は「どうしてか？」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_9">体験や経験がなければ、せっかくの宝物も見逃してしまう</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_10">おもしろがる感性と洞察力</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_11">へそ曲がりがいないとチャンスはつかめない</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_12">これからの日本の科学は、時間の問題</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_13">学校の試験の良い・悪いは、たかが知れている</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_14">背水の陣で仕事をしたのか</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php#p1_15">失敗を恐れず挑戦し、自分に合ったもの見つけて</a><br />
</p>


<br /> 
<div class="interview"> 
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/kagaku_interview.gif" alt=""> 
<p>カーボンナノチューブ発見者の飯島澄男さんに聞く</p> 
</div> 
<br /> 



<h2 id="p1_1">サイエンスとエンジニアリングのキャッチボール</h2>
<p class="q">
―単刀直入にお伺いしますが、飯島先生がリアルに感じる、科学ってそもそも何ですか？<br />
</p>
<p>
　うわぁ、始めから、そんな漠然とした大きな科学？（笑）そうですね...いくつか科学に対する見方があると思いますが、「学問としての科学」と「科学を基礎にして産業に役立てる応用科学」、まずはこの２つに分けられるかしら。<br />
<br />
　そこに関わる人たちも、前者は大学の先生などサイエンスに携わる人、後者はいわゆるエンジニアリングに関わる人、だいたいこの２つに大きく分けられるんじゃないかな。<br />
<br />
　私の場合、科学と言うと、自然科学になりますけどね。科学とは、基本的には自然現象を理解すること。これまで人類は長い時間をかけて自然現象を理解しようとしてきました。それは今に続いているし、これからもずっと続くと思います。<br />
<br />
　もう一方の応用科学の方は、これは我々人類の生活に直接役に立って、いろいろな面で見えてくるところがあります。エンジニアの方は「科学技術」と言った方が良いのかもしれません。<br />
<br />
　サイエンスあるいはエンジニアリングをやる現場の人間からみると、人それぞれ適正がありましてね。生まれながらにして自然現象に興味を持つタイプの人と、ものをつくることに喜びや生きがいを感じるタイプの人、大別してこの２つに分けられる気がしますね。<br />
<br />
　ですから、いろいろな自然現象を理解しているばかりでは我々の生活の役には立たんのですが、かたや、エンジニアリングの才能や興味がある方たちがいるので、それでうまいことキャッチボールしながら、科学全体が進んでいくと思います。<br />
<br />
　なお、自然科学のほかにも人文科学や社会科学があります。そうなると興味の対象が、自然科学の場合はまさに自然ですが、社会科学や人文科学の場合は対象が人間やその営みだったりします。そういう意味で、ここでの話はいわゆる理科の話になると思います。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_2">だんだん取捨選択して今に至る</h2>
<p class="q">
―なぜ飯島さんはそう思うようになったのですか？<br />
</p>
<p>
　おそらく２つ理由があると思いますね。一つは、やっぱり小さな頃から、いろいろなことに興味を持っていました。それが今でもずっと続いているかなぁ。<br />
<br />
　動物であったり植物であったり。蝶々を捕まえたりして昆虫採集をやっていたな。とにかく自然現象には結構興味を持っていたかもしれませんね。あるいは模型飛行機をつくるのにも興味がありました。ラジオをつくるラジオ少年だったなぁ。<br />
<br />
　そうやって小学校、中学校を過ごし、今度は高等学校にくると、まず自分の興味は２つに分けられました。文系ではなく理系だな。そこらで分かれたかな。でも、具体的にはどうなるかわからない。それがまず一つかな。<br />
<br />
　それからもう一つは、これも自分の話だけど、もう一つの選択肢として今度は、例えば文系に行くとすると相手は人間ですよね。人間とか、そういうことには向いていないことが、だんだん歳をとってわかってきたかな。<br />
<br />
　最初の頃は、医者とか外交官とか、漠然としたものをいろいろ考えていました。だけど、それには俺は向いていないなと。そういう意味では、選択肢が絞られてきたと言うか、だんだん取捨選択して、今に至っているという感じです。<br />
<br />
　我々の仲間の中には、始めから「科学者になる」という強力なモチベーションで突き進んでいる人もいますが、私の場合はそうではないですね。</p>

<br />
<h2 id="p1_3">サイエンスとエンジニアリングが混じり合っている</h2>
<p class="q">
―飯島さんの中には、サイエンスとエンジニアリングの２つが同時にあるということですか？<br />
</p>
<p>
　今の私をみると、純粋な基礎科学と言うより、どちらかと言うと応用科学に近いと言いますか。そこら辺はバサッと切れるものではないので、混ざり合っている、ということかもしれませんね。<br />
<br />
　歴史的な発明や発見もそうですね。例えばトランジスタの場合、シリコンやゲルマニウムといった材料が電気を通したり・通さなかったりする現象が「発見」されました。それを使ってトランジスタが「発明」され、現在のコンピュータにつながるわけです。<br />
<br />
　つまり非常にわかりやすく言うと、サイエンスの方は、いろいろな自然現象の新しい現象を「発見」する。それを使って我々の社会に役立つよう応用するエンジニアリングの方は、発見と言わず「発明」と言いますよね。<br />
<br />
　私からすると、その両方とも興味があるのです。今私がいる分野は「ナノサイエンス」あるいは「ナノテクノロジー」と言います。サイエンスとエンジニアリング、つまり科学と技術があまりスパッと切れておらず、非常にくっついている学問の分野なのです。<br />
<br />
　専門的には、これを「融合分野」と言いますけどね。化学であり、物理であり、生物であり、そういった分野が皆一緒くたになっている。今そういう分野が、結構おもしろいのです。<br />
<br />
　例えば、細胞あるいはＤＮＡレベルで生物の新しい現象が見つかり、それが今度は病気を治す薬の開発につながるとか。そのあたりをみると、どこが応用でどこが基礎か、よくわかりませんね。そういうものは融合分野なのです。<br />
<br />
　昔のように「これは物理です」「これは化学です」「これは生物です」と各分野に留まるのは、今では非常に少なくなっています。今はむしろ、いろいろなことをやらないといけないですね。<br />
<br />
　私自身、東北大学大学院博士課程で研究していた時は、純粋な物理学でわりと基礎的なことを研究していましたが、今では応用関係がたくさんあります。そういう融合分野にいるのです。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_4">細分化された分野が融合されていく</h2>
<p class="q">
―なぜ今、分野は融合していく方向にあるのですか？<br />
</p>
<p>
　私も専門ではないですが、例えば生物でも、細菌を見つける時などに昔は光の顕微鏡（光学顕微鏡）などの道具を使いましたよね。それが今では細胞の中のもっと細かなところまで見ようとすると、光の顕微鏡のほかに、例えば電子顕微鏡など物理の原理で測定する道具が必要になります。実際にウイルスを電子顕微鏡でみる仕事がずいぶん盛んだった時代がありました。<br />
<br />
　すると、生物の知識だけでなく、道具にかかわる知識も必要になってきます。今いろいろある道具を使わなければいけないし、なぜその道具で見えるかも理解しなければ、たとえ写真を撮ったとしても、それが何なのか解釈に困っちゃうわけです。<br />
<br />
　これは簡単な一つの例ですが、このように何かを測定して解釈しようとするとき、非常に進歩した計測・観測技術も同時に理解しなければいけないのです。すると、物理と生物の間には非常につながりが出てくる。そういうことが今、非常に盛んに行われているのだと思います。<br />
</p>
<p class="q">
―分野は単に人間がそう分けただけで、そもそも本当はつながりがあるということですか？<br />
</p>
<p>
　きっと中世の時代には、もともと「これは物理」「これは化学」といったものは多分なくて皆全部同じだったのだろうと思います。例えば、とにかく病気になれば「どうしてだ？」と皆で悩んで、それを克服しようとした。日食が起こって太陽が途端に暗くなれば、皆は畏れ慄いておろおろしたと思う。「それはどうしてか？」そういうことを理解しようと、皆でやっていたと思うんだよね。<br />
<br />
　そしていつの時代か、多分１９世紀の始め頃だったと思うけど、そういう分野が生まれて、どんどん細分化して、今に至っている、というわけですね。そして今、またいろいろな分野がつながって融合してくる。そういうのが何となく感じられなくもないね。<br />
<br />
　例えば、宇宙に地球外生命体はいるのか？という問題も、まず我々は調べる手段から始めると思います。それをどのように観測するか、地球科学や惑星科学、あるいはもっと広い宇宙科学か、いろいろな技術があると思うんだよね。そして何かおもしろい証拠になるような観測データが出たとすると、今度はおそらくＤＮＡレベルで生物の存在を証明しなければいけないから生物学が出てくると思います。<br />
<br />
　そういう風にいろいろな科学の分野がつながっていく、インターディシプナリー（※）な融合科学というのが、今また戻ってきたのかもしれないですね。<br />
</p>
<p style="font-size:x-small">
※インターディシプナリー【interdisciplinary】　多くの分野の専門知識や経験が必要な研究課題などにあたるとき、さまざまな領域の学者や技術者が協力し合うこと。学際的。<br />
</p>
<p>
　アメリカの大学では、かつて物理のProfessor（教授）や化学のProfessorだった先生が、生物など異なる２～３のDepartment（学科）を掛け持ちしているケースが増えているように思います。それは、そういった融合の流れを表しているのかもしれませんね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_5">既存のものには満足しない好奇心</h2>
<p class="q">
―そういう意味では、今の融合科学の流れに、飯島さんは合っていると思いますか？<br />
</p>
<p>
　いやぁ、私自身はね、興味を持てば、それにずっと流れていくので何でもいいのです。ただ、さすがに生物はね...（笑）、今は少し関係していますけど。けれども、物理と化学は結構勉強しましたね。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ化学なのですか？<br />
</p>
<p>
　（私が専門の）材料科学には化学も入っていたし、そういう関係で鉱物学も自分で勉強しましたね。材料科学も、ちょっと前は無機材料でしたから、化学といっても有機化学ではなく無機化学でしたが。今では材料科学に有機材料も随分入っていますけどね。<br />
<br />
　そして現在、我々が研究しているナノカーボン材料を、例えば薬に応用すると、これからは薬学や生物学の人、あるいは有機化学の人との交流も出てきますしね。<br />
<br />
　ですから、始めの若い頃は、まず自分で得意なところを何か見つける必要がありますが、ずっとそれに囚われてしまうのではなく、もう少しほかのところにも目を向けて、広い視野でものをみるのが、いいのかもしれないですね。<br />
</p>
<p class="q">
―「興味を持てばそれにずっと流れていく」と「自分の得意なところにとらわれず、他のところにも視野を広げる」は、ある意味では受身と能動で相反する話のようにも聞こえますが、その辺りの兼ね合いはどうですか？<br />
</p>
<p>
　いやー、そこはやっぱり難しいところですね（笑）。我々科学者は、人様のやらない新しいことをとにかく見つけなくちゃいけないわけです。まだやられていないところが、どこにあるかを見つけなければ、まず勝負にならんわけです。<br />
<br />
　ですから、そこらは好奇心と言うか、「何かおもしろいもの、変わったものはないかなぁ...」という考えが常に頭のどこかにあるような気がするね。そういう態度の人が科学者ということが多いのかもしれないよ。そういう意味では、既存のものに満足しちゃうと、あまり進歩がなくなっちゃうと思うけどな。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_6">みないことには何もはじまらない</h2>
<p class="q">
―飯島さんは常に「今までにない、何かおもしろいものはないかなぁ...」と探しているのですね。<br />
</p>
<p>
　そうなんですよ。ただ５０年くらい前は、他の学問もそうだけど、新しい物理がたくさん出てきて、おもしろい研究テーマが簡単にみつかったと思うんですよ。けれども今は、既に全部やられてしまったので、そういったわくわくするような新しいものは、だんだんなくなってくると思います。ですから、なかなか簡単にみつからない、というのがありますね。<br />
</p>
<p class="q">
―そもそも、新しくておもしろいものはこの世に存在しなくなりますか？<br />
</p>
<p>
　今まで我々が持っていた実験あるいは観測手段では、もう既にみられちゃっている、ということです。ですから新しいものをみつけるには、新しい観測手段を自分でつくらなければいけないわけですね。それを通して、また違う世界がみえてくるんですよ。<br />
<br />
　もちろんみえたからって、必ずしもそこにおもしろいことがある保証はないのです。けれども、まずはみることが第一段階で、みないことには何も始まらないわけですよね。<br />
<br />
　私の場合で言うと、例えば、昔は電子顕微鏡の分解能が良くなかったので、結晶中の原子がどのように並んでいるかや、どういう風に乱れているかは、１９６０年代以前はみることができなかったのです。１９７０年代以降、（高分解能の電子顕微鏡を開発したことで）物質を構成する原子１個１個が、徐々に電子顕微鏡を通してみえるようになってきたんですよ。<br />
</p>
<p>
　すると、また新しい分野が開けて、新しい科学が誕生するわけです。自分のことですが、例えばカーボンナノチューブというのは、ナノメートルサイズの非常に小さなものなので、電子顕微鏡以外にはみる手段がないのです。ですから、電子顕微鏡を使っている人でなければ、絶対にみることはできなかった。<br />
<br />
　そういう意味で、私は電子顕微鏡の研究を東北大学大学院時代から始めて、たまたまそういう技術があったので、カーボンナノチューブをみつけるチャンスがあったわけです。これは非常にラッキーなことです。<br />
<br />
　すると実験屋さんは、例えばカーボンナノチューブに電気を流して電流がどう流れるか？といった実験をするわけですね。そして、今までの炭素材料にはない新しい特性があるらしい、ということがわかるわけです。<br />
<br />
　かたや理論屋さんは、そんな特殊な構造をしたものが理論的に、例えば電気が通るのか・通らないのか？半導体になるのか・金属のままなのか？彼らはコンピュータで最新の理論を使って、物性の予測を盛んにやったわけですね。<br />
<br />
　そうやって世界中の人が、たった一つのナノチューブにいろいろ寄ってきてね（笑）。つまり、新しい物質がみつかったために、新しい分野が開けて、それを今度は使って例えばトランジスタをつくるとかね。そういう風に今、発展中なのです。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_7">玉石混淆の中から本物を見抜く目</h2>
<p class="q">
―電子顕微鏡の研究者は他にもいたと思いますが、そもそもなぜ飯島さんがカーボンナノチューブを発見できたのですか？<br />
</p>
<p>
　それはまたそれなりに、いろいろな理由があるわけね。私の場合、たまたま電子顕微鏡で原子をみる仕事をずっとやってきたので、そういう新しいものが電子顕微鏡で見えたとき、「こいつは何かおもしろいに違いない」と、すぐに想像できたわけです。<br />
<br />
　なかにはそれを想像できずに、すっと通り過ぎちゃったり、見逃しちゃう人もいるけどね。でも本当は、「こいつは何かおもしろいに違いない」って、玉石入り混じったところから本物をすくい上げるところの訓練が、本当は一番おもしろいところなんですよ。<br />
</p>
<p class="q">
―それは訓練できるものですか？<br />
</p>
<p>
　それはね、なかなか説明しづらいのだけど。きっと「心眼」と言うか...骨董屋さんの目ですよね。いろいろな贋作のなかに、本物が一つだけ入っていて、それを見抜かなきゃいけないわけね。彼らそういう訓練をずっとしていると思います。<br />
<br />
　どんな訓練をしているかと言うと、すぐに想像できるのは、良いものも悪いものもとにかくいろいろなものをみる。とにかくみて、自分のメモリにどんどん詰め込んでいく。それを長年繰り返していくと、良いものとはどういうものか、おそらく直感的にわかる。<br />
<br />
　科学者もそれと似たところがあるんじゃないか、と私は想像しているんです。やっぱり、いろいろなものを経験して見ておくこと。それは、教科書からじゃなくて、人間、体験するということが重要だと思います。<br />
<br />
　教科書には先人がやったいろいろなことが書いてあるし、読んだときは理解しているようでも、実は、表面だけすっと理解しているだけで、あとはそんなにしっかり覚えていないのじゃないかな。天才みたいな人は、覚えているかもしれないけど。<br />
<br />
　けれども、自分で一から手足を動かして体験してずっとやってきたことは、結構しっかり後まで覚えているものです。自分でやった周辺についてはね。<br />
<br />
　私の場合も、まさにそれで。１９９１年にカーボンナノチューブを発見したのですが、その前の３０年くらいは、いろいろなことをみてきたんです。それが皆、この発見につながっているのですよ。<br />
<br />
　特に実験科学の場合、そういう自分で身をもって体験したことが非常に重要だと私は思っていますよ。新しいものに出会ったとき、それは「嘘か・本当か」を判断しなければいけないのでね。そこのところは「これは本物だ」ということがあるとピンときますね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_8">共通の思考は「どうしてか？」</h2>
<p>
　そういう意味ではね。小学校の日本の理科教育はね、もちろん知識は必要ですが、あまり教科書中心というよりね。体験学習って、あるじゃないですか。ああいうのは非常に良いと思うのだな。<br />
<br />
　ですから普通、都会の子どもたちは、あまり外で遊ぶと危険だからと、ちょっと制限されてしまうけども。ちょっと田舎では、わりと学校以外で、いろいろな遊びの間にいろいろな体験をして覚えていくことが多いのではないかな、と思いますね。<br />
</p>
<p class="q">
―「昆虫採集や飛行機をつくるのが好きだった」とお話されていましたが、それも「心眼の訓練」に入りましたか？<br />
</p>
<p>
　そうなんですよ。例えば飛行機をつくる時も、今の人は買って来てすぐ設計図通りにつくるけど、昔は、ものはできても飛びませんでしたね。他の人のをみると結構飛んでいるのに、せっかく自分でつくって飛ばしても、すぐにぴゅっと落ちたりしてね（笑）。<br />
<br />
　つまり何を言いたいかと言うと、「どうして飛ばないのだろう？」と、そこで悩むわけです。そこで「どうしてか？」って考えるプロセスが、やっぱり必要じゃないかと思うのね。<br />
<br />
　研究もね、いろいろと難しい高尚なことをやっているように見えるけど、結局は、そういうところに行き着くね。「どうしてか？」「どうしてか？」ってね。非常に単純なことなのですけど。<br />
<br />
　いろいろ手を打ってみて、だめだったら今度は次の手を打たなければいけないのです。選択肢ごとにこっちか・そっちか。こっちを選んだけど違うから、次にまたいろいろやってみて今度はこっちだって。謎解きみたいな感じで、ずっと進んでいるからね（笑）。<br />
<br />
　それをずっとやって、本物に近づかないといけないのでね。そういう意味では、そういう考え方というのは、多分どこでも共通だと思うね。それは我々が生きるために、本能的にそういうことをやっていると思うのです。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_9">体験や経験がなければ、せっかくの宝物も見逃してしまう</h2>
<p class="q">
―とは言え、カーボンナノチューブ発見まで３０年。「本物」までの道のりは決して短くないと思うのですが、それでも「本物」に近づいていると、そもそもわかるものですか？私も生まれてからもう少しで３０年ですが、３０年は結構長かったものですから。<br />
</p>
<p>
　ははは（笑）長いね。具体的には、カーボンナノチューブって、細長い構造で小さくてね。普通は結晶と言うと、例えば塩の結晶みたいに丸っこくて塊ですよね。そもそも、こんなに長い結晶というのは、結晶としてはおかしいのですよ。<br />
</p>
<p class="q">
―「おかしい」とは？<br />
</p>
<p>
　長いものがおかしいっていうのはね、自然界には、そんなにないのです。けれども私は、東北大学大学院博士課程の時に、そういう細長い針みたいな結晶を電子顕微鏡で研究していた経験・体験が、まずあるのですよ。<br />
<br />
　ですから、ナノチューブをみたときに、「これは３０年前に研究していた、あの細長い結晶と非常に似ている！」と、すぐにぴっとくるわけね。<br />
<br />
　そして次は、何をしなければいけないかと言うと、結晶ですから、原子がどう並んでいるかを調べる「結晶構造解析」をしなければいけないわけです。<br />
<br />
　それは電子回折（でんしかいせつ）という技術を使って構造解析ができるのですが、それも銀の細長い結晶で経験していたのです。ですからカーボンナノチューブが出てきても、その方法を使って、どういう結晶構造かは理解できたのですね。<br />
<br />
　逆に言えば、そういった経験がなければ、その分岐点に来たとき、せっかく宝物がみえたのに、きっと見逃して行っちゃったかもしれないね。<br />
<br />
　つまり、昔にそういう経験をしていたので、「お、これは昔のものと少し似ていて、何かおもしろそうだ」と、ちょっと立ち止まると言うか、そこで触手がちょっと動くというか。そうやって、「こいつはおもしろそうだ」という判断を下す。<br />
<br />
　科学者って多分、そういうことの連続だと思うわけね。四六時中いろいろなことをやっていて、どんどんどんどん手繰っていって、そして本物にありつくわけですよね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_10">おもしろがる感性と洞察力</h2>
<p class="q">
―それでいて、経験さえしていれば誰でも発見できるわけでもなさそうです。<br />
</p>
<p>
　そういう訓練は、一体どこでするんだろうなぁ（笑）。それは、きっと人が生まれ持った好奇心というか、非常に好奇心が強いやつがいるのかもしれないなぁ。<br />
<br />
　私は１９７０年から１２年間、アメリカのアリゾナ州立大学で過ごしたのですが、アリゾナにはかの有名なグランド・キャニオンがあるのですよ。私は行きたくて行きたくて、それで１０回以上も行ったけどね。<br />
<br />
　同じ大学にアメリカ人の友達がいてね。彼はもう５～６年は住んでいるのですけど、まだグランド・キャニオンに行ったことがない、って言うの。そいつは自然科学者としては、だめではないかな、って（笑）。好奇心が全然ないの。<br />
<br />
　彼の専門は、コンピュータ・プログラマーなのですよ。コンピュータやるやつはね、そういう自然現象というのはあまり興味がないのかもしれないなぁ。<br />
<br />
　今のたとえはね、昨今の都会育ちの子どもたちが皆、ゲームなどで遊んで、自然を観察する機会が少ないので、多分、自然科学者はあまり育たないのではないかなと思うのです。だって、そういう訓練するところないもの。でもコンピュータのプログラマーみたいな人は出るかもしれないね。<br />
</p>
<p class="q">
―私事ですが、私は小さな頃、埋立地に住んでいました。公園など外で遊んでいましたが、例えば「土を掘ってもどうせコンクリートだから意味ないや」と無意識に思っていたことに最近気づきました。すると当然ながら土の下がどうなっているかなんて、不思議にも思わなかったですし、ですから自分で確かめてみようなんて気持ちは起こりませんでした。自然観が人工的なことが、その後の人生に大きく効いているような気がします。<br />
</p>
<p>
　あはは（笑）なるほどね。そういう意味では、なんだろうなぁ。昔は昔でいいのだけど、今は今で何か新しいことを、若い人は学んでいるかも知れないけれどもね。<br />
<br />
　今の話を聞いて、子どもの頃を思い出したのだけど、例えば、お寺の境内で遊びまわっていると、セミの穴があるのね。幼虫が地下に何年か住んでいて成虫になるために穴を掘って上に出てくるの。だから穴の下にセミがいるはずだと。<br />
<br />
　穴があるときは既に木に登って成虫になっていると思うのだけどね。穴に棒を立てておいて動くか・動かないか、っていう遊びをしたなぁ。そこでピクッと動くとね、「あ、いた！」とびっくり仰天、感動するんだな。そういう子どもの頃の遊びを思い出したね。<br />
<br />
　昔はそういう遊びの中にもいろいろあったと言うと、今の若い人に怒られちゃうのだけどね。何かそういう体験はね、好奇心というより、いろいろやって興奮すると言うか、感動すると言うか、おもしろがると言うか。そういうのはね、子どもの頃にいろいろ体験させてやった方が良いですね。<br />
<br />
　もっと正確に言うとね、例えば、物理でも化学でも、創成期という始まりの時期があって、それがだんだん成熟して、やがて、また終わっていくでしょう？そのどこにいるかが結構、重要なんですよね。<br />
<br />
　ですから、今もしあなた方が電子顕微鏡の分野に入ったとしても、だいたい成熟期のピークはもう過ぎているので、あまり一生懸命やっても、もう難しいものしか残ってないし、そんなにおもしろいことはないかもしれない。<br />
<br />
　私の場合、たまたま顕微鏡が出てきてだんだん分解能が上がってきて、いろいろな細かいところの原子までみえるようになってきた。その非常におもしろいところにいたのでね。<br />
<br />
　それも私にとっては偶然で、ちょっと先に生まれたら、そのおもしろいところに行けなかったかもしれないし、もう少し遅かったらもう過ぎちゃっているかもしれない。<br />
<br />
　そういった環境やタイミングといったものは自分ではコントロールできないものだけど、それが科学には結構大切だと思いますね。たまたまおもしろいフェーズに遭遇したとき、いろいろ活気があるので、そういう感動にきっと巡り合わすことができたのかもしれないね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_11">へそ曲がりがいないとチャンスはつかめない</h2>
<p class="q">
―確かに自分ではコントロールできない偶然の力だけど、それを「おもしろい」と感じ取って求める力が働いた結果でもあるのですね。ある意味では偶然だけど、ある意味では必然。偶然と必然が、常に背合わせの印象です。<br />
</p>
<p>
　そうですね。必然とはパスツールが「偶然はよく用意した者に微笑む」と言ったように、電子顕微鏡を３０年間ずっと研究して、いろいろな体験が身についていたので、ナノチューブが見つかった、まさにその通りなのですね。<br />
<br />
　偶然とは、科学者は皆同じようにやっているはずなのですが、そういうおもしろい機会に巡り合わなかった人たちは、たくさんいると思うのですよね。全員が全員やればできるわけではなくて、誰かが当たるわけで、たまたま私が当たったのかもしれないですね。<br />
</p>
<p class="q">
―たまたまなのですか？<br />
</p>
<p>
　こりゃ、なんと言うかな。アメリカの場合はね、底辺がすごく広いですよね。アメリカはどうしておもしろい仕事が出やすいのか、って言うとね。日本の場合は結構、ひとつのところに何かあると、「それっ」と皆同じ方向に走り出すから（笑）。<br />
<br />
　すると、チャンスはあっち方向だけしかないところに皆が殺到するので、競争が激しくて大変なんだけど。でもそうじゃなくって、皆が「あっちに行く」と言う時、「俺はこっちだ」と言う、へそ曲がりがいないと、チャンスはつかめないかもしれないですね。<br />
</p>
<p class="q">
―飯島さんは「へそ曲がり」タイプなのですね。アメリカと日本ではそんなに違うものですか？<br />
</p>
<p>
　そうなんですよ。それはね、極端な話かもしれないけどもね。やっぱり日本人って農耕民族だからね。収穫期もあるから皆で協同でやらないといけない。だから、人と変わったことをやると、歩調が合わないのだけど。<br />
<br />
　一方（アメリカのような）狩猟民族はね、こっちに行ったら獲物はそいつに捕られてしまうので、後から同じようについて行っても捕れるわけがない。それなら「あっちに行け」という、西洋の狩猟民族っていうのは、そういうＤＮＡがあるのかもしれないね。<br />
<br />
　だから科学は、彼らに有利なんだな。農耕民族の文化は、人と違うことはやってはいけない、出る杭は打たれる、そういうカルチャーは、科学にはきっと、よくないかもしれないですね。東洋と西洋の違いは、そんなところにあるのかもしれないなぁ。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ飯島さんは、農耕民族のなかで狩猟民族的になったのですか？<br />
</p>
<p>
　なかには変わった奴もいるんじゃないんですか（笑）、それはきっと確率的な分布か何かで。普通、平均的な人がいないと困る分野もあるわけですね。日本には平均的な人が非常に多かったので、そういう人達が、戦後の日本の経済成長を支えてきたわけです。<br />
<br />
　けれども次の時代は、自分で切り開かなければならないフェーズに入っていくので、やっぱり強力なリーダーがいないと、なかなか右往左往しちゃってね。日本の政治に似ているけど、科学もそんな点があるかもしれんなぁ。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_12">これからの日本の科学は、時間の問題</h2>
<p class="q">
―では、これからの日本の科学はどうなると思いますか？<br />
</p>
<p>
　日本の科学は今、日本の経済もそうだけど、開発途上国の追いつけ・追い越せの強力なプレッシャーを、受けていると思いますね。特に、中国や韓国、インドなどから。今までの日本はわりと幸いだったと思うのです。<br />
<br />
　日本は明治の開国以来、外国に人を送って、外国の文化や科学を吸収してもどって来て、一生懸命、子どもたちに教えてきました。それが今、功を奏して、ノーベル賞受賞者を十数人輩出しました。一方で、中国や韓国などの科学者の悩みは、自国で教育した科学者のなかにノーベル賞受賞者がまだいないこと。彼らは自分でトレーニングをする経験をまだしていないのです。<br />
<br />
　日本はわりと早くそれをやったので今は良いのですが、韓国や中国は日本より１周・２周遅れて、今それをやっているわけですね。ところが、それも追いつこうとしています。そういう意味では、もう時間の問題でしょう。ですから、これからが本当の競争になると僕は思っているのです。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ、差がなくなっているのですか？<br />
</p>
<p>
　彼の国の子どもたちは体験から学ぶ機会がいっぱいある。けれども今までは生活が忙しいので、自然の成り立ちとか、そういう見方はきっと余裕がなかったのかもしれないですね。けれども、ある程度余裕ができれば、確実に子どもの頃からいろいろなことに興味を持って、自分で考える。そして、それは既に始まっているのですね。<br />
<br />
　もう一つは、おそらく知的な活動においては、あまり民族や人種による差はないと個人的には思うのです。生まれたての子どもを集めて、同じレベルで教育を始めれば、そんなに差はないでしょう。つまり、いろいろな人種で優秀な人はもうたくさんいるのね。そういう人の生活レベルがある程度上がってくると、日本と差がなくなってきちゃう。<br />
</p>
<p class="q">
―では、これから日本はどうすべきでしょうか？<br />
</p>
<p>
　そうやって追い上げてくる国とのハンデをいただいているので、それを利用しないといけないのですよね。彼の国は、このハンデをまず同じレベルにして、そこから競争が始まるわけですから。彼らが日本と同じレベルまで来た時、我々がそこにじっと停滞していたのでは、追いつかれてしまいます。ですから追いつかれないよう、ハンデを利用して、我々も自分で走らないといけないでしょう。<br />
</p>
<p class="q">
―具体的には、どうすべきですか？<br />
</p>
<p>
　やはり、日本独自の技術を身につけることです。例えば、電子顕微鏡は非常に精巧な道具ですよね。その設計図があったとしても、そこにはいろいろなノウハウがあるので、すぐには絶対にコピーできないものです。日本にはそういう優れたものが、たくさんあると思うのです。そういうものをなるべく取られないようにして、さらに優れたところを伸ばし、差を保たなければいけません。<br />
<br />
　そういった日本の優れたものがどんどんなくなって追いつかれてしまうと、皆どんぐりになって、本当の競争時代に入るのだけど、幸い今までのハンデがあるわけです。ですから我々はそういう良いところを、しっかりと守らなければいけないと思いますね。多分、国の政治の問題だと思うけども。そういうことをやらないと、本当に大変なことになると思います。<br />
<br />
　でも、それだって時間の問題だと思いますけどね。インターネットが進歩して、知識はすぐに得られるので。ですから、それ以上のもの、今度は考え方の問題ですよね。コンピュータがあれば何でもできるかと言えば、そうでもないので。<br />
<br />
　そういう好奇心を持つようなやつを、我々は育てないといけないんですね。それは環境なのか、それとも教育かなぁ。でもこれは、先生が教えてもね、そんなに育つとは思えないものかもしれないなぁ。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_13">学校の試験の良い・悪いは、たかが知れている</h2>
<p class="q">
―とは言え、原動力は好奇心ですか？<br />
</p>
<p>
　好奇心だね。それがないとだめですね。ただ私の場合、何と言うか、消去法で来た人だからね（笑）、結果論から言えば良かったのかもしれないけど。<br />
<br />
　私のいる分野は、必ずしも学力優秀である必要がない気がしますね。もちろん、ある程度はきっと必要なのかもしれないけど。じゃあ飛び抜けている人が必ず達成するかと言えば、全然そうではないですからね。<br />
<br />
　私がいろいろ経験して感じることなのだけど、所詮、学校の試験の良い・悪いは、たかが知れていると言うかね。その学校のクラスでは良かったかもしれないけど、外に出るとそういう人はたくさんいて、世界にはもっとすごい人がいっぱいいてね。そういう人たちと最終的には我々、戦わないといけないのでね。<br />
<br />
　ですから、例えば、益川・小林先生みたいに素粒子の理論で身を立てようなんてことは、私、始めから捨てていましたから（笑）。そういう人たちは、すごい天才でね。そういう人たちと戦おうと思っちゃあ、いけない（笑）。<br />
<br />
　おそらく理論屋さんの分野では、何か新しいことに到達するためには、まず底辺をいろいろ固めて、その上に少しずつ積み上げて、頂上に達するわけですね。だから、始めの頃には数十万人いても、ピラミットの上に行くと数百人とか数十人とか、その中のトップなわけですから、それはもう大変なものですよ。世界中の秀才が集まってくるところ。理論科学のような、そういう分野もあります。<br />
<br />
　けれども、そればかりがサイエンスじゃないところが、おもしろいところでね。ナノチューブの発見なんて、別にそんな高尚な理論は直接的には全然必要ないんですよ。けれども、おもしろいものが見つかるのですね。<br />
<br />
　こんな積み上げてきたやつが必ずしも発見するわけでもないのです。むしろ、あるとき突然ぱっと現れるような類のもの。ナノチューブがそこに当てはまるかは知らないけど、例えば、非常に好奇心があって、そういう目でみるやつがいれば、そこに行けるかもしれないですね。<br />
<br />
　一方で対照的なのは、最初にお話したエンジニアリングです。技術の方は、理論科学の積み上げ方式に似ているんですよね。９０％まで積み上げて、あと１０％で良くなる。急にぱっと良いものができるはずはない。そこで、いろいろ競争するわけですけども。ですから、サイエンス（実験科学）的なアプローチとエンジニアリング的なアプローチでは、随分違うんじゃないかなと思いますね。<br />
<br />
　つまり、サイエンスの新しい発見には、そういう積み上げの部分もあるとは思うけど、わりと「セレンディピティ」と言いますか。何かをやっているときに突然現れる、そういう類の新しい発見も、科学の歴史では普通だったりします。むしろ大発見は、そうやって発見されてきたわけね。その事実に結構、我々凡人は勇気づけられますよね（笑）。<br />
</p>
<p>
　もう一つはね、科学に興味を持って取り組んできた若い人はね、ある程度の分岐点に来たとき、やっぱり決断しなければいけないと思いますね。決断しないで、ずっとそのままだらだら来て、変な言い方だけど、終わってしまう人もたくさんいると思うね。ある時点で自分を見て、やっぱり方向転換しなくちゃいけないと思うんだな。<br />
<br />
　それは自分の問題だから、他人がとやかく言う問題ではないのだけども。でも私は学生にはね、この大学でも大学院に行って勉強したいと盛んに努力して行ったやつもいるけど、やっぱりある時点で「これは俺には向いていない」という決断をしたら潔く違うところに行くことが大切だと思う。<br />
<br />
　すると、もっとチャンスがあるかもしれない。我々そんな自分の未来のことなんてわかるわけないので、やってみてダメだったら、そこで方向を変える。その決断と柔軟さが、きっと必要かもしれないね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_14">背水の陣で仕事をしたのか</h2>

<p class="q">
―飯島さんは冒頭で「小さな頃に興味を持っていたことが今でも続いている」「それは俺は向いていないなと絞られて」「だんだん取捨選択して今に至る」とご自身の適性の形成過程についてお話されていました。そして先ほども「消去法」とお話されていましたが、逆に言えば、各分岐点で自分を客観視して潔く決断できる柔軟さがあったということだと思います。それができた前提は何だと思いますか？<br />
</p>
<p>
　ただ私の場合、危険なのは結果論だからね（笑）。不幸にしてうまく行かなかった人の話を、本当は聞かないといけないのだけど。各分岐点で私はたまたま、うまいとこ皆、選択してきたけども、そこではやっぱり悩むわけですよね。<br />
<br />
　悩むというより、その前にやっぱり一か八か、生きるか死ぬかの努力をしていますよね。もう先がずっと決まっている安泰な人は、そういう背水の陣で仕事をしたのか、って言うね。生きるか死ぬかで何かをやらないといけないという心構えと、わりともう安泰とは、ちょっと違うと思うね。<br />
</p>
<p class="q">
―どのあたりが違うと思いますか？<br />
</p>
<p>
　それは人によって違うので、必ずしも私がやってきたことを他の人にも当てはめろなんてことは毛頭言いませんけどね。私は結構、東北大学に行った後、アメリカやイギリスなどあっちこっち動いて、今ここにいますが、動いたことが結構プラスになっていました。それは選択肢のところでね。<br />
<br />
　それはね、きっと、やっぱり動く前は全く不安でどうなるかわからない、っていう背水の陣なわけです。すると、やることも今度は真剣勝負なんですよね。そういうことが、きっとエネルギーになったのかもしれないですね。<br />
<br />
　そういう意味では、心新たに違う場所へ移って一から始めるっていう考え方かな。そういうところはよかったかもしれないですね。ただ、それを「移れ、移れ」とそののかして移って、申し訳ない人もいますから（笑）、人それぞれ違うのです。<br />
</p>
<p class="q">
―心新たに違う場所へ移る決断を潔くできるのは、「既存にはないおもしろいものを見つけたい」と思う原動力からですか？<br />
</p>
<p>
　ま、それもありますけど、そればっかりではないけどね。いろいろなファクターが入ってきます。例えば、アメリカに１２年もいて引き上げる時、何が決め手かと言ったら、家族のことや子どもたちの教育とかね。そういうファクターも当然だんだん入ってきますよ、仕事だけじゃなくってね。<br />
<br />
　けれども、やはり研究者であるのなら、どうせやるなら、とにかく研究環境のベストなところに行かないといけないですから。そういういろいろな選択肢はありますけどね。<br />
</p>
<p class="q">
―年を取れば取るほどいろいろなファクターが入ってくるイメージですが、それに比例して自由度は減っていくものですか？<br />
</p>
<p>
　そうですね。若いうちは自由度がだんだんなくなって、でも年をとるとまた自由度が増えてきますけどね。<br />
</p>

<br />
<h2 id="p1_15">失敗を恐れず挑戦し、自分に合ったもの見つけて</h2>
<p class="q">
―最後に中高生も含めた若い世代へメッセージをお願いします。<br />
</p>
<p>
　ありきたりだけど、夢を持って、失敗を恐れずに、いろいろなことに挑戦して、自分の得意なものを見つけて。どうせ一生をかけるのなら、興味を持ったおもしろいものでないと、結果もよくならないと思います。逆に言えば、自分でおもしろいものが見つかれば、もう誰が何とも言わなくたって、自分で行きますからね。だから、とにかくなるべくおもしろいものを見つける。<br />
<br />
　そして見つけたものが、自分に合っているかどうかを、少し時間をかけて、見つけてください。自分に合わないものを見つけても、希望だけではなかなか実現できないのでね。そのためにも、いろいろなものに恐れずに挑戦する、ってことですね。<br />
</p>
<p class="q">
―挑戦すると、おもしろいかどうか、そして、それが自分に合っているかどうかが、体験して肌身でわかるということですか？<br />
</p>
<p>
　そうそう。体験しなければ、頭の中で考えるだけでは、なかなかどういうものかはわからないものです。ですから、いろいろ体験してみてください。そして、自分に合っているかどうかを見つけていく。そういうことが必要ではないかなと思いますね。<br />
</p>
<p class="q">
―飯島さん、本日はありがとうございました。<br />
</p>
<p style="text-align:center; font-size:small; padding:0px 50px 0px 50px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/iijima-san_600px.jpg" alt="" style="width:500px" /><br />
名城大学（愛知県名古屋市）電子顕微鏡の前で。「『どうだ！こんなにおもしろいものを見つけたぞ！』って、やっぱり言いたいじゃない（笑）」と お話されていたことが印象的でした。
</p>


<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_2011119-top.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_2011119-top.jpg" width="600" height="400" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111119.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">名城大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">NEC</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">名城大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">理学研究科</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">産業技術総合研究所</category>
            
            <pubDate>Mon, 05 Dec 2011 17:47:23 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>平成２５年度「仙台城南（せんだいじょうなん）高校」誕生</title>
            <description><![CDATA[
<h1>平成２５年度「仙台城南（せんだいじょうなん）高校」誕生</h1>
<p class="date">2011年11月30日公開</p>

<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111124-1.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>平成25年度新校舎完成予想図。屋根付フットサル場やエントランスなどの施設が整備される</p>
</div>
<p>
　学校法人東北工業大学（岩崎俊一理事長）が平成２５年４月に発足させる新高校の校名が「仙台城南（せんだいじょうなん）高校」に決定した。新高校は東北工業大学高校（久力誠校長）の教育内容を一新し、「大学と接続した新しい学びの創造」を基本理念に、「特進科」「探究科」「科学技術科」の３学科構成となる。久力校長は「グローバルな国際競争社会と知識基盤社会を生き抜き、持続可能な社会づくりに貢献できる人材を育成する『宮城県随一の私立高校』を目指す」と語る。<br />
<br />
　平成２５年度の発足にむけて、雨天対応多目的広場やエントランスなどの施設も整備され、制服も新しくなる。各学科のカリキュラム編成などは、高校が中心となり大学と協働で具体化を進めている。各学科の詳細などは、下図の通り。
</p>

<p style="text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111124-2.jpg" alt="" />
</p>

<div style="background-color:#D3DEF1; margin:20px 0px 20px 0px; padding:5px 5px ">
<div style="padding:15px 15px 15px 15px; border:1px solid white">

<div style="text-align:center; margin:0px 0px 10px 0px"><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111124-1.gif" alt="「仙台城南高校」　校名に込める想い" /></div>
<p style=" font-size:small; margin:0px; padding:0px">
　戦国武将・伊達政宗が築いた仙台城（青葉城）は杜の都・仙台のシンボルです。今から約４１０年前、伊達政宗は見晴るかす原野を前に「この地に来たからには千年以上続く豊かな国にしてみせる」と決意し、この地から全国に発信し続けました。そんな伊達政宗の志に重ね、私たちは新たな社会貢献を目指して生まれ変わる学校に相応しいモチーフとして「城」を選びました。「南」は本校が仙台城の南側に位置することはもちろん、太陽の正面に向かっていることを示しており、そこに私たちの未来を切り拓く決意を込めています。
</p>
</div>
</div>


<br />
<h2>理事長からのメッセージ</h2>
<h3 style="border:0px">◆真に社会に役立つ仕事を成し遂げて</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:150px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111124-3.jpg" alt=""  style="width:150px;" />
<p style="text-align:center">学校法人東北工業大学<br />岩崎 俊一 理事長</p>
</div>

<p>
　科学は知を広げて新しい文化を生み出し、技術はものづくりを通して社会を組織し文明を生み出すものです。私が約30年前にハードディスクドライブを大容量化する技術「垂直磁気記録方式」を開発した時、その発想は科学でしたが、今は広く普及し技術となりました。技術は多くの人々に対する普遍性を持ち次の発想の基盤となります。つまり、科学は技術の母ですが、同時に、技術が次の発想の基盤をつくる科学の父でもあるのです。<br />
<br />
　創造的な研究は社会と統合してこそ意味があります。このたびの新高校「仙台城南高校」の発足は、真に社会が求める人材を輩出することにより未来社会の発展に貢献しようとする本学の決意を表したものです。新校名のモチーフとなった仙台城を築き上げた伊達政宗は、この地から全国に発信したことで現在の仙台を築き上げました。このことは新高校が優れた人材を育み全国に発信する理念と合致します。皆さんが、常に正しい道とは何かを考え真に社会に役立つ仕事を成し遂げることを願っています。ともに新しい歴史を刻みましょう。
</p>

<p>
<span style="font-weight:600">【関連記事】</span><br />
■ <a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php">岩崎俊一さん（東北工業大学理事長、東北大学名誉教授）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？</a>
</p>

<br />
<p style="border:1px solid black; padding:5px 10px;font-size:small;text-align:center">
<span style="font-weight:600; font-size:small">＜本記事の問合先＞</span><br />
東北工業大学高等学校　〒982-0836　仙台市太白区八木山松波町5-1　TEL：022-305-2111
</p>


<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20111124-1.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111124-1.jpg" width="200" height="125" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111124.php</link>
            <guid>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111124.php</guid>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">教育って、そもそもなんだろう？</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北工業大学高校</category>
            
            
            <pubDate>Wed, 30 Nov 2011 20:31:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>岩崎俊一さん（東北工業大学理事長、東北大学名誉教授）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？</title>
            <description><![CDATA[<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-top.jpg" alt="岩崎俊一さん（東北工業大学理事長、東北大学名誉教授）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2011年11月30日公開</p>
<div id="subject">
<p id="t">科学は知を広げて新しい文化を生み、<br />
技術はものづくりを通して社会を組織化して文明を築く
</p>
<p id="n">岩崎 俊一　Shun-ichi Iwasaki<br />
（東北工業大学理事長、東北大学名誉教授）
</p>
</div>

<p style="font-size:x-small;">
　1926年福島市生まれ。1949年東北大学工学部通信工学科卒、東京通信工業(現ソニー)入社、51年東北大学電気通信研究所助手。同助教授、教授を経て86年同所長。89年東北工業大学学長、2004年から同理事長。東北大学名誉教授、文化功労者、日本学士院会員。
</p>
<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
　<span style="font-weight: 600; font-size: small;">「科学って、そもそもなんだろう？」を探るべく、【科学】に関する様々な人々をインタビュー<br />
科学者の人となりをそのまま伝えることで、「科学とは、そもそも何か」をまるごとお伝えします 
</span><br />
<br />
インターネットによる情報化社会の実現に<br />
重要な役割を果たした技術のひとつが、情報記録を担う<br />
ハードディスク装置（HDD）の小型化・大容量化である。<br />
<br />
ここ数年で、HDDの記録方式は、従来の「水平磁気記録」より<br />
大容量化に有利な「垂直磁気記録」方式へ一気にシフトした。<br />
<br />
この「垂直磁気記録方式」の開発で、高密度磁気記録技術<br />
への貢献が高く評価され、2010年（第26回）日本国際賞（※）<br />
を受賞したのが、東北工業大学理事長の岩崎俊一さんである。<br />
<br />
「科学は知を広げて新しい文化を生み、<br />
技術はものづくりを通して社会を組織化し文明を築く」と語る<br />
岩崎さんが、リアルに感じる科学とはそもそも何かを聞いた。<br />
<br />
<span style="font-size:x-small">※「日本国際賞」とは、「科学技術において、独創的・飛躍的な成果を挙げ、科学技術の進歩に大きく寄与し、人類の平和と繁栄に著しく貢献した」人に対して、国際科学技術財団が授与する賞。日本にもノーベル賞に匹敵するような賞が必要だとして、1985年に第1回の授与式が行われた。</span>

<br /><br />
＜目次＞<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php#p1_1">科学技術の真の目標は、社会が必要な時に役立つこと。<br />
　かつ、人々の生活に不可欠な技術の発展を図ること。</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php#p1_2">真理を見つけるのが研究、それと同時に、その真理を実現する。</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php#p1_3">水平から垂直へ</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php#p1_4">「世界に勝つ」より「世界に貢献できるか」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111114.php#p1_5">概念だけでなく、ものをつくることが大事</a><br />
</p>


<br /> 
<div class="interview"> 
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/kagaku_interview.gif" alt=""> 
<p>東北工業大学理事長・東北大学名誉教授の岩崎俊一さんに聞く</p> 
</div> 
<br /> 



<h2 id="p1_1">科学技術の真の目標は、社会が必要な時に役立つこと。<br />
　かつ、人々の生活に不可欠な技術の発展を図ること。</h2>
<p class="q">
―岩崎先生がリアルに感じる、科学ってそもそもなんですか？<br />
</p>
<p>
　僕は工学者だからね、科学だけでなく、科学と技術がある。科学は知を広げて新しい文化を生み、技術はものづくりを通して社会を組織化して文明を築く。人々は文明の中に生きている。科学は文化であり、技術は文明である。<br />
</p>
<p class="q">
―岩崎先生は、なぜそう思うようになったのですか？<br />
</p>
<p>
　僕の研究の体験から言うと、僕はハードディスク（垂直磁気記録方式）の研究をした。３０年前に研究を始めた頃、発想は新たな創造を目指した科学だった。しかし今は、広く普及して、技術になっている。<br />
<br />
　技術は、多くの人に対する普遍性を持っていて、次の新しい発想の基板になっている。したがって、科学は技術の母であって、また技術は科学の父であるといえる。<br />
<br />
　我々の日常の生活に直接影響を及ぼすのは、技術であり、科学ではない。だから、科学技術の真の目標は、社会が必要な時に役立つこと。かつ、人々の生活に不可欠な技術の発展を図ること。<br />
<br />
　つまり、科学技術とは、科学だけではなく、それをもとにして人の生活に役立つものにする技術を含んでいるということだ。<br />
</p>
<p class="q">
―岩崎先生は、研究者として現役の頃から、そのようにお考えだったのでしょうか？<br />
</p>
<p>
　いや、だんだんわかってきた。最初は工学だからね、役に立つことだけを考えていた。しかし、その前に科学があるな、と。だから科学を実現して、技術として人々の生活に役に立てるんだ、と。つまり、科学と技術はそんな関係にあると思っている。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ、だんだんそう思うようになったのでしょうか？<br />
</p>
<p>
　それはね、僕の研究が今、とても社会の役に立っているから。例えばハードディスクが変わった。現在のハードディスクには、僕の発明（垂直磁気記録方式）が使われている。<br />
<br />
　３０年前のハードディスクはこんなに大きかったけど、今はこんなに小さくなって、メモリが桁違いに増えた（写真１）。２００６年から一気に、世界中のハードディスクが、従来の水平磁気記録方式から、僕が発明した垂直磁気記録方式にシフトした（図１）。<br />
</p>

<div class="leftPicture" style="width:280px; ">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-fig-1.jpg" alt=""  style="width:280px;" />
<p>【写真１】新旧ハードディスク装置の比較。左：現在（垂直磁気記録方式）は、重さ135g、メモリー量300GB、消費電力0.4W。右：1980年代（水平磁気記録方式）は、重さ35kg、メモリー量0.3GB、消費電力600W。</p>
</div>
<div class="leftPicture" style="width:280px; ">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-fig-2.gif" alt=""  style="width:280px;" />
<p>【図１】ハードディスク装置（ＨＤＤ）の世界出荷台数と垂直磁気記録方式の割合の年次推移（2011年には約6億台と推定）</p>
</div>
<br class="c" />

<p>
　そして実際に、いろいろなところで使われるようになった。データセンター（インターネット上の膨大な情報の多くを格納する大規模情報記録施設）、医療、出版・放送、レコーダー、モバイルなど。それは、今のIT文明をつくっているわけだ。<br />
<br />
　そして今回、千年に１度の巨大津波が猛威を振るう映像を、インターネットで世界中の人々が見た。この映像は、津波の恐ろしさを直接体験した人々が撮ったものだ。<br />
<br />
　そして津波の映像は、我々に様々な知見を与えてくれた。大きな速度で、膨大な水量だった。今までは頭の中で想像していた津波が、初めてこういうものだとわかった。それは今までになかったことだ。なぜかと言うと、インターネットに記録できる情報容量が増えたから。だから、皆が津波の映像を撮ることができた。<br />
<br />
　今までの研究は皆、津波の痕跡だけを見ていただろう。けれども今度は違う。津波の映像（動画）を見て、その大きな破壊力、真っ黒な濁流、膨大な水量、といったことが初めてわかった。動的な研究への出発点になる。それは、このハードディスクのおかげなんだよ。<br />
<br />
　だから、社会の中で必要なときに役に立たなきゃだめなんだな、科学技術というのは。そして、人々の生活に必要不可欠なものをつくるのだ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_2">真理を見つけるのが研究、それと同時に、その真理を実現する。</h2>
<p class="q">
―岩崎先生は、３０年前の段階で、この研究が社会に役立つことが予めわかっていたのですか？<br />
</p>
<p>
　わかっていた。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ、わかったのですか？<br />
</p>
<p>
　それは、それまでの研究から必然的にそうなるという自分の信念ができたと言える。ただ、世の中はそう簡単にはついてこなかった。しかし、約５年前からそうなった。世界中で、僕の発明が毎年何億台と生産されているのだよ。そういう仕事は、あまりないね。<br />
</p>
<p class="q">
―他の研究と比べて、何が違うのでしょうか？<br />
</p>
<p>
　それは、応用ではなく実用だから。いわゆる応用と基礎と言うが、応用とは非常に軽い言葉だ。一方で実用とは、それがなければ困るということ。現在のインターネットの時代には、このハードディスクがなければ困るんだよ。だから、バッと使われた。<br />
</p>
<p class="q">
―岩崎先生は、３０年前の段階で、このような形で社会に不可欠なものとなることが予めわかっていた、ということですか？<br />
</p>
<p>
　磁気記録の仕組みをよく調べていったら、やはりそうなるべきだ、という真理は見つけた。そういう真理を見つけるのが研究の第一歩で、それと同時に、その真理に従ってものを実現する。つまり、皆に使ってもらう。<br />
<br />
　だけど、こんなにものすごく使われるとは思っていなかったね。発明当時、これほどの情報化社会は想像できなかった。だから今になってみれば、ものすごく大事な研究だったんだと思う。<br />
</p>
<p class="q">
―「真理を見つける」ことも簡単なことではないと思いますが、さらに「その真理を実現する」、つまり「実用」まで持っていくまでには、また違った大変さがあるのではないかと思います。岩崎先生は、そこまですっと簡単に行けたものですか？<br />
</p>
<p>
　いやぁ、いかない。だから、２０数年もかかったんだ。PHP出版の『世界に勝てる、日本発の科学技術』（志村幸雄著）という本の中に、基礎研究から実用化までの期間の例が載っている。<br />
<br />
　垂直磁気記録は実用化までに約３０年、光触媒も約３０年かかっている。それには、やっぱり基礎研究をやってから実用までには、いわゆる「死の谷」、すなわち「そんなもの、いらない」と言われる時期がある。「今までのもので十分間に合う。なぜそんなに難しいことやらなければいけないんだ？」と言われる時期がある。<br />
</p>
<p class="q">
―それでも岩崎先生が研究を続けてきた理由とは何ですか？<br />
</p>
<p>
　それは、必ず役に立つものにしようという信念があったからだ。<br />
</p>
<p class="q">
―たまに弱気になることはなかったのですか？<br />
</p>
<p>
　ない。そのうちに、皆がついてくるという確信があった。自分が真理に一番近いところにいると考えていたから。
</p>
<p class="q">
―では、岩崎先生はどのようにして「死の谷」を乗り越えたのですか？<br />
</p>
<p>
　そのためには、日本学術振興会で垂直磁気記録の研究委員会をつくり、いろいろなメーカーの人や他の大学の人と一緒に研究を進める研究体制を作った。<br />
<br />
　外国の雑誌の発表論文数が少なくなった「死の谷」の時も、我々が行った合計９回の国際会議の発表論文数で補っている。こういう努力の結果、２００７年末までに論文数は３５００件。特許数は日本が９３０、アメリカは４９０も出て垂直磁気記録の技術が確立した。
<br />
<br />
　それをベースにして今、インターネットがこれほど発展し、東日本大震災の時に沢山の津波の映像が撮れた。垂直磁気記録方式の研究は、そのハードディスクの高度化に、間に合ったのだと言える。<br />
<br />
　だからやっぱり、本当に社会に必要なことをやっていたんだなと改めて思う。それがライフワークだったんだ。津波の映像は１００年後にも残る。最初はそこまでは想像していなかったが、自分の想像を超えて役に立っている。記録の研究者にとって本当の目標だったわけだ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_3">水平から垂直へ</h2>
<p class="q">
―そもそも岩崎先生は、なぜ垂直磁気記録の研究を始めたのですか？<br />
</p>

<div class="rightPicture" style="width:250px; ">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-fig-3.jpg" alt=""  style="width:250px;" />
<p>【写真２】１９７９年、茅誠司・元東大総長（左）、永井健三氏、岩崎俊一氏（右）</p>
</div>
<p>
　この写真の真ん中の人が、僕の恩師・永井健三先生。永井先生は日本の磁気記録のパイオニアとして、いろいろな発明をされていて、とても有名な先生だったよ。僕は永井先生の仕事を継承したわけ。<br />
<br />
　永井先生の哲学はね、工学とは「Money making（お金をつくること）」だって。僕も、最初は不思議だったけどね。お金をつくるということは、実際に実用することなんだね。実用にならないと、工学とは言えない。<br />
<br />
　永井先生は、テープレコーダーなどといった実用のものを生み出した。僕も磁気記録の研究を続けていたら、永井先生の道とはちょっと違う、別の世界が開けた。永井先生の研究は、ピアノ線を長さの方向に記憶する、水平の記録。僕のは、ディスクの面に垂直に記録する。<br />
</p>
<p class="q">
―水平と垂直で何が違うのですか？<br />
</p>
<p>
　水平と垂直で、構造から物性に変わった。水平は磁石の長さや厚さなど構造で決まるのだけど、垂直は原子の持っている磁気、少し詳しく言うと、スピンで直接決まるものに変わった。それで桁違いに容量が増える。容量を大きくするのが、必然だからね。<br />
<br />
　今から話すのは、僕が「2010年（第26回）日本国際賞」を受賞した時の講演会でも話したモデルで、その講演会の内容は<a href="http://www.youtube.com/watch?v=KuP5SQSi9Ow&noredirect=1" target="_blank">インターネットの動画</a>でも見られる。<br />
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-iwasaki-san_01.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>磁石を使って磁気記録の原理を説明する岩崎さん</p>
</div>

<p>
　そもそも録音とは、こういうふうに磁石を並べて、外から加える磁力によって、磁石の向きを変えることで、信号を記録することができる。<br />
</p>
<p>
　例えば、方向の変わった磁石が組になって、一つの正負の信号になる。NとN、あるいは、SとSが必ずつきあうように記録されるのが、今までの水平の記録。<br class="c" />
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-iwasaki-san_002.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>水平磁気記録方式のモデルの説明</p>
</div>
<p>
　その時には必ず、こういう反発力が起こる。記憶するということは、この反発力に逆らって、この磁石の向きが変わらないように、あるいは磁石の強さが弱まらないように記録していく。そういうものが磁気記録だという常識をもって考えていた。<br />
<br />
　ところが、この磁石をどんどん細かくしていくと、反発力が非常に難しい作用をする。だから本来、水平の記録ではこういう記録を行うことで生じる反発力をなるべく少なくする方向にしたいけど、原理そのものがそうなっているので、できない。しかし、なるべく残る磁石が大きくなるよう努力してきたのが、これまでの歴史だった。<br />
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-iwasaki-san_003.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>垂直磁気記録方式のモデルの説明</p>
</div>
<p>
　それに対して、垂直型の記録は、異なった向きの磁石を磁性体の中で垂直に立てることで、お互いの反発力がなくなり吸引力が働く状態。すると、磁石が自然に凝集されていく。その自然の力を利用して高密度な記録を行えるのではないか、というのが垂直の発想。<br />
</p>
<br class="c" />
<p class="q">
―なぜ、そのようなことに気がついたのですか？<br />
</p>

<p style="font-size:x-small; text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-fig-4.gif" alt=""  style="width:400px;" /><br />
【図２】磁気テープ内部の磁化の様子
</p>
<p>
　それは、１９７５年頃のこと。実際に、磁気テープに入っている磁化のメカニズムを確認してみようと思った。それで結局、直接見たほうがよいのではないかと思い、高密度に記録した磁気テープの断面を観察した。<br />
<br />
　するとわかったことは、今まで水平記録とは、横向きの磁化が残っていたはずだったのが、高密度になるにしたがって、実は渦を巻くようになる。渦の反発をもとに逆向きの渦になっている。これをよく見ると、中で閉じた渦は外に磁力線を出さず、したがって出力に寄与しない。<br />
<br />
　それと、もう一つは、横向きに磁化したはずのものが、実は垂直の磁化成分を大きく持つ。高密度の記録では、垂直磁化が残るのが自然ということがわかった。<br />
<br />
　先ほどの実験でもお話した通り、従来の水平記録では、NとN、あるいはSとSがつきあい、極めて不安定である。こういう風に、近づけると、どうしても反発しあって垂直方向に動く。それが自然と改めて考えた。<br />
<br />
　それに対して、もし垂直磁化の記録ができれば、お互いに吸引力が働き、磁石は凝集する。これは高密度な記録に一番適しているのではないか、という大事な発見がなされた。<br />
<br />
　その前は、「メタルテープ」という高性能な音の良いテープを３０歳の頃に発明した。あなたたちのお父さんも使っていたと思う。けれども、そのあと磁気記録をよく調べてみたら、こういうことになった。それで、これは水平から垂直にしなければいけないと考え、研究が始まった。<br />
</p>
<p class="q">
―なるほど。それまでは、そもそも磁気記録に水平と垂直の方向があること自体、わかっていなったのですね。<br />
</p>
<p>
　誰かが「縦にすればよい」というところから、始まったわけではない。誰からも「やってくれ」と言われていない。<br />
<br />
　だから、最近になっていろいろな会社が垂直ハードディスクをつくり出したけど、「僕の発見でこのように小さくなりました」と、はっきりと言えるわけです。そういう研究はあまりないね。「どこかが足りないから始めた」という研究が多い。でも本当の研究というのは、そうではない。<br />
<br />
　垂直記録という考えは、３０年前は科学だった。それを実際に証明しなければいけない。証明するということは、ものをつくるということ。そうでなければ皆、納得しない。あまりにも大きな仕事だからね。納得させるための努力が、うんと必要だったわけだ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_4">「世界に勝つ」より「世界に貢献できるか」</h2>
<p class="q">
―そもそもなぜ岩崎先生は工学を志したのですか？<br />
</p>
<p>
　僕は昔、日本の国を守るために、１９４３年に海軍兵学校に入ったが、１９４５年に日本は米国に負けた。日本の海軍は、電波兵器が劣っていたために、米国の海軍に徹底的に負けた。だから僕は大学では通信工学を志して、永井先生のもとで学んだ。永井先生は日本の磁気記録のパイオニアだった。<br />
</p>
<p class="q">
―これまで私は様々な方にインタビュー取材をしていますが、戦前に生まれた方は特に、日本という国を意識され、日本が生きていくためにはどうあるべきかを根本にお考えになって研究をされていると感じています。岩崎先生もそのようなお気持ちですか？<br />
</p>
<p>
　その通り。どうすれば皆が生きていけて、世界に貢献できるか。「世界に勝つ」と言うより「世界に貢献できるか」だ。<br />
</p>
<p class="q">
―「世界に勝つ」より「世界に貢献できるか」という発想になったのは、なぜですか？<br />
</p>
<p>
　それはね、最初は負けないつもりでやった。しかし戦後の復興には、米国から随分、恩恵を受けた、ある意味でね。その恩返しをする。僕らが研究をちょうど始めた頃はね、欧米の国から「基礎研究ただ乗り」という批判が、日本の科学技術に対して、うんとあったんだ。<br />
<br />
　１９８０年代、日本がどんどん発展していって、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」になった時の話だ。「日本は基礎研究をやらないで、応用ばかりやっている。だから米国の基礎研究にただ乗りしている」と、たくさん言われたんだよ。僕は悔しかった。<br />
<br />
　それで、あんたたちにもただ乗りさせてやろう、そういう研究をやろう、と思った。米国にとっても、大きなビジネスになるような研究をしてあげよう。日本だけじゃなく、世界のために。だんだんそうなっていったんだな。<br />
<br />
　研究というのは、give and takeだ。そういう対等な関係でないと、だめなんだという気持ちになった。そして今、その通りになった。世界中でつくられている。<br />
</p>
<p class="q">
―自然とそういう気持ちに変化するものですか？<br />
</p>
<p>
　だんだん変わってくるものだよ、人間っていうのは。自然とだんだん気持ちが大きくなっていくんだな。皆のため、って。そして、それは研究の大きさそのものだ。水平を垂直にすることは本当に物理学の基本でしょう。それを一つの国が特許を出して独占するのはおかしい。<br />
<br />
　だから僕は、水平を垂直にするという、基本的な最初の特許だけを取っている。それは３０年も経っているから、特許は当然、有効ではなくなっている。そのあとで、会社は製品の研究をするために特許がいるでしょう？その時はそれぞれ特許を取りなさい、と言ってきた。<br />
<br />
　僕が研究組織の委員長だったから、最初の基本的な考え方をはっきり出した。それ以後の特許は一切取らない。国立大学の研究とはそうあるべきだと思っている。<br />
<br />
　そして今、テレビも全部薄型になって、皆このハードディスクが入っているんだよ。ハードディスクは年間６億台以上生産されている。ということは、１年３００日と考えて、一日２００万台つくるわけだ。それを、何十万という人が世界中でつくっている。<br />
</p>
<p class="q">
―岩崎先生は、「それまでの研究から必然的にそうなるという信念があった」と仰っていましたが、とは言え、実際に実用化されたのを見て、率直にどんな感想を抱きましたか？<br />
</p>
<p>
　僕がこうやってテレビを見ているわけだ。自分の発明がちゃんと生活の中に入って、世の中の役に立った。不思議だな、と思うよ。前のメタルテープの時もそうだった。音のよいテープを、喜んで皆が使っていた。<br />
<br />
　けれども本当に役立ったと思ったのが、今回の津波の映像だ。寺田寅彦という人が『津波と人間』の中で、「このような震災を防ぐには、忘れないように努力する以外にはない」と言っている。あの映像は、まさに津波の恐ろしさを忘れないようにする現代のロゼッタ・ストーンと言えるだろう。<br />
</p>
<p class="q">
―垂直磁気記録の発見から実用化まで約３０年。もし、さらに時間がかかっていたら、岩崎先生は実用化される結果をご自身の目で見ることができなかったかもしれませんね。<br />
</p>
<p>
　それはね、その他にも、ものごとは４０年ごとに変わるという原則を発見しているんだよ（笑）。イノベーターというのは、いろいろなことを考えるんだね（笑）。<br />
<br />
　一番最初のピアノ線磁気録音の発明から４０年間経って、テープレコーダーができた。それは水平型だった。それからさらに４０年経って、僕は垂直磁気型の発明をした。それは必然のこととして、当然そうなるという信念になった。<br />
</p>
<p class="q">
―将来、必ず実用化されると確信して、あとは時代がどうついてくるかを待っていた、という感じなのですか？<br />
</p>
<p>
　そうそうそう。もう、待ち伏せしていたことになる（笑）。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_5">概念だけでなく、ものをつくることが大事</h2>
<p class="q">
―最後に、今までのお話を踏まえて、読者の中高生へメッセージをお願いします。<br />
</p>
<p>
　今度の大震災で、世の中の成り立ちがよくわかった。お互いに助け合って生きていかなければならないということが。それが一番大切なことじゃないかな。今回の津波の映像を見て、大自然の厳しさ、恐ろしさがよくわかった。<br />
<br />
　それともう一つ大切なことは、単なる概念だけではだめだ。先ほどお話したような、水平から垂直といった基本的なことを考えてハードディスクをつくった結果、後世に残る津波の映像を残すことになった。<br />
<br />
　ただ言葉のみではなくて、そういう役に立つものをつくって、人々の生活を意義あるものにする。そういうことが、ものづくりの基本になる。非常にやり甲斐のある仕事じゃないかな。<br />
<br />
　僕は、２０数年も垂直磁気記録を研究してきた。もっと長く見れば、磁気記録の研究は１９５０年頃から６０年間も研究しているわけだ。前半は水平型の研究をしていて、後半の３０年近くは垂直型の研究をしたことになる。<br />
<br />
　考えてみると、今度の津波の映像を撮れと神が命じたものらしい。ライフワークとは、そういうものだと思うね。だから、これほどがんばってきたんだな、と納得している。<br />
<br />
　１００年前の三陸津波ではとても撮れなかった映像が撮れて、後世に残せる。それはものすごく大事な仕事だった。ものづくりには、そういう役立ち方がある。<br />
<br />
　あの津波の映像を見て、多くの人々は、自然の力の大きさや厳しさに比べ、人間の行為の小ささや思慮の浅さを改めて認識し、今、文明の岐路にあると感じているでしょう。だから世界中から日本へ真摯な同情と沢山の支援が寄せられたのだね。これまでに無いことだと思う。<br />
<br />
　だから、本当の意味で大事な仕事だったんだなと、自分では思っている。<br />
</p>
<p class="q">
―最初は岩崎先生の頭の中で始まったことが、実際に現実の世界で様々な役立ち方をしているというのは、改めてよく考えてみると、とても不思議な感じがしますね。<br />
</p>
<p>
　ははは（笑）。それはやっぱり、もとをただると科学なんだね。そして、世界まで影響させたのは、技術までもっていったからだ。最初の発見だけでは科学。けれども発見だけでは知識に過ぎない。それが実際にどれくらい人々の生活を支え、また考え方を変えているかが、最も大切なことだと思う。<br />
<br />
　僕自身も非常に不思議な気になっている。最初はこれ（【図２】磁気テープ断面に生じる磁化模様）だったのだから。それが始まりで、ここまで来ている。<br />
<br />
　それは役に立たせようとする意思がなければだめね。そして役に立つということは、永井先生が「Money making」と言ったように、皆がそれをつくって、それを生活に使う、ということなのじゃないかな。<br />
</p>
<p class="q">
―永井先生の「Money making」の意味が、最初はよくわからなかったけど、今はよくわかった、ということですね。<br />
</p>
<p>
　うん。それがわかった。だから、ものづくりというのは大事なのだ。文化と文明の違いは、そこなんだ。ものをつくって初めて文明になる。<br />
<br />
　僕はちょうど一週間前、奈良に行って平城京を見てきた。やっぱり沢山ものをつくっているから、歴史として後に残っている。<br />
<br />
　ものがちゃんと残ることは、非常に大きなことだ。よいものをつくれば、皆が使っているから、後世に残る。これは本当の人生の目的にもなれる。<br />
<br />
　さらに、ものをつくるというのは、人の気持ちを変え、行動を広めるところまで持っていくことができる。それが「文明」なんだよ。今回撮ることができた映像は、不思議な役の立ち方をしている。現代文明に対する人の気持ちを変える。<br />
<br />
　そこまでは僕も考えていなかった。ただ便利になったなんていうのではなくてね。磁気記録という技術に、それほどの影響力があるとは思わなかった。<br />
<br />
　だから、非常に大事な仕事だったのだな。本当にね、僕、不思議だなと思うんだな。わずかこんな絵（【図２】磁気テープ断面に生じる磁化模様）を見てね、それがこんな風になるなんて。自分でも不思議なんだよ。<br />
<br />
　誰も垂直で変わったとは思っていないけど、実際はそのために生活が変わっている。僕が発明したなんてことを知らない人が皆、当たり前のように使っている。それが、技術の極限の目的だね。<br />
</p>
<p style="text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-iwasaki-san_500px.jpg" style="width:500px" alt="" />
</p>
<p class="q">
―岩崎先生、どうもありがとうございました。<br />
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20111114-top.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111114-top.jpg" width="600" height="400" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北工業大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
            <pubDate>Wed, 30 Nov 2011 20:30:10 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>（４）学校に通える幸せ／連載エッセイ「風に立つ」（南部健一さん）</title>
            <description><![CDATA[
<div style="text-align:center;margin:40px 0px 40px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/20101002-top2.gif" alt="連載エッセイ　風に立つ" style="margin:0px 0px 0px 0px" />
</div>

<h1 style="margin:20px 50px 0px 50px">（４）学校に通える幸せ</h1>

<p style="padding:0px 50px 0px 50px; ">
　家は鉄工所だった。毎日工場で働いた。鉄を削るバイトは刃先に超硬合金を張る。これは家ではできない。溶接屋に持って行く。山田君の父、厳さんは溶接屋だ。通ううちに優しい厳さんが好きになった。溶接の炎を作るカーバイドやアセチレンの化学反応の話がおもしろかった。厳さんは戦争で右足を失くしていた。戦後十二年も経っているのに軍服を着て仕事をしていた。中学三年の後半、山田君は登校しなくなった。先生に「友達だろ。連れて来い」と言われた。彼の家を訪ねた。厳さんは「息子の出席日数は卒業に足りる。これからは溶接を教える。学校はもういい。先生にそう伝えろ」と言った。自信に満ちた鋭い眼光は反論を許さなかった。翌日から僕は、朝一番に登校し校門が開くのを待った。
</p>


<div style="margin:30px 50px 40px 50px; border:1px solid black; padding:5px 5px 5px 5px">
	<div style="width: 80px; margin:0px 0px 0px 0px; float:left;text-align:center; padding:5px 0px 5px 0px">
	<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20101002-1.jpg" alt="南部　健一  （東北大学名誉教授、2008年紫綬褒章受章）" style="width:80px" />
	</div>
	<div style="width: 395px; float:right; padding: 5px 0px 5px 5px">
		<div>
		<span style="font-weight:600; font-size:x-small">ひのき進学教室特別講師</span><br />
		<span style="font-weight:600">南部　健一 </span> <span style="font-weight:600; font-size:x-small">（東北大学名誉教授、2008年紫綬褒章受章）</span>
		</div>
		<div style="font-size:x-small;margin:10px 0px 0px 0px">
<span style="font-weight:600;font-size:x-small;">なんぶ・けんいち</span><br />
		１９４３年金沢市生まれ。工学博士、東北大学名誉教授。百年余学界の難問と言われたボルツマン方程式の解法を１９８０年、世界で初めて発見。流体工学研究に関する功績が認められ、２００８年紫綬褒章受章。
		</div>
	
	</div>
<br class="c" />
</div>

<h2>バックナンバー</h2>
<mt:include module="連載エッセイ　風に立つ" />

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20101002-1.gif" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20101002-1.gif" width="320" height="255" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111123.php</link>
            <guid>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111123.php</guid>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">ひのき進学教室</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">教育って、そもそもなんだろう？</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">連載エッセイ　風に立つ</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">工学研究科</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">流体科学研究所</category>
            
            <pubDate>Wed, 23 Nov 2011 09:13:29 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>東北大学塚本研究室・助教の木村勇気さんと三浦均さんに聞く</title>
            <description><![CDATA[<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-top.jpg" alt="東北大学塚本研究室インタビュー（第５回）：助教の木村勇気さんと三浦均さんに聞く" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2011年11月21日公開</p>

<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
　<span style="font-weight: 600; font-size: small;">「科学って、そもそもなんだろう？」を探るべく、【科学】に関する様々な人々をインタビュー<br />
科学者の人となりをそのまま伝えることで、「科学とは、そもそも何か」をまるごとお伝えします 
</span><br />
<br />
　「結晶成長」という視点から、地球や宇宙でのさまざまな現象を探究する塚本勝男教授（東北大学大学院理学研究科地球科学専攻）インタビューシリーズの第５弾。今回は、塚本研究室助教の木村勇気さんと三浦均さんに、研究へのモチベーションやその魅力などを聞いた。<br />
<br />
【コンテンツ】<br />
◎<a href="#p1">木村勇気さんインタビュー　「実験室で太陽系を再現したい」</a><br />
◎<a href="#p2">三浦均さんインタビュー　「シンプルな理由で説明したい」</a><br />
<br />
【関連記事】<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20101105.php" target="_blank">第１回：東北大学塚本研究室インタビュー　「研究とは、無機的なものと人間的なものとの絡み合い」</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110131.php" target="_blank">第２回：東北大学塚本研究室インタビュー　「一つひとつのことを馬鹿にせず、大事にすべきだよね」</a><br />
・第３回：東北大学塚本研究室インタビュー　「結晶成長と宇宙実験の話」（準備中）<br />
・第４回：東北大学塚本研究室インタビュー　「結晶成長からみる宇宙から環境問題まで」（準備中）<br />
</p>
<br />

<p id="p1" style="border:1px solid black">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-top_1.jpg" alt="◎木村勇気さんインタビュー　「実験室で太陽系を再現したい」" style="margin:0px 0px 0px 0px; width:598px" />
</p>
<br />

<h2>「ナノ粒子」を知ることなくして、正しいシナリオは描けない</h2>
<p class="q">
―そもそも、木村さんの根底にある、研究へのモチベーションは何ですか？<br />
</p>
<p>
　僕は、実験室で太陽系をつくりたいです。自然で起こっている現象を実験室で再現できれば、それがどうやってできたかを知ることにつながると思うからです。本当は臓器もつくりたい、と昔は言っていたのですが、太陽系よりも臓器の方が難しいですね（笑）。
</p>
<p class="q">
―それに対して、どのようなアプローチをしているのですか？<br />
</p>
<p>
　太陽系はどうやってできたのか？そのヒントは、隕石の分析や星の観測などを基に考えるのが世界では一般的で、実験はあまり行われていません。たとえ実験が行われていたとしても、地球上の鉱物や目に見えるサイズの鉱物など、従来の知識や分析結果を基に、隕石はどうやってできたのか？が考えられています。<br />
<br />
　それに対して、僕はもともと物質科学（material science）が専門だったので、「ナノ粒子」を切り口に実験を始めました。ナノ粒子とは、とても小さな粒子のことですが、目に見えるサイズの時（バルク）とは違った、思いもよらぬ振舞いをするのです。
</p>
<p class="q">
―「ナノ粒子」とは何ですか？<br />
</p>
<p>
　定義から言うと、数えられる原子数からなる粒子のことを、約50年前から「超微粒子」と呼んでいました。「ナノ」（ナノメートル＝10億分の1メートル）という言葉が流行ってからは、ナノ粒子と言われています。<br />
<br />
　国際的には、１～100ナノメートル程度のものをナノ粒子と呼ぶことになりましたが、人によってはマイクルメートル（100万分の1メートル）に近いサイズまで、ナノ粒子と呼んでいることもあります。<br />
<br />
　それくらいナノ粒子という言葉は幅広く使われており、その性質とはあまり関係がなくなっています。けれども僕の言う「ナノ粒子」は、大きなものとは性質が変わるくらいに小さなものを言うのが、一番良い定義だと思っています。

</p>
<p class="q">
―小さくなると性質が変わるとは、例えばどんなことですか？<br />
</p>
<p>
　例えば、金のナノ粒子。金はどんなものかは、わかりますよね？けれども金も、小さくなると性質が変わるのです。例えば、金色じゃなくなって、黒色やこげ茶色のような色になるのですよ。<br />
<br />
　ですから皆は、大きなものの時の色を考えて、宇宙はどのようにできたかを議論しています。けれども色が違うのですから、星から受けるエネルギーも変わりますし、すると、動きも全く変わってくるでしょう？これらを考慮せず、金色だと思って、金の微粒子がどうやって動くかを議論しても、意味がないわけです。<br />
<br />
　実際に金で議論している人はいませんが、ほかにも例えば、溶ける温度が違ったり、ふるいでは分けられずにふるいに全部くっついてしまったり。そうやって性質が変わるわけですから、ナノ粒子の考慮なしに正しいシナリオは描けないのではないか、と僕は考えています。
</p>
<p class="q">
―最初にお話していた太陽系とナノ粒子は、どんな関係があるのですか？<br />
</p>
<p>
　宇宙には、無数のナノ粒子が存在しています。太陽系も、もとをただせばナノ粒子なのです。ですからナノ粒子の性質を知らなければ、そのナノ粒子がどうやって集まって大きくなり、惑星をつくっていったかはわかりません。最初が少し違うだけで、結果が大きく違うことは、よくあることです。<br />
<br />
　ですから、最初のナノ粒子のところを抑えることで、そこから太陽系がどうやってできたのか？今まで言えなかったモデルをつくり、わからなかったことがわかるようになればなと考えています。<br />
</p>

<br />
<h2>一般的な大きさの固体とは異なる振舞いをする「ナノ粒子」</h2>
<p class="q">
―そんな木村さんが、塚本研究室を選んだ理由は何ですか？<br />
</p>
<p>
　塚本先生は「結晶成長」が専門で、結晶成長をキーワードにいろいろな研究をしています。僕も「ナノ粒子」が専門で、「ナノ粒子」をキーワードに、惑星科学や天文学に限らず、いろいろな研究をしていました。<br />
<br />
　もともとは結晶も、小さいですね。何かから結晶ができなければいけない。ということは、結晶ができる基になるところで結晶成長の塚本先生と一緒に仕事をしたら、何かおもしろいことができるのではないかと思って来ました。ナノメートルサイズの結晶が、最初にどうやって生まれるのだろう？そこに注目して研究しています。<br />

</p>
<p class="q">
―どのような実験をしているのですか？<br />
</p>
<p>
　実はナノ粒子は、太陽系の中でできたものだけではありません。太陽系の材料となった、太陽系のお父さん・お母さんの星のまわりでできたのです。そこで生まれた微粒子が集まり、太陽系ができています。<br />
<br />
　太陽系は46億年昔に誕生したので、そこまで集まるのに10億年はかかると見積もると、（微粒子は）60億年くらい前にできたのではないかと思います。ですから、宇宙が生まれてから（＝約137億年前）半分くらいにできた微粒子が、まだ生き残っているのですよ。そういったものが隕石の中にいたり、ふわふわ降ってきたりするのです。<br />
<br />
　実際に、隕石の研究は百年以上も行われていて、集合体としての隕石は、どうやってできたのか、わかってきたような気になっています。けれども、隕石の中にある個々の粒子に着目すると、どうやってできたのか、実は、ほとんどわかっていないことばかりなのですよ。我々は、ナノ粒子のことを「ダスト（塵）」と呼ぶのですが、最初にどうやってダストができたかも、実はわかっていないのです。<br />

</p>
<p class="q">
―なぜわかっていないのですか？<br />
</p>
<p>
　それは皆、ナノ粒子のことを知らないからだと僕は考えています。ナノ粒子の知識を以ってすれば、「こうやってできたんだよ」とさらりと言えるのではないかと思うのです。そこで僕は、再現実験などを行っています。
</p>
<p class="q">
―「ナノ粒子」研究の難しさは、どのあたりにあるのですか？<br />
</p>
<p>
　研究が難しい理由は、小さいからですね。小さいと、見るのも大変ですし、つくるのも大変です。僕の場合、つくることはあまり大変ではありませんが、見るのはなかなか大変ですね。<br />
<br />
　なぜかと言うと、原子が数千～数万個、場合によっては数百個くらいの数でできている粒子ですから、電子顕微鏡を使わなければ、まず見えません。さらに、できた粒子を見るだけなく、それができるまでの過程を知る必要があります。例えば、それが普通の大きさのものとは違うどんな性質があるか、ナノ粒子を使って実験しなければいけないのです。<br />
<br />
　具体的には、顕微鏡の中で加熱して見たりします。すると、普通の大きなものなら約1000℃でなければ溶けないのに、ナノ粒子なら約500～600℃で溶けちゃう、といったことが起るのです。
</p>
<p class="q">
―ナノ粒子になると、大きなものとは、なぜ性質が変わってしまうのですか？<br />
</p>
<p>
　なぜかというと、ナノ粒子は体積に対して表面積がとても大きいためです。原子は中にいる方に比べて、表面にいる方が不安定です。すると、表面エネルギーの寄与がとても大きくなって、物性に大きな影響を与えるのです。これを「表面効果」と呼びます。<br />
<br />
　サイズによるので一概には言えないのですが、ナノ粒子になると、例えば、約１割やそれ以上の原子は、半分くらいの手が余っている状態になります。１割が不安定だと、例えば、隣に違う粒子を持って来ても、「仲間が来た」と思って手をつなぐのです。すると、二つの粒子をくっつけただけで一つになっちゃう、といったことが起こるのですよ。<br />
<br />
　このような現象が起こるサイズを「メゾスケール」と言いますが、ナノ粒子も全部の原子が表面に出ているのです。固体のイメージがあるので、原子は留まっているイメージがあるかもしれませんが、「トンネル効果」と言って、たとえ低温でも原子と原子はどんどん入れ替わっているのです。<br />
<br />
　電子顕微鏡で見てみても、実際に動いている様子を見ることができます。原子１個ずつが動いている様子は見えませんが、原子の並び方が変わっているのは見えますよ。それだけ原子は、動くためのバリアが小さいわけですね。<br />
<br />
　このように原子は絶えず動いているために、他の原子を持ってきたらすぐ中の方に拡散したり、二つ持ってきたらくっついちゃったりします。そのようなことがしょっちゅう起こるのが、ナノ粒子の世界では当たり前なのですね。<br />
<br />
　ですから僕は、最近の研究プロジェクトに「液体のようにふるまう固体」というタイトルをつけています。固体ですが液体のように、とても拡散が早いのですよ。<br />
<br />
　例えば、コーヒーにミルクを入れたらコーヒー牛乳ができますが、コーヒーと牛乳を凍らせてから合わせても、コーヒー牛乳の氷にはならないですね。けれどもナノ粒子だと、それがコーヒー牛乳の氷になるのです。固体でも液体のように混ざり合うのです。
</p>

<br />
<h2>何でも最初はナノ粒子</h2>
<p class="q">
―具体的にはどのような再現実験をしているのですか？<br />
</p>
<br />
<h3 style="border:0px">◇宇宙ダスト生成を再現</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-kimura-san_1.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>【写真１】木村さん自ら開発した宇宙ダスト再現装置の前で</p>
</div>
<p>
　宇宙のダストのサイズは、100nm以下のナノ粒子ですが、これまでの実験では、目に見えるサイズの実験で得た情報をもとに、星のまわりでどうやってダストができるのかが研究されていました。けれども僕は、実際にナノ粒子をつくって、どんな条件でできるかを適用する必要があると考えて、研究をしています。<br />
<br />
　例えば、この「宇宙ダスト再現装置」（写真１）では今、蒸発源を星に見立てています。加熱して、蒸発し、ある程度冷えると、そこで凝縮して固まります。これは星から放出されたガスが冷えて、固体の微粒子が生成される様子を再現していると考えています。<br />
<br />
　そして、干渉縞の変化から、どれくらいの温度と濃度でナノ結晶ができるのか知ることができるわけです。すると、星のまわりで、ナノメートルサイズのダストが、どんな条件でできるかがわかると考えています（写真２）。<br />
</p>

<p style="font-size:x-small">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819_10.jpg" alt="" /><br />
【写真２】星に見立てた蒸発源から昇華した蒸気が冷えて凝縮する様子を干渉計でその場観察した様子。煙の中に宇宙ダストの類似物ができている。生成には500K（ケルビン：絶対温度の単位。K = ℃ + 273.15）以上もの過冷却が必要で、10の6乗（100万）を超える超高過飽和度になってることがわかってきた。
</p>

<p>
　さらに、宇宙ダストは無重力下でできるので、実際にそれを再現する必要があると考えています。そこで、このチャンバーを飛行機に載せて、微小無重力実験を行います。すると、まさに星からガスが出て微粒子ができる時と同じような条件を再現できるのではないかと考えています。
</p>


<h3 style="border:0px">◇ナノ粒子を利用する</h3>
<p>
　「ナノ粒子を利用する」ことも重要と考えています。先ほどもお話しましたが、ナノ粒子は体積に対して表面積が大きい特徴があります。分子や有機物ができるためには、表面が必要です。その表面を提供するのがナノ粒子であり、ナノ粒子が触媒にもなって、そこで複雑な有機物ができるのです。<br />
<br />
　宇宙では、複雑な分子や有機物、あるいは水素分子のように単純な分子も、ナノ粒子がなければほとんどができません。ですから、ナノ粒子のことを知らなければ、分子や有機物がどうやってできたかも、実はわからないのです。<br />
<br />
　僕がNASAで2年間研究していた時のボスは、ナノ粒子を使って、表面にどんな有機物ができるかを実験しました。ほかにも、北海道大学の低温科学研究所時代には、水素分子がどんな条件でできるかを研究しました。これらの研究は今も続いています。
</p>
<br />
<h3 style="border:0px">◇天体のスペクトル観測と比べる</h3>
<p>
　実験だけでなく、天体観測もしますよ。実験室の結果と観測結果を比べるためです。東京大学に観測メインで行っている先生がいるのですが、すばる望遠鏡を用いた観測に、僕も一緒に連れて行ってもらうこともあります。<br />
<br />
　具体的には、隕石の中にある微粒子を再現してつくり、スペクトルを測定し、天体のスペクトル観測結果と比較します。それが星のまわりのものと一致すれば、「まさに星のまわりでできたものが隕石の中にできている」ことを再現できると考えます。<br />
<br />
　やはり実験だけでなく、観測や理論の人たちとも協力して、研究を進めて行くことが大事だと考えています。
</p>
<br />

<h3 style="border:0px">◇混ざり合う金ナノ粒子</h3>
<p style="text-align:center; font-size:x-small">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819_11.jpg" alt="" /><br />
【写真３】室温で混ざり合うナノ粒子
</p>

<p>
　【写真３】は連続写真ですが、これはナノメートルスケールの固体の粒子です。はじめは二個あった粒子が（写真左上）、くっついて一個になってしまうのです（写真右下）。このような現象は、実際に電子顕微鏡の中で見ることができるのですよ。<br />
<br />
　このような現象は微粒子ができる時にも起こっていると僕は考えています。普通は、結晶の"種"ができて、その種が成長していくプロセスを考えます。けれども実はそれだけでなく、種ができた後、種同士がくっついたり、溶けたりしてできることも考えられるわけです。<br />
<br />
　普通は、理論計算などを行う時、種がいくつできるかを計算し、最終的に結晶がいくつできるかを計算します。けれども、そうやって種がくっついてしまったら、結晶の数が減ってしまいますね。ところが、そのようなことは今までの計算で考慮されていないのです。<br />
<br />
　ですから、例えば「種を制御して製品をつくりましょう」とつくっても、当初の目論見とは結果が変わってくることもあり得るわけですね。そのような点も、実験からわかるのではないかと僕は考えています。
</p>

<br />
<h3 style="border:0px">◇応用面からもナノ粒子の理解は必要</h3>
<p class="q">
―「ナノ粒子」は、いろいろなものに適用できる考え方なのですか？<br />
</p>
<p>
　何でも最初は、ナノ粒子ですからね。例えば今、いろいろなデバイスにしても、どんどん小さくしていこうと、微細加工できるようになっています。すると、そろそろ微細加工のレベルが、ナノ粒子のサイズになってくるのですよ。<br />
<br />
　例えばナノサイズのことを知らなければ、加工したつもりが「あれ？切ったはずなのに、またつながっているよ」とか。小さいものと小さいものをくっつけて「よし、サンドイッチができた」と思ったら「サンドイッチが混ざり合って全然違うものができちゃった」とか。そういうことが起こり得るのです。<br />
<br />
　要するに、「なぜナノ結晶ができるか？」は「なぜ宇宙ダストができるか？」だけではないのですね。例えば、プリンターのインクが最初にぱっとできる時も最初はナノメートルサイズですし、いろいろな薬品や粉製品にしても、最初から材料をつくるのであれば、それはナノ粒子をつくることになってくるわけです。そのような面からも、ナノ粒子のことを知っておかなければなりませんね。
</p>
<p class="q">
―では最後に、これからの抱負をお願いします。<br />
</p>
<p>
　コンドリュール（多くの隕石に見られる球状の粒子）はもともと、ナノ粒子が集まって、ぱっと瞬間的な加熱が起こり、それが溶けてぎゅっと丸まってできた、と考えています。僕は、ナノ粒子を実験室でいろいろつくっているので、ナノ粒子からコンドリュールができるプロセスを、実験室で再現したいと思っています。三浦さんの理論と直接比べられ、一緒にできますからね。そして最終的には、最初にもお話した通り、実験室で太陽系をつくりたいですね。
</p>
<p class="q">
―木村さん、本日はありがとうございました。<br />
</p>
<br />

<p id="p2" style="border:solid black 1px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-top_2.jpg" alt="◎三浦均さんインタビュー　「シンプルな理由で説明したい」" style="width:598px" />
</p>
<br />
<h2>最初と最後だけでなく過程を見る</h2>
<p class="q">
―そもそも、三浦さんの根底にある、研究へのモチベーションは何ですか？<br />
</p>
<p>
　例えば「なぜ結晶がこんな形になるのだろう？」「なぜ結晶がこんなに速く成長するのだろう？」といった現象を、如何にシンプルな理由で説明できるかに興味があります。<br />
<br />
　ニュートンがリンゴの落下を見て、「もの同士が引っ張り合っているから」とシンプルに説明したことで、惑星の運動も含め、全ての現象を説明できたように。<br />
<br />
　それは結晶成長に限らず、物理学のアプローチなら大抵の人がそう思うかもしれませんが、僕が現在扱っている結晶成長のテーマでも、それが見つけられたらハッピーだと思います。
</p>
<p class="q">
―それに対して、どのようにアプローチをしているのですか？<br />
</p>
<p>
　僕は現在、隕石の中にある球状の粒子「コンドリュール」（写真４）が、（太陽系が誕生した）46億年前にどのようにしてできたか？をテーマに研究しています。
</p>

<p style="font-size:x-small; padding:0px 80px 0px 80px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819_12.jpg" alt="" /><br />
【写真４】石質隕石を数10ミクロンの厚さにスライスして顕微鏡観察するとmmサイズの丸い組織（コンドリュール）が見られる。
</p>

<p>
　これまで塚本研究室以外の研究では、コンドリュールは、岩を加熱して溶かし、一定条件のもとで冷やして固めればできると考えられていました。実際に電気炉という加熱装置を使って加熱して溶かし、ゆっくり冷やしてやると、それらしきものが得られたためです。<br />
<br />
　しかし、それは実際に冷えて固まる過程を直接見たわけではなく、ブラックボックスの中でできたものを後から詳細に分析し、推測するアプローチでした。<br />
<br />
　それに対して塚本先生は、どのような速さでどのタイミングで凝固するかなど、凝固する過程を直接見ながら調べる研究を進めています。そこで僕は今、その現象をコンピュータ上で再現することに取組んでいます。<br />
<br />
　コンピュータシミュレーションは、自然界の法則すべてを盛り込めるわけではありません。そこでコンドリュールが凝固する時のある過程に注目し、それだけを抽出してモデル化し計算することを行っています。基本となる過程のどれが決め手になっているのか、一つずつコンピュータという助けを使ってトライしているのが、現在の方法です。
</p>
<p class="q">
―そんな三浦さんが、塚本研究室を選んだ理由は何ですか？<br />
</p>
<p>
　僕がここに来た理由は、シンプルです。きっかけは、僕が大学院生の頃、塚本グループがある研究会で、コンドリュールを浮遊させながら加熱し、冷えて固まる過程を動画で発表したのを見て、大きなインパクトを受けたこと。僕はそのとき初めて、結晶化する過程のイメージを得ることができたのです。<br />
<br />
　それまでは、コンドリュールが凝固する過程は外から見えないので、幾ら論文を読んでも載っておらず、固まった後の断面を見て考えることが、それまでの僕の常識でした。まさに百聞は一見に如かずでしたね。<br />
<br />
　僕はそれまで、コンドリュールの中身に関する研究より、いわゆる宇宙物理学や惑星形成論に興味があったのですが、塚本グループの実験結果と理論を比較しながら、いろいろ研究を進めることができるのでは、と思ったことが一つの決め手でした。<br />
<br />
　やはり理論だけですべてを予言することは難しく、実験と比較して進める必要があるのですが、それができる研究室だと思いました。
</p>

<br />
<h2>前提が変わると、他も変わる</h2>
<p class="q">
―では、研究内容について、詳しくご紹介ください。<br />
</p>
<p>
　まず「凝固」とは、溶けたものが固まる時、どこか１点が固まり、それが全体に広がっていく過程を指します。一つは、塚本先生も強調されていることですが、全体に広がっていく時、結晶成長速度がこれまでの研究結果とは全く異なるのではないか、と考えています。<br />
<br />
　過去の研究によると、「溶けたものが１時間程度かけてゆっくりと固まっていった」というシナリオになっています。それ以上速くはなくて、場合によっては数日程度かけてゆっくりと成長したのではないか、と考えられていました。<br />
<br />
　すると、その結果を受けて理論屋さんは、46億年前の太陽系でゆっくりとした冷却を実現しようと、例えば「どんな現象が46億年前に起こっただろう？」とモデルをつくり、「こんなことがあったのではないか」といろいろな想像を繰り広げるわけです。けれども、ゆっくり成長する前提がもし間違いなら、皆のイメージががらっと変わってしまうわけですね。<br />
<br />
　僕は、コンピュータシミュレーションという手法を用いて、「ひょっとしたら、ゆっくりとした成長という前提が実は違っていて、もっと急速に、１秒くらいで成長したのではないか」を、正しいかどうかは別にして、今のところ考えているのです。
</p>


<p style=" font-size:x-small; padding:0px 100px 0px 100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819_12.gif" alt="" /><br />
【図】丸い液滴の中で結晶が成長する様子の数値シミュレーション結果。急速な結晶成長に伴う温度上昇が、複雑な形の結晶を生み出す。
</p>


<p class="q">
―コンドリュールの結晶成長速度が、「ゆっくり」ではなく「速い」となると、何が一番問題になるのですか？<br />
</p>
<p>
　ものが固まる時、「潜熱」という熱が出ます。例えば、水が固まって氷になる時も、膨大な熱が出ています。具体的には、１gの水が瞬間的に固まったとすると、330J（ジュール）程度の熱が出ます。これを温度上昇で考えると、水の温度を80℃くらい上昇させるのに匹敵する熱が出ます。<br />
<br />
　すると、理屈上「0℃の水が固まると80℃の氷になる」となりますが、実際にはそれは起こらないわけですね。なぜならば、水をゆっくり冷蔵庫で固めていくと、発生する熱が少しずつ外に逃げて行くので、問題なく固まるわけです。<br />
<br />
　ところが、宇宙空間で隕石中の組織「コンドリュール」が、１秒くらいで固まることがもし起こるのなら、どうやって熱を逃がすかが問題です。熱の逃がし方をきちんと考えると、ゆっくり成長した場合と全く異なる成長の仕方をするはずなのです。それが隕石の中にある組織の特徴をいろいろ決めていることが考えられます。<br />
<br />
　ですからコンドリュールがゆっくり成長してできるものか、それとも、もっと速く成長しなければ理論的にできないものかによって、46億年前のイメージががらりと変わるかもしれないと考えています。<br />
<br />
　研究とは、人間がイメージをつくっていくことだと僕は思います。それが真実かどうかはわからなくて、あくまで人間の知識で矛盾なく説明できる太陽系とはどんなものなのか、ということ。<br />
<br />
　けれども、前提が間違っていると、他の分野にも影響をもたらし、どこかで矛盾が生じてどうしても説明できなくなってしまいます。すると結局、多くの人が納得できるイメージをつくれないことになるのではないか、と僕は思うのです。<br />
<br />
　僕の理解では、近年の科学技術の進歩によって、いろいろな研究者たちが一生懸命、隕石を見ているので膨大なデータがあります。けれども膨大過ぎて、全てをうまくまとめきれない印象を持っています。<br />
<br />
　ですから大きな目標としては、それを統一したい。統一するためには、理屈の上では、こういうことが起こるはずだ、という点を抑えたいと思うのです。「この理屈ならこうだから、ゆっくり冷却は変じゃないか」とか、逆に、「速い冷却はやっぱり駄目だから今まで皆が考えていたことが正しい」とか、そういうことが決められるかな。<br />
</p>

<br />
<h2>スケールの異なる二つの分野を、<br />
　「結晶成長」をキーワードにつなげたい</h2>
<p class="q">
―最後に、これからの抱負をお願いします。<br />
</p>

<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-miura-san_1.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>【写真５】日頃の研究で使用しているコンピュータの前で</p>
</div>
<p>
　いくつか、やりたいことがあるんです。一つは、木村さんも結晶が成長する過程を"その場"で観察し、世界で誰もやっていない、おもしろいデータを出しているので、それをことごとく理屈で説明できるとおもしろいなと思っています。<br />
<br />
　もう一つは、僕はもともと塚本研究室に来る前は、46億年前の太陽系で、コンドリュールを加熱することができた天体現象はどんなだったのだろうという、比較的空間スケールの大きなモデルの話をしていました。一方で現在は、たった1mm程度の小さなコンドリュールの中身の話をしています。<br />
<br />
　分野的には、いわゆる宇宙物理学や惑星形成論という数千～数十億kmといった大きなスケールを扱っている分野と、木村さんたちが扱っているような、隕石の中の小さな物質はどうやってできてきたのかといった物質科学は、見ているスケールが全く異なるのです。<br />
<br />
　けれども、この二つの分野をつなげるような、大きなところから小さなところまで全てを矛盾なく説明できるような、そんなシナリオをつくりたいですね。それを「結晶成長」というキーワードでつなげることができればなと思います。<br />
</p>

<p class="q">
―三浦さん、本日はありがとうございました。<br />
</p>
<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20110819-top.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110819-top.jpg" width="600" height="400" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110819.php</link>
            <guid>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110819.php</guid>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学大学院 理学研究科 地学専攻 塚本研究室</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">地学専攻</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">理学研究科</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">結晶成長学</category>
            
            <pubDate>Mon, 21 Nov 2011 14:56:52 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>岩ケ崎高創立７０周年記念行事／仙台市出身の天文学者・小久保さん講演</title>
            <description><![CDATA[<h1>岩ケ崎高創立７０周年記念行事／仙台市出身の天文学者・小久保さん講演</h1>
<p class="date">2011年10月29日公開</p>

<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111028_01.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>宮城県岩ヶ崎高校で２７日に行われた創立７０周年記念行事のようす＝栗原市</p>
</div>
<p>
　宮城県岩ケ崎高校（栗原市、伊藤芳春校長）の創立７０周年を記念する行事が２７日、同校で開催され、生徒やＯＢらが出席した。記念行事では式典のほか、仙台市出身の天文学者・小久保英一郎さん（国立天文台准教授）による講演会も行われた。講演テーマは、「宇宙の中の地球」。小久保さんは、地球から宇宙の果てまでの最新の宇宙像を、コンピュータ・グラフィックス映像を用いて紹介。次いで、地球はどのようにして生まれたかについて、小久保さんの研究結果も交えながら解説した。
</p>
<div class="rightPicture" >
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111028_02.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>仙台市出身の天文学者・小久保英一郎さん（国立天文台准教授）による講演会のようす</p>
</div>
<p>
　地球の材料となる元素は、星が核融合反応を起こしてできたもので、星が死ぬ時、「星くず」（ガスやダスト）となって宇宙空間にばらまかれた。４６億年前、生まれたばかりの太陽のまわりで、太陽になり損なったガスとダストが円盤のようにまわっており、その中でダストが集まって微惑星をつくり、微惑星が集まって原始惑星となり、原始惑星が集まって地球ができたと考えられているという。
</p>
<div class="rightPicture" >
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111028_03.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>地球はどのようにして生まれたかについて、小久保さんの研究結果も交えながら解説された</p>
</div>
<p>
　小久保さんは、「コンピュータ・シミュレーション」と呼ばれる手法でコンピュータの中に宇宙を再現し、惑星のもとになった円盤からどのように惑星が形成されたかを研究している。講演では、ダストが集まって微惑星が形成された後、大きな微惑星ほど強い重力で周囲の微惑星を集めるため暴走的に成長していくようすや、円盤からガスがなくなると原始惑星がもう一度重力で引き合って最終的に地球ができるようすなどが、アニメーションで紹介された。<br />
<br />
　講演後は会場から「天文学者になって一番うれしかったことは」「天文学者以外でなってみたい職業は」など多くの質問があった。小久保さんは「誰も知らないことを自分が初めて見つけた時が一番うれしい」「子どもの頃は自然に囲まれて育ったので、探検家や考古学者にあこがれていた」などと答えていた。<br />
<br />
　小久保さんは「自分たちのいる場所が、どんなところで、どのようにしてここまで来たかを、普段の生活とは違う大きなスケールで知ってほしかった。こんな見方もあると思って、日々の生活を送ってもらいたい」と話していた。
</p>

<br />
<h3>■伊藤芳春さん（宮城県岩ヶ崎高校　校長）の話</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_itou-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>伊藤芳春さん（宮城県岩ヶ崎高校　校長）</p>
</div>
<p>
　学校再編が進む中、本校は男女共学校だったことに加え、地域からの進学の要望に応える学校だったため、生徒数は少ないものの、創立７０周年を迎えることができた。今回、小久保さんに講師をお願いしたのは、小久保さんが素晴らしい科学者であるのはもちろんのこと、宇宙の話は理系・文系関係なく生徒諸君の知的好奇心を刺激し、皆が興味を持つと考えたから。生徒諸君も小久保さんとともに成長・活躍していって欲しいと願っている。
</p>

<br />
<h3>■小久保英一郎さん（国立天文台　准教授）の話</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_kokubo-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>小久保英一郎さん（国立天文台　准教授）</p>
</div>
<p>
　普段は意識せずに生きている我々の地球を、大きな視点から俯瞰（ふかん）する機会を持ってほしいと思って講演した。普段の生活では近視眼的にものごとを考えがちだが、今立っている場所から引いてみることが大切だと思っている。我々の地球は大きな世界の一部ではあるが、小さいから無価値なのではなく、だからこそかけがえの無い存在である。我々は大きな世界の中で生きている。その時間的・空間的な広がりを少しでも知ってもらいたい。</p>


<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20111028_01.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111028_01.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20111029.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">岩ケ崎高</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">教育って、そもそもなんだろう？</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">天文学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">岩ケ崎高</category>
            
            <pubDate>Sat, 29 Oct 2011 08:53:47 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>基礎科学研究のおもしろさ体感して　高校生が天文学者の研究体験</title>
            <description><![CDATA[<h1>基礎科学研究のおもしろさ体感して　高校生が天文学者の研究体験</h1>
<p class="date">2011年10月26日公開</p>

<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111017_01.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>16日、仙台市天文台で行われた「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。」成果発表会のようす</p>
</div>
<p>
　天文学者の研究体験を通じて、高校生に基礎科学研究のおもしろさや意義を体感してもらおうという天体観測実習「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。」の成果発表会が１６日、仙台市天文台（仙台市青葉区）で行われた。<br />
<br />
　日本学術振興会による科学研究費助成研究の成果を社会に還元・普及するための事業「ひらめき☆ときめき サイエンス」の一環で、東北大学大学院理学研究科天文学専攻が市天文台と連携して実施した。国立天文台が考案した「君が天文学者になる４日間」をモデルにした企画で、国立天文台からのサポートも受けた。
</p>

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<p>１ヶ月半にわたる研究成果を市民や専門家らの前で発表する高校生たち</p>
</div>
<p>
　県内外から参加した高校生１１人は、３つの研究グループに分かれて自ら研究テーマを決め、その謎を解明するために市天文台の望遠鏡を用いて観測し、取得したデータを自ら解析。研究者の日常や研究の進め方を体験した高校生らは、約１ヶ月半の研究成果を市民や専門家らの前で発表した。<br />
<br />
　このうち「系外惑星WASP-33bの生命存在の可能性を探る」をテーマに研究したグループは、「トランジェット法」という惑星の表面温度と半径を求めることができる方法を用いて、「WASP-33b」という太陽系外惑星を観測し、地球外生命存在の可能性を調べた。<br />
<br />
　高校生らは、生命が存在する最低限の条件を「水が液体で存在できること」と仮定。観測結果を解析した結果、WASP-33bの表面温度が非常に高くなることから、水は液体で存在できず、地球型生命体の存在は不可能と結論付けた。<br />
<br />
　質疑応答では「観測や実験から結論を出す時は、得られた値の正確性が大事。誤差の推定作業も考慮すると良い」「水が液体でいられるための主星から惑星までの距離を計算すると、地球外生命存在の可能性を、ある程度まで評価できるのでは」など専門家からのアドバイスを受けていた。
</p>

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<p>受講生への「未来博士号授与式」のようす</p>
</div>
<p>
　研究成果発表会後は、本企画代表者で東北大学准教授の服部誠さんが、宇宙創成の物理研究の最前線を、映像と音楽を交えながら講義した。次いで、受講生への「未来博士号」授与式があり、高校生らは笑顔で修了証書を受け取っていた。<br />
<br />
　服部さんは「最後までやりきったことが財産になる。素朴な疑問を大切に。すぐには解けない問題に挑戦するからこそ、おもしろいし、進歩がある」と受講生を激励した。<br />
<br />
　受講生は、２０１２年３月に龍谷大学（京都市）で開催される日本天文学会ジュニアセッションでも発表を予定しているという。
</p>

<br />
<h2>インタビュー</h2>

<h3>「素朴な疑問に挑戦し、成果を出す、研究プロセスを体感して」<br />
／企画代表者の服部誠さん（東北大学大学院理学研究科天文学専攻准教授）</h3>

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<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_hattori-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>服部誠さん（東北大学大学院理学研究科天文学専攻准教授）</p>
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<p>
　自分でもった素朴な疑問に挑戦し、成果を出すまでのプロセスを最後まで踏んでもらう。しかも、それを一人ではなく、いろいろな人の協力を得ながら行う。その途中、実力や装置などの関係で妥協しなければならない点も出てくるだろう。しかし、その妥協点を見つめながらも、そこで満足せず、次の段階も見据えて、先に進んでいく。このような科学の本質を体感してもらうことが、科学・技術に対する高校生の理解を深めるための機会提供として最適と考え、実施した。<br /><br />
　また、このような機会は、本企画のサポート役を務めた大学生２４人にとっても、研究だけでは見えなかったことに気づく場、あるいは教育に興味がある人にとっては実践の場となるため、大変意義深いと考えている。<br /><br />
　なお本企画は、日頃の研究活動を社会に還元したいと考えながらも具体的に何をしたらよいか迷っていた私が、社会還元活動の経験豊富な田中幹人さん（同専攻GCOE助教）と出会ったことで実現した。私にとって本企画は、多くの方の協力を得ながら、長年抱えていた課題に挑戦する新たな研究の場でもある。
</p>
<br />

<h3>「皆で議論する中で、新しいことが見えて、とても楽しかった」<br />
／受講生の山森彩加さん（聖ウルスラ学院英智高校２年）</h3>
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<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_yamamori-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>山森彩加さん（聖ウルスラ学院英智高校２年）</p>
</div>
<p>
　一人ひとりが良い意見を持っており、皆の意見を良い具合にまとめることは難しかったが、とても楽しかった。さらに、そこから何がわかるのかという考え方も、皆少しずつ違っていた。議論をすると、新しいことが見えてくるので、自分の中で新しい発見につながり、新鮮で刺激的だった。次の日本天文学会Jr.セッションでも頑張りたいし、今後の課題にむけても取り組んでいきたい。
</p>


<br />
<h3>「観測はもちろん解析も、寝ずに研究したのも、全部楽しかった」<br />
／受講生の矢島義之さん（西武学院文理高校２年）</h3>

<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:100px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_yajima-san.jpg" alt=""  style="width:100px;" />
<p>矢島義之さん（西武学院文理高校２年）</p>
</div>
<p>
　これまで同様の企画に何度か参加したが、今回が一番楽しかった。言葉では表現するのは難しいが、研究内容が一番充実していたと思う。発表まで間に合わなかったところもあったが、自分たちが調べられた成果が一番良く出たと感じている。具体的には、もちろん観測も楽しかったが、ベテルギウスの光度を求める時エクセルで関数をつくるなど、解析がとても楽しかった。全然寝ないのも楽しかった。というか、全部楽しかった。
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20111017_000.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20111017_000.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">仙台市天文台</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">教育って、そもそもなんだろう？</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学理学部物理系同窓会 泉萩会</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">天文台</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">天文学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">研究体験</category>
            
            <pubDate>Wed, 26 Oct 2011 17:17:32 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>武田暁さん（理論物理学者）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？</title>
            <description><![CDATA[
<h1><img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910-top.jpg" alt="武田暁さん（理論物理学者）に聞く：科学って、そもそもなんだろう？" style="margin:0px 0px 5px 0px" />
<span style="padding: 5px 0px 0px; font-size: small; font-weight: 600;">取材・写真・文／大草芳江</span>
</h1>
<p class="date">2011年10月12日公開</p>
<div id="subject">
<p id="t">「脳は科学を如何につくるのか？」<br />
その過程も同時に理解しなければ、<br />
本当のことはわからない。<br />
</p>
<p id="n">武田　暁　　Gyo TAKEDA<br />
（東京大学・東北大学名誉教授、平成基礎科学財団理事）
</p>
</div>

<p style="font-size:x-small;">
1924年東京生まれ。専門は理論物理学(素粒子論)。1946年東京帝国大学理学部物理学科卒業。1950年同大学院中退。神戸大学助教授、東京大学原子核研究所教授・同所長、東北大学理学部教授・同理学部長などを歴任。現在、東京大学・東北大学名誉教授。主な著書に、「素粒子」、「場の理論」、「物理科学への招待」、「形の科学」、「脳と物理学」（裳華房）、「脳と力学系」（講談社）、「脳は物理学をいかに創るのか」（岩波書店)、Development of Physics, EOLSS, UNESCO、など。
</p>
<p style="padding:10px;border:1px solid gray;font-size:small">
　<span style="font-weight: 600; font-size: small;">「科学って、そもそもなんだろう？」を探るべく、【科学】に関する様々な人々をインタビュー<br />
科学者の人となりをそのまま伝えることで、「科学とは、そもそも何か」をまるごとお伝えします 
</span><br />
<br />
理論物理学者(素粒子論)の武田暁さんは、<br />
「自然科学とは、そもそも何か。<br />
その問に答えるのは時期尚早」と言う。<br />
<br />
なぜならば、自然科学は人間の脳がつくったもの。<br />
脳は自然科学をどのようにつくるのか？<br />
その過程を論理的に理解しないままでは、<br />
片手落ち同然で、どうも本当のことはわからない。<br />
<br />
そう語る武田さんは、十数年前から脳科学の研究を始めたそうだ。<br />
「物事を断定的に言うのは、嘘をつくのと変わらない」と<br />
脳科学の研究結果を根拠にしながら限定的に語る、<br />
武田さんがリアルに感じる科学とはそもそも何かを探った。<br />
<br /><br />
＜目次＞<br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_1">脳は自然科学をどのようにつくるか？を自然科学で理解したい</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_2">ちょうど日本語の文法を聞かれるようなもの</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_3">対応にゆらぎのある細胞が、絶対に間違いのない論理的思考を、どうやってやれるのか？</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_4">抽象化されたものを一体、脳はどこでどのように処理するか</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_5">細胞レベルで見ると、人間も猿もネズミも、たぶん火星人も同じ</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_6">言語と物理は似ている</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_7">抽象化されたイメージを、誰でも同じように脳内に描くことができるのか？</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_8">人の頭の中に認知されるまでには時間がかかる</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_9">極めて抽象化されたものは潜在的に人間の興味を惹くのかもしれない</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110907.php#p1_10">自分の心はわからないのが事実</a><br />
</p>


<br /> 
<div class="interview"> 
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/kagaku_interview.gif" alt=""> 
<p>東京大学名誉教授・東北大学名誉教授の武田暁さんに聞く</p> 
</div> 
<br /> 


<h2 id="p1_1">「脳は自然科学をどのようにつくるのか？」を理解したい</h2>
<p class="q">
―武田先生がリアルに思う科学って、そもそも何ですか？<br />
</p>
<p>
　ふふふ・・・（笑）。そんな難しい質問は、初めて尋ねられましたけど。科学って、自然科学のことですか？それとも、もっと一般にいろいろな科学を含めてですか・・・。ちょっと考えよう。そうですね、僕は、自然科学のことしか、喋りませんよ。自然科学に近いやり方で学問をつくっている経済学とか、あるいは言語学とかも、科学と言われていると思うのですが、自然科学だけについて喋ります。<br />
<br />
　自然科学とは何か。一言で返事をするのは、とても難しいと思うのですが、自然の中で、生き物も含めて、いろいろな変化や、いろいろな現象が、起こっています。<br />
<br />
　個々の自然現象を理解するためには、いろいろな現象をひとまとめにして理解できるような、ある種の法則、多少、抽象化した規則性を見つけて、それに基づいて理解する、というような手法を用いる学問が、自然科学だと思っています。したがって、自然現象の理解には、ものごとを見ているだけではなくて、やっぱり、ものごとを多少抽象化したイメージを頭の中に自分で描くと言いますか。頭の中の世界をつくりあげる操作も大事なのですね。そこで、この頃は、心の中で自然の法則をつくりあげるプロセスが、どういう風に起こっているかを理解しなければ、本当は、自然科学とは何かはわからないと思っています。<br />
<br />
　ですから、僕は物理、特に素粒子物理をやっていたのですが、ここ１５年ほどは、そういう頭の中で描く世界がどうやってつくりあげられるかを同時に理解しないと、どうも本当のことはわからないという気がして、脳科学に凝っているのです。だいたい、自然科学とは何ですか、という質問にひとことで返事をするのは、本当はよくないことで。そんなことは誰にもわからないことですね。<br />
</p>
<p class="q">
―なぜ誰もわからないのですか？
</p>
<p>
　それは、科学がどうやってつくられるか？という過程を理解するには、まだ不十分な材料しか揃っておらず、そういう脳内イメージがどうやって形成されるかを、多少、論理的に理解する方法は、まだ始まったばかりだからです。ですから、「科学とは何ですか」という、人の心に問いかけるような質問に、うかうかと答えるのは間違っていると思いますね（笑）。返事をしないのが、正解だと思います。<br />
<br />
　ただ、一般の人から「科学とは何ですか？」と聞かれた時には、「科学はおもしろいよ」とか「ぜひ自然科学をやりなさい」とか、ある種の教育的な目的があるときは、「科学とはこういうものですよ」と無理をしても返事をする方が良いのかもしれません。<br />
</p>
<p class="q">
―もう少し具体的に言うと、どんなことが必要だと思うのですか？<br />
</p>
<p>
　脳の中でどんなプロセスで自然のイメージの形成が進行しているかを、もう少し具体的な脳内過程に基づいて、ステップ・バイ・ステップで、理解する必要があると思いますね。<br />
<br />
　自然科学と人文科学の違い、その一つは、自然科学は積み上げ方式なんです。自然科学は、ある種の重要な実験、あるいは観測結果の理解を積み上げることで、一つの学問体系をつくっています。例えば、400年前にニュートンがニュートン物理学をつくりあげましたが、それは今もって、ほとんどの場合に成り立つ物理学として使われています。また、まだ100年ほど前かな、アインシュタインが相対性理論をつくったのですが、彼の考え方は今もって、ほとんどの場合に成り立つとして、物質世界の理解、宇宙の理解に使われています。そういった歴史的な積み上げがずっと続いて、伝承され、一つの学問体系をつくっています。これは、文系の学問とは、だいぶ違うのです。（文系の学問では）積み上げ方式が必ずしも成立していません。<br />
<br />
　そのような積み上でつくられた科学の成果は、非常に時間をかけて、あるいは多くの人の力を使って、できあがりました。ですから、それを理解する際には、多くの人が長年かけてつくりあげてきた考え方、あるいは自然の法則の理解の仕方を、我々が自分の心の中にイメージとしてつくりあげる操作をしているに違いないのです。けれども、それが脳内でどのように行われているかをはっきりさせるのは、けっこう難しいのです。そういうことに少しは理解の道筋をつけたい、とは思っていますけれども。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_2">ちょうど日本語の文法を聞かれるようなもの</h2>
<p class="q">
―どんなところが難しいのですか？<br />
</p>
<p>
　例えばですね、人は多くの事柄を理解する時、あることが起きたら、例えば「A」ということが起きたら、いずれ「B」ということが起きる、という因果関係を通して、理解する場合が多いですね。<br />
<br />
　それは、ある意味で論理的というよりも直感的でしてね。「Aに近いこと」が起きたら間もなく「Bに近いこと」が起こると思う感覚、感じ方、そういうものが、見ている人の心の中に植え付けられていきます。ある種の科学者は「自分はインスピレーション、直感に基づいて研究をしている」と言っています。そして実際に起こったことに近いことを実現できるような実験装置などをつくって、実際に、自分の直感が正しいかどうかを確かめる。まぁ、そういう方法で研究を続けている人が多いですね。その結果、「A」と「B」との因果関係がはっきりする。そして「A」と「B」との間をつなぐ法則性もはっきりする。それから「A」だけでなく「A'」「A"」といったいくつかのことが、「B'」「B"」に導くという少し広い物事にも適用できる規則性をも同時に理解する。そんな研究プロセスをとっています。<br />
<br />
　本当に言ったかどうかはわからないのですが、例えばアインシュタインなんかが言っていることは、「自分は自然現象のイメージを頭の中に描いて、それに基づき、あるいは、それに導かれて仕事をしてきた」と言ってます。それは、ある意味で絵を見たり描くときに、「あぁ、こうだ」というインスピレーションが大事だと言っているようなものです。これは直接アインシュタインに聞いたわけではないけども。それから小柴昌俊さんには、僕は年に10回くらい会っているのだけど。小柴さんに言わせると、彼はインスピレーションで仕事をしている、と言う。<br />
<br />
　人間の脳は、いろいろなことをやっているのですが、脳をいろいろ調べると、必ずしも論理的な思考には向いていないのですよ。「A」だから「B」、「B」だから「C」というような一連の論理のつながりを実行するには、脳は必ずしも向いていないのです。ですから、相当な訓練をした人のみが、ある程度、論理のつながりを展開できる。ですが、多くの人はそんなことをせずに、途中を省略して「A」なら必ず「X」が起こるという、ある種の飛躍した、けれども直感で物事を理解し、それに応じた行動をとることをしているんですね。論理的思考の成果は、多くの試行錯誤を経て歴史の産物として蓄積されていき、自然科学を支える体系をつくっているのですが、それは簡単にできるものではないのです。<br />
<br />
　論理のワンステップごとに相当な試行錯誤、あるいはたくさんの過ちを犯した後で、それが正しいことが示されて、人の心の中で、そういう理論的理解をするような、ある種の記憶回路が植えつけられていく。そういうことを通して、やっと科学の体系が一応できあがっているので、そう簡単ではないと思うのですけどね。<br />
</p>
<p class="q">
―どんなところが簡単ではないか、もう少し詳しくお話してください。<br />
</p>
<p>
　こう言う方が良いかもしれません。例えば、言語ね。人がどうやって言葉をしゃべっているかを、この数年は一生懸命調べていたのですよ。言葉の場合は、誰でも、話す言葉を聞きながら、非常にたくさんの単語を覚える。そして単語のつなげ方、文のつくり方を覚える。そうやって４歳くらいになると、誰でもわりと自由に喋れるのね。自分の国の言葉というか、自分のまわりで話されている言葉を。<br />
<br />
　人はそういう風にして、ある程度文法に沿った文を、いくらでもつくれるようになる。けれども「さて、文法とは、どんなものですか？」と文の構成の仕方を聞かれると、ほとんどの人は返答に窮する、というか、正しく返事ができない。つまり、ある種の経験を通して、言葉を自由に、わりと正しく喋れるという事実が一方であり。他方でどうやって文をつくるかという文法をワンステップごとに説明するのは、なかなか難しい。<br />
<br />
　それと同じで、いろいろな自然現象を見ていると、直感的に「こういうことが起こったらこうなる」とある程度はわかるのですが、なぜそうなるかを説明するのは難しいですね。直感も必要ですし、ワンステップごとに積み上げて論理の体系をつくるのも重要なのですけど、多くの科学者は、直感に基づいて、新しいことを見つける。けれども、それを体系化するのは、なかなか難しいと思うんですよね。<br />
<br />
　だから、科学には二つの面があって。皆さん、ある程度両方使い分けていると思いますけど。そのうち論理的思考がわりに強いのが、他の学問分野と違った自然科学の特徴だと思います。<br />
<br />
　僕も、「英語の文法はどうか？」と聞かれると、ある程度は説明できるのですが、「日本語の文法はどうか？」と聞かれれば、そんな不必要なことを返事する気も起こらないし、答えようとすると結構難しいですね。直感的にわかることは、説明しろと言われたって、そんなことは面倒くさいというか、そんなことは不必要だと言って、避けることがありますが、ちょうど日本語の文法を聞かれるときのようなものです。つまり、人の心の中にはなんとなく無意識のうちに習得したことと、意識的に習得したことが混ざっているのですよ。まぁ、サイエンスというのは、わりと後者の方が大きなウエイトを占めているかな、と思いますけど。論理的に理解するようになると、それが後の人に伝承されて、ある程度状況が変わっても永続するような事柄が積み上がっていくのではないでしょうかね。本当にそうなのかはわからないけど。<br />
</p>
<p class="q">
―「意識的に習得したこと」＝「論理的思考」、「無意識的に習得したこと」＝「インスピレーション」で、対応はしていますか？<br />
</p>
<p>
　ある程度ね。<br />
</p>
<p class="q">
―１：１対応はしないのですか？<br />
</p>
<p>
　例えば、赤ん坊が４歳くらいまでで言葉を覚えるのは、非常にたくさんの、まわりで話している人の言葉、特に母親の言葉を聞いているからなのね。いちいち説明を受けているわけではないけれども、繰り返し聞かされる言葉に対しては、何となく感覚として、「これは、こういうことを言っているんだ」という意味までも付随して理解していくわけです。ですから、いろいろな自然現象をゆっくり眺めている人は、たとえ理由は不明であっても、「こういう種類のことが起こっている」と直感的に理解するのではないですかね。そういう面が大事なことは確かで、だから「科学者は自然をよく観察しなさい」と言うわけね。<br />
<br />
　確かに、よく観察しないといけないのでしょうけど、同時にある種の科学者は、「非常に理屈立って、論理的にものごとを理解する訓練をしなさい」と言うのです。そちらも大事と思いますけど。どうなんですかね、本当のことはわからないですね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_3">対応にゆらぎのある細胞が、絶対に間違いのない論理的思考を、どうやってやれるのか？</h2>
<p class="q">
―どうして、本当のことはわからないのですか？<br />
</p>
<p>
　科学のなかで、特別なものを対象にしないで、極端に抽象化した対象を扱うのが、数学かもしれないですけどね。そもそも数学を、自然科学の一つと言うか、それとも自然科学から外れたものと考えるかは、人によって違うのですが。<br />
<br />
　物理では、自然現象を法則化したものは、最終的にほぼ数式で書かれています。ニュートンの運動法則も、アインシュタインの一般相対性理論も、すべて数式で書かれている。ですから最終的に、自然の成り立ちは数式でもって極めて抽象化した形で書ける、というのが、少なくとも今までの歴史です。どうして、そんなに数学が大事なのか？どうして最終的に数式で書けるか？ということについては、何人かの非常に有名な科学者、特に物理学者は疑問に思ってきました。しかし、本当にそうなんだ、と確信を述べている人はいないのです。<br />
<br />
　繰り返しになりますが、いろいろな物理法則を極端に抽象化した場合には、今までのところ必ずある種の数式で書ける。数式で書けたから終わり、というわけではないのですが、いずれにしても数式で書けるのは、ある意味で驚くべきことでしてね。ですから、論理的思考が最終的に落ち着くのは、ある種の数学。多分、そういう数学は、実際は、世の中の自然現象を見ながら、数学者が考えついた姿かもしれませんが、ある種の数学で表わされる。<br />
<br />
　自然科学というのは、最終的には、個々の自然現象ではなくて、類似の自然現象を一括して説明する自然法則、類似の現象をどんどん一般化すると、あらゆる現象を説明する一般法則を探し出し、てそれを数式で表すことが最終的な目的だと考える人もいるのです。<br />
<br />
　じゃあ、生物学はどうかと言われると。生物学や化学は物理学の成果を使っていることは確かですが、たとえ一般的な数式で表わされる物理法則がわかったとしても、そういう極めて複雑な生物現象を、すぐに説明するのは難しい。<br />
<br />
　それでも、生物を含めて適用できる物理法則が、数式の形で書かれているのですね。複雑な現象はその式があるからといって、そう簡単に理解できるわけでもないのですが。いずれは理解する道筋ができると思っているのですかねぇ...ちょっとわかりませんけど。<br />
<br />
　要するに、自然科学の極端な見方としては、一般化した数式に到達するのが最終目標と考える人もいるのです。今までの歴史が、それをある程度裏付けていますから。科学全体の流れの一つとしては、そういう方向があるのですね。<br />
<br />
　けれども一つよくわからないのは、科学の流れはそういう方向だとしても、科学は人間がつくったものです。ですから科学者は、脳内イメージとして、自然法則の理解の仕方、あるいは、自然法則の記憶の断片を脳の中に仕舞い込んでいなければ、折角つくりあげた、そういった数式の意味すらも理解できないと思いますね。<br />
<br />
　では、数学とか何かを脳の中でどうやって理解しているのか。つまり、どのような脳内イメージをつくりあげているのか。これもなかなかの難問でしてね。脳は生き物で、非常にたくさんの神経細胞の集まりです。細胞は、ある意味で生物の最小単位ですね。生き物には、融通性があります。あることが起きた時、それに対応して、ある反応を細胞が起こす時、必ずしも１：１の正確な対応をしないで、いろいろな対応のゆらぎがある。生き物は何でもそうですね。対応にゆらぎのある細胞から構成される脳が、数学のように絶対に間違いのない論理思考をどうやって行えるか？というのは、なかなかの難問です。要するに、絶対に間違いのない論理的思考、つまり証明等の操作をどうして生き物の一部である脳ができるのだろうか？は、本当はよくわからないのです。僕は、それをちょっと気にしているのです。<br />
<br />
　脳の中で、数をどう扱っているか？という研究は、少しずつ増えてきていますが、それでも十分でないですね。いろいろわからないことが多くて。それやこれらで、「科学とは何ですか」に答えるのは、時期尚早だと思っているわけです（笑）。宣伝で「科学はおもしろいよ」といろいろ言う時、嘘をつくことは構わないけれども（笑）。極めて正直に答えると、答えるのが難しいと思います。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_4">抽象化されたものを一体、脳はどこでどのように処理するか</h2>
<p>
　そういうわけで、これから数をどうやって脳の中で扱っているか、もう少し本格的に勉強しようと思っているのです。その前にここ数年は、言葉をどうやって脳の中でつくりだしているか、調べていました。<br />
</p>
<p class="q">
―それはステップとして、言葉、数、数式・・・と抽象化しているのですか？<br />
</p>
<p>
　ステップになっているかどうかはわかりませんが、言葉の研究は非常にたくさんされているのですね。言葉を喋っている時は、脳のどこが働いているかも含めて、ものすごく沢山の研究があるのです。それはそれでおもしろいから、いろいろ読んで楽しんでいます。けれども、数をどうやって扱っているか？という研究は、わりと少なくて。ですから、これは比較的未知の分野で、もっとも難しいテーマだと思うのです。研究結果が少ないこともありますし、それから数の方が確かに、言葉よりも抽象化されているかもしれないですが、それをどうやって調べていくかは、難しい問題なのです。ですから、少し自分なりに調べようと思っているのです。<br />
</p>
<p class="q">
―数をやろうと思うのは、次に数式をやりたいからですか？<br />
</p>
<p>
　そうですね、脳が数式をどうやって扱っているかですね。最初に数の概念や数の操作を。例えば、１，２，３，４という数が脳のどこにどんな形で記憶されているかは、ある程度はわかっているのですよ。そして、２×３等の操作をやる時、脳のどこが働いているかも、ある程度はわかっているのです。けれども、もう少し難しい数式、例えば、Xが入ったような数式があるでしょう？「3X=1ならXはいくらですか？」というような一次方程式をどのように処理しているかは、まだわかっていないのです。<br />
<br />
　最終的には、ニュートンの運動法則やアインシュタインの相対性理論の法則など、みんな式で書かれているでしょう？そういう抽象化されたものを、脳のどこで一体どうやって処理しているかが問題なのです。本当はそこまでわからないと、科学とは何かを答えるのは難しいと僕は思っています。<br />
<br />
　多くの科学者は、自然現象は自然の法則に従って行われていて、これは人間がいようといまいと無関係だと思っています。それぞれの人の頭の中の働きとは無関係に、自然法則に従って、ものごとは移り変わっていると思っている人が多い。僕も大体はそうだと思います。しかし、それを物理学や何かに、一つの結果として書き残す時には、科学者の頭の中で自然法則のイメージを何らかの形でつくって理解していると思うのです。それは自分でつくるというよりも、自然現象をたくさん眺めてできた、もしくは偉大な科学者がつくった脳内イメージを写したものかもしれない。<br />
<br />
　けれども、それらの成果を全ての人が学習すれば共有できるというのは、同じ脳内イメージを、全ての人がつくりあげられるような脳内過程がなければいけない。そうでなければ、誰もが理解できるサイエンスとしては、おかしいと思うのです。それは言葉と同じで、親が喋っているのを聞いた時、あるいは、まわりの人が喋っていることを聞いた時、子どもがそれを理解するために、同じ言葉を喋れるような脳機能を獲得するというのかな、共通の脳内イメージをつくれなければいけないわけです。<br />
<br />
　科学もそういう風になっていないと、おかしいんですね。自然法則は外にあって、脳とは無関係だと言われても、全然構わないのですけど。どうやって脳内イメージがつくりあげられるかを理解しないと、片手落ちだと思っているのです。これが、なかなかの難問でしてね。まず言葉について調べて、それから、ゆっくり数学について調べようかと思っていました。機能的MRIなど脳内画像を使った実験が少し出ていますから、ある程度は議論できるとは思っているのですけどね。<br />
<br />
　「科学とは何ですか」という話を、普通の人が相手なら、もっと簡単に答えると思うのですけどね。けれども良く考えると、気になることが多いもので。多少、心の中の働きと結びつけて考えざるを得ないと思っていますけど。<br />
<br />
　うーん・・・。科学者で、特に理論物理学者と言うのかな。晩年、まぁ、暇になったためと言うのかな、心の科学に関心を持っている人は、欧米の科学者には結構多いですね。やっぱり、そういうことは気になっておられるのですかね。<br />
</p>
<p class="q">
―現役の時は、あまり問題にしなかったけど、そもそもと考えると、やはりそこを問題にしなければ本当のことはわからない、と思うようになるものですか？<br />
</p>
<p>
　そうなるんでしょうね。まぁ、忙しいときは、それどころじゃないですけど（笑）そうなるみたいですね、相当数の人が。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_5">細胞レベルで見ると、人間も猿もネズミも、たぶん火星人も同じ</h2>
<p class="q">
―科学をしている私そのものを一歩引いて見て、私が科学をする仕組みを理解していなければ片手落ちといった感じなのでしょうか。もしかすると武田さんの意図とは全く違うかもしれませんが、もし人間以外の宇宙人が科学をすると、宇宙人の脳内イメージは人間と違うでしょうか？<br />
</p>
<p>
　サイエンスに対しては、人間だけではなくて、猿もネズミも他の動物も、理解の抽象化の程度は違うけれど、たぶん同じように理解していると僕は思いますけどね。だから、火星人が来ようが誰が来ようが、同じ世界に住んでいる限り、同じ理解をするのではないでしょうかね。<br />
</p>
<p class="q">
―でも、猿を見ているのは、人間です。猿を見ている人間が抽象化した人間の脳内イメージを、人間は見ているのではないですか？<br />
</p>
<p>
　猿の実験はおもしろいですね。猿に聞けないものですから、猿がどう考えているか、なかなかの難問なのね。皆さん、ときどき気にしているのですよ。ある条件を与えると、猿がこういう行動をした、その時に猿の脳のどこがどういう活動をした、といったことを調べる、たくさんの実験があるわけですね。それを解釈するとき、人間が猿に代わって解釈するわけですから、人間の解釈を押しつけているのではないか、という意見は確かにあるのです。<br />
<br />
　けれども、猿に意見を聞くことはできませんが、例えば、猿全体の行動を見るのではなくて、猿が何かをしている時の、猿の脳のある部分の、神経細胞の電気的活動を調べるというような、細胞レベルの実験もあるのですね。人間の脳の細胞は、特殊な患者さんの場合しか調べられませんが、たまにそういうことも調べられています。<br />
<br />
　すると実験結果からは、細胞レベルでは、人間の脳と猿の脳は、あることに対する働きはあまり違わない、という風に見えるのね。そういった結果から、猿も人間も同じように、あることについて考えていると、多少飛躍して類推しても構わない気がするのですけどね。<br />
<br />
　まぁ、人間が猿に代わって解釈したのだから、人間の考えを押しつけている、という意見はいつもあるのですが。そんなことを言っていると、らちがあかないので（笑）。永久に話がつかないと思います。つまり、ある程度細胞レベルのことを調べると、人も猿もネズミも似たようなことをやっていると思いますね。これは、いろいろ細胞レベルの実験を見た人でないと、わからない感覚だと思います。生物進化の歴史で見ると、そんな違ったことをやるとは思えないですけれども。どうですかねぇ。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_6">言語と物理は似ている</h2>
<p>
　ただ、あまり難しいことを言うと、多少現実から離れてしまうので、だから、僕は言葉の問題を調べているのです。言葉は皆さんに身近な問題だし、言葉の科学も案外、科学の一種でして。<br />
<br />
　言語学者には、言語学を科学にしたい、特に物理学の真似をしてつくりあげたい、と考えている方が結構多いのです。現代言語学者で一番有名なチョムスキーというMITの先生も、彼の著書で「言語学を物理学のようにつくりたい」と宣言していますから。言葉の構成の仕方と、サイエンスの構成の仕方、特に物理学の構成の仕方は、ある意味で似ていると思っていましてね。<br />
</p>
<p class="q">
―どのあたりが似ているのですか？<br />
</p>
<p>
　例えば、言葉には発音記号に対応する「音素」というものがあります。音素を組み合わせて、単語をつくるでしょう？単語を組み合わせて、文をつくるでしょう？物質の世界ですと、素粒子を組み合わせて原子・分子をつくり、原子・分子を組み合わせて、マクロな物質をつくるでしょう？このように、言葉も物質の世界も、ある種の最小単位から、次の複雑なものをつくって、そこからもっと複雑なものをつくる。その構成の仕方は、類似のメカニズムですね。言葉の構成と物質世界の構成は、ある意味では非常によく似ています。<br />
<br />
　ですから、言葉を理解する脳の働きは、物質的世界を理解する場合と、働く対象は別ですが、ある意味で同じ脳の働き方を使っているのではないかと思うのです。一部の脳科学者は、言語の脳科学＝物理学だと思っていますから。<br />
</p>
<p class="q">
―なるほど。言葉と物理は似ているイメージがありませんでしたが、構成の仕方で見ると確かに似ていますね。その証拠に、そういうことをやる脳内過程も似ていたら、おもしろいですね。それくらい、似ているのですね。<br />
</p>
<p>
　ええ、似ていると思いますね。例えば発音記号は言葉によって違いますけれども、例えば英語で言うと、たぶん４０くらい発音記号があるのです。実際の言葉に含まれる音素は４０どころでなくて、もっとたくさんあると思います。けれども、どんな音素でも、ある程度４０に範抽化して分類しちゃうわけね。<br />
<br />
　これは、子どもが生まれてから６ヶ月～９カ月くらいの間に、自分の母国語の中に含まれる音素だけを理解し発声できるというように、脳が変わっていくのです。ですから、その間の途中の音素というものはなくて、４０のうちの「これだ」という風に、どんな音素でも決めてしまうのです。これを物質の世界で言うと、いくつか素粒子があるのですが、どんな物質の小さなかけらでも、どの素粒子かを割り当ててしまうのです。このように、事物は連続的に変化するものではなくて、ある程度限られた個数のどれかに割り当てる、といった脳内過程が働いているのです。<br />
<br />
　言葉が音素の集まりとして構成できるという認識の仕方と、物質が素粒子から構成できるという認識の仕方は、全く似ていましてね。そういうことをやる脳内過程も、類似なものだと思うのです。あらゆることに、類似性があるように見えますけども。まぁ、皆さんが賛成しているわけではないのですが、一番著名な言語学者が「言語学を物理学に真似てつくりたい」と言っているのですから（笑）、大丈夫だと思いますけどね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_7">抽象化されたイメージを、誰でも同じように脳内に描くことができるのか？</h2>
<p>
　なぜかは知らないですが、物理学ですと、前にお話したように積み上げ方式で、ある法則性が見つかると、それが全く駄目になることは、ほとんどないです。「こんな条件の時には必ずしも成立しない」と成立の条件が狭まることはありますが、ある程度、長期的に古典として生き延びて、その次の段階の基礎になっているのですね。化学は、ある程度物理を基礎にしていますから、類似だと思うのです。生物学もDNAレベルになると、やっぱり物理学と同じような積み上げ方式になっていますから。自然科学はそうなのですね。<br />
<br />
　一方、人文科学になると、例えば法律学ですと、ある法律学がずっと伝承されるわけでなく、社会が変わると全く違う法律になります。経済学ですと、全く相容れない経済学がありますね。Aという経済学がもてはやされる時もあれば、次は、急にBに変わるというように、一つのことが長期に伝承されることは、わりに少ないと思うのです。ですから、古典的に積み上げられた歴史的な遺産を相続し、その上に新たなものをつくり上げる過程は、自然科学特有かもしれないですね。よく自然科学者はそういうことを言うのですが、本当はそうなのかどうか、多少疑問がないわけでもないですが。<br />
</p>
<p class="q">
―どんな疑問があるのですか？<br />
</p>
<p>
　なんとなくね。要するに、「観察する個々の人間とは無関係に、自然現象を説明する法則がある」という前提に立って、ただそれを皆さんが学習すれば、共通の理解をして共通のイメージを脳内に持つ。だから、ニュートンの運動法則が頭の中にある、と言うのですかね。<br />
<br />
　そういった脳内イメージを物理学者、あるいは、物理を勉強した学生さんは持っているのです。ただ、一般の人が持っているかは、わかりませんが。けれども、「学習をすれば同じ脳内イメージをつくりあげる」と考えないと、理解できないですから。多少、本当にそうかな、という疑問はあるわけです。やっぱり、そういった抽象化されたイメージを、誰でも脳内に同じように描くことができるのか？という点で一抹の疑問があるから、何となくね。<br />
</p>
<p class="q">
―誰でも同じ脳内イメージを共有していると考えなければ成立しないけど、本当はどうかわからない、ということですか？<br />
</p>
<p>
　そうですね。どうしてそんな共通のイメージを持てるのかというのは、本当はわからないことですね。持たないと理解できないことなのですけど、本当にそんなことをできるのかは、ちょっとわからない。<br />
</p>
<p class="q">
―みな一緒だと思い込んでいるだけかも？<br />
</p>
<p>
　そうですね。科学者が共謀して嘘をついている可能性は、いつでもあるのでね。まぁ、ニュートンの運動法則なんかは、別なのですけど。<br />
<br />
　最近はね、宇宙全体のエネルギーの73％は「暗黒エネルギー」と言われています。つまり、星や何かの物質とは無関係な暗黒エネルギーが73％ある。23％は「暗黒物質」のエネルギー。これは暗くて見えないけども、物質なのですね。そしてたった4％が、目に見える、光っている物体によるエネルギーだ、という風になっているのですね。ここ数年の宇宙科学は。<br />
<br />
　急に変ったのですよ。暗黒エネルギーなんて概念は、10年前には存在しなかった。新しい観測が増えてきてますが、比較的少数の観測事実に基づいた論理的結論として、73%は暗黒エネルギーであるといわれています。そういうものを脳内イメージするのは、人によってできるけど、人によっては難しいですね。けれども、「暗黒エネルギー73％、暗黒物質によるエネルギー23％、普通の物質によるエネルギー4％」を学習して、脳内イメージをしなければいけないですね。<br />
<br />
　そんなことは、皆ができるのかどうか。もしかしたら、そういうイメージを持っている人たちが、共謀して嘘をついているかもしれない。そういう面が、科学にはいつでもあるのですね。要するに、理論的推測から、そう言っているわけです。<br />
<br />
　だから、そういう結論について宇宙科学者に「共謀して嘘をついているのではないですか？」と質問するでしょう？実際に、たまにしたことあるのですけど（笑）。「そうかもしれません」という返事を、たまにもらいますから。<br />
<br />
　つまりね、少数の事実に基づいた推論なのです。新しい科学の発見の場合はいつもそうなのですが、そう簡単に、共通のイメージを楽々と持てるわけではないのですが、ある人が言ったことにすぐ共鳴して、賛同する人もいるので。意図的ではないのですが、知らず知らずの間に、嘘に加担するという面があります。この頃のサイエンスは、特に宇宙科学の場合は、比較的少数の実験から、数式に基づく推論で答えを出すことをやっていますから。まぁ、場合によって嘘かもしれない。科学は、そういう面を持っていると思いますね。でも、ニュートン物理学のように、ほとんどありとあらゆるものに成り立つことが確かめられているものはいいのですが。そうじゃないものは相当多いですから。</p>
<br />
<h2 id="p1_8">人の頭の中に認知されるまでには時間がかかる</h2>
<p class="q">
―では、いつから成り立つと言えるのでしょうか？<br />
</p>
<p>
　特に、新しいことを最初に発見した人の言うことは、大ざっぱなことを言うと、多くの場合は、信用されないですね。発見者本人がいつもそう言っていますから。そして、別の実験でその発見をサポートする結果が出た時、多少の時間をおいて次第に賛同する人が増えて、最終的には指数関数的に、一気に賛同者が増える場合が多いですね。けれども「ある新しい事柄が確立した時期はいつか？」に答えるのは、なかなか難しいですね。<br />
<br />
　例えば、素粒子の「統一理論」というのがあるのですよ。これは、素粒子物理のあらゆることを結構うまく説明する理論なのですが、それをつくった３人の人はノーベル賞をもらったんですがね。アメリカ人が２人、あとはパキスタンの人です。（※）<br />
</p>
<p style="font-size:x-small">
※1979年ノーベル物理学賞「電磁相互作用と弱い相互作用の統一理論への貢献、特に中性カレントの予想」（スティーヴン・ワインバーグ、アブドゥス・サラム、シェルドン・グラショウ）<br />
</p>
<p>
　その理論が出されてから、その理論に基づいて、非常に多くの仕事が出されました。そしてほとんどの場合に、理論的な結論と、いろいろな実験結果が、よく合うという事実がだんだん蓄積されてきたのです。<br />
<br />
　じゃあ、何時頃にその理論が実証されたか？というのは、例えば、ノーベル物理学賞がいつ与えられたかを見るとわかるのですが。ああいった素粒子のほとんどすべてを説明する理論は、本当に正しければすぐに授賞対象になるのですけど、いつ認知されたというのがなかなかの問題でしてね。
例えば、僕の身近な経験ですと、1975年くらいかな。僕は仙台にいたのですけど、スウェーデンのノーベル賞委員の先生が来て、芋煮会に連れて行きました。それで、来年のノーベル賞は誰にするのかとか、雑談していたのですけど。その人は「統一理論は大体正しいと思うけど、まだはっきりしていない」という判断をしていましたね。<br />
<br />
　1976年に東京で初めて素粒子物理の一番大きな国際会議を開いた時、僕は組織委員長をしていたのですが、その統一理論をつくった人たちも来られたのです。そこで当人に「ノーベル賞はいつもらえるの？」と聞いても、「わからない」と答えていました。その時点では本人も、100％自信があるわけではないのですね。<br />
<br />
　ですから、いつ？というのに答えるのは、だいたい難しいですね。つまり、多くの人の頭の中に、その理論が植えつけられても、相当多くのことを説明できるという実験的な証拠が揃っていなくては受け入れられない。科学の進歩とは、いつもそういうことで。全てのサイエンス上の発展は、どれ一つとって、本当に実証されたのか？というと、一抹の疑問は、すべてのことについて残るはずなのです。<br />
<br />
　けれども素粒子の統一理論を今は、ほとんど疑う人はいないですね、だから、やっぱり人の頭の中に認知されるまでには、時間がかかるというかな。この理論については、相当いろいろなことについて調べていますから、科学者が共謀して嘘をついている可能性は少ないですがね。ごく一般的に言うと、あらゆることについて、人間というのは案外、人の考え方に、知らず知らずの間に合わせることに巧みな動物ですから。他の動物もそうかもしれないけど。共謀して嘘をつく可能性は、けっこう多いのです。<br />
<br />
　それと、量子という概念を光について発見したドイツの科学者プランク（※）。当時はまだ、量子物理学ができていない頃に、量子が必要だということを示す、光の研究をした人がいます。<br />
</p>
<p style="font-size:x-small">
※マックス・プランク（1858-1947）：ドイツの物理学者で量子論の創始者の一人。「量子論の父」とも呼ばれている。1918年ノーベル物理学賞「エネルギー量子の発見による物理学の進展への貢献」。<br />
</p>
<p>
　プランクは「物理学における考え方の変化は多数決によって決まる」というようなことを言っていました。多数決と言っても、科学者の間のですよ。そういう面もあるのですね。<br />
</p>
<p class="q">
―科学者のコミュニティーの外から見ると、科学はすごく客観的に見えるけど、実際は科学者のコミュニティーの中で、より多くの人と脳内イメージが共有されたかで決まるということですね。<br />
</p>
<p>
　そうですね。「最終的には選択されたものが正しい」かどうかは、「相当なチェックを受けた後に確立される」と言った方が良いのでしょうけど。少なくとも、あることが発見された後の数年間は、多数決によって決まっている。そう言っているのですね、プランクは。<br />
<br />
　ですから、自然科学がつくりあげられる時は、社会科学と同じなのですよ。多数決によって、ある程度、興味の対象として、認知を受けるというプロセスがあるのです。ただ、科学者の一部に言わせると、自然科学と他の科学の違いは、たった一つのある法則が発見された時、たった一つの法則に合わない事象が見つかっただけで、その法則は駄目になるという、チェック機能が（自然科学には）働く。<br />
<br />
　一方、自然科学以外の学問では、多数のことが何となく説明できて、たった一つのことがうまくいかなかったとしても、その考え方を放棄する理由にはならない。自然科学はチェック機能が強い、と強調される方もいますね。まぁ、それはそうかもしれません。<br />
<br />
　ですから、物理学者なんかは、他の学問分野の人に比べて気の変わり方が早い、と言うのですかね。たった一つのことが起こると、「あぁ駄目だった」と諦める。一方、他の心理学者や法学者だと、そんなことは実際になくて。たった一つのことで否定されても、それはone of themで、どうってことはないというのですか。チェック機能が自然科学を正常にしている、と強調される方もいまして、それはそうかもしれないですけど。でも僕は、あまりそういうことを強調するのは好きではないですね。<br />
<br />
　むしろ自然科学の方が、経済学や何かよりも、おもしろいと僕は思うのですけど。なぜ僕がおもしろいと思うかはわかりませんが。なぜおもしろいか？という脳内過程を調べた方が、良いと思いますけどもね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_9">極めて抽象化されたものは潜在的に人間の興味を惹くのかもしれない</h2>
<p class="q">
―それ、おもしろそうですね（笑）<br />
</p>
<p>
　心の中に報酬をもらうと活性化する報酬システムって、あるんですね。何か良いことがあると、それに対して強く反応するネットワークがあるのです。それで自然科学である考え方が成功すれば、ある意味の報酬ですから、報酬系が働いていると思うのです。<br />
<br />
　この頃、脳科学でよくやっているのは、被験者に賭けをさせて、非常に儲かった時には、報酬系のどこがどういう風に働いているか、儲けの量に応じて働き方が大きくなるかどうか、ということを調べる経済脳科学というものがあるのですよ。自然科学について、そんな実験はやっていないのですが。自然科学をやって、ある程度うまく行った時に、報酬系がどういう風に働くかを調べると、案外大きいと思うのですけど。これもやってみないとわからないですね。<br />
</p>
<p class="q">
―イメージで言いますけど、お金儲けるのと、自然科学やっておもしろいのと、脳の働く場所が微妙に違いそうな気がしますが、どうでしょうか？<br />
</p>
<p>
　今のところ、そういう証拠はありませんけど。報酬系はほぼ同じ場所ですが、それが細分化されているかもしれませんが。どうなんでしょうかね。ちょっとわからないですけども。<br />
<br />
　「科学はおもしろい」と言う人が多いですね。特に高校生や若い人が、なぜ宇宙科学のことが好きかは、よくわからないのですが、非常に好きなのですね。宇宙の成り立ちは自分の生活とは直接関係ないのですが。そういう極めて抽象的で、身近なことでないことについて、なぜ若い人が、（一部かもしれないし、ある程度学習しているのでしょうが、）興味を持つかは本当は良くわかりません。<br />
<br />
　けれども、赤ん坊が最初に興味を持つのは言葉やなんかでして。４歳くらいまでに言葉を覚えて、わりに器用に喋るというのは、やっぱり、極めて関心があるはずなのですね。言葉と同じような構成の仕方をしている自然科学も、もしかしたら言葉と同じように、潜在的に、人間の興味を惹くものかもしれないですね。<br />
<br />
　そうでないと、どうして若い人が宇宙科学とか、ああいうことに興味を持つのか、本当はよくわからないですが。小柴君と二人で年１０回くらい基礎科学の教室を開いているのですが、宇宙科学の講演をある人に頼むと、わりと聞きに来る学生さんが多いですね。<br />
<br />
　どうしてか、ちょっとわからないですけど、何となく極めて抽象化されたものに対する関心というのは、何かあるのですかね。あるいは、逆にわかりやすいのかもしれないですけど。いろいろわからないことがたくさんありますね。<br />
</p>
<br />
<h2 id="p1_10">自分の心はわからないのが事実</h2>
<p class="q">
―今回、武田さんからお話伺っていて、武田さんは毎回、「こうだ」と言い切るのではなくて、これもこの前提ならこう言えるけど、その前提をよく理解していなければ、それは本当かどうかわからないと、毎回仰っているのが印象的でした。と言うのも、もはや昔の話になりますが、自分が中高生の頃は、「こういうものだ」と断定系で言われることが日頃多かったので、その分そういうものだろうという風に、固まったものとして、ずっと鵜呑みにする習慣があったのです。もちろん、そうしなければ知識として積み重ならない側面もあるのでしょうが、その一方で「だったら、これ以上疑問に思っても仕方ない」と、どこかで思い込んでいる部分が強くあったと思うのです。ですから、一つひとつのことは、よくよく考えてみれば、この前提がこう変わってしまえば、実はそうとは言い切れない可能性を常に含んでいる、という武田さんのお話を形にすることに価値を感じました。<br />
</p>
<p>
　そうですね。本当に、そうだと思うのですね。いつか、４，５年前かな。高校生相手に、「科学する心の働き」という講演を東京で３時間したのですよ。あとで高校生から「先生は正直だ」と言われましたね。ふふふ（笑）<br />
<br />
　僕はね、幸か不幸か、いろいろな偉い先生と会う折があって。結構、いろいろなノーベル賞を貰った科学者とつきあったことがあるのですけど、彼らは正直ですよ。第一線でやっている人は、やっぱり、いつも迷っていますよ。嘘か本当か。<br />
<br />
　だいたい、自分の心はわからないというのが、事実でして。脳の働きには、いろいろな調べ方があるのですが、脳が働くと、エネルギーを使うでしょう？
脳で使われるエネルギーの95％以上は、意識にのぼらない脳の働きに使われているのです。つまり、何を考えているかわかっている、意識にのぼっている脳の働きに使われるエネルギーは5％以下。さっきの宇宙のエネルギーと、似ているでしょう？（笑）自分が何を考えているか、本当はいろいろやっているわけですけど、95％はわかっていない。ですから、正直言って、自分が何を考えているか、わからないはずなんです。<br />
<br />
　ある脳科学者は、「脳の暗黒エネルギー」と言っているのですよ。暗黒エネルギーは95％以上、多分そうなのです。ですから案外、自分では意識しないし、意識にのぼらないけど、脳内にバックグラウンドミュージックがかかっているのですね。<br />
<br />
　科学者ですと、科学のことを無意識に考えているかもしれませんが、どんなバックグラウンドミュージックを奏でているかで、実際に何かやるときの脳の働きは、左右されていると思います。ですから、95％以上の「脳の暗黒エネルギー」の使い方を知らないと、心の働きはわからないわけです。つまり本当は、自分のことは、あまりよくわかっていないはずなのですよ。<br />
<br />
　物事をあまり断定的に、5％の部分を使って言うのは、嘘をつくのと変わらないかもしれません。わりと最近、ここ４，５年で、そういうことがわかってきて。でも、いろいろな脳科学者をテレビなんかで見ると、皆、嘘をついていて。まぁ、断定的に喋らないと、おもしろくないのかもしれないですけど。<br />
</p>
<p class="q">
―誠実に話す科学者ほど、「それで結局、何なのですか？」と言われがちですね。<br />
</p>
<p>
　それは、しょうがないですよね。一般の人が理解するのは難しいと思います。だいたい、すべての人が同じ内容の学習を受けることは、本当は間違っていて。いずれにしても、あまり難しい質問をされると、わからないですね（笑）。科学とは何か、考えたことがない。考えたことがないと言うと、おかしいのですけど。いろいろな人が科学とは何かを書いておられるから。<br />
<br />
　そうですねぇ、ハイゼンベルク（※）って、知っていますか？不確定性原理の発見者の。ハイゼンベルクが、いつだったかな、今から45年くらい前、仙台に来たことがあるのですよ。そこの松下会館（現在は東北大学百周年記念会館）で素粒子の統一理論の講演をするために。<br />
</p>
<p style="font-size:x-small">
※ヴェルナー・ハイゼンベルク（1901-1976）：ドイツの理論物理学者。行列力学と不確定性原理によって量子力学に絶大な貢献をした。1932年ノーベル物理学賞「量子力学の創始ならびにオルト、パラ水素の発見」<br />
</p>
<p>
　僕はその当時、東大にいましたが、「ハイゼンベルク先生を仙台に連れていってくれ」といわれ、先生と３泊４日くらいの二人旅をしました。その時、僕がびっくりしたのは、東北大の学生さんが多かったのでしょうね、松下会館の１階と２階が満杯で、2000人くらい聞きにこられた。素粒子の統一理論という、聞いてもおわかりにならないお話を、皆さん聞きに来た。これはえらいものだと思って。そのハイゼンベルク先生も、心の科学に興味を持っておられていましたね。歳とると皆さん、そうなるのですかね、何かに成功した先生ですと。<br />
<br />
　コンラート・ローレンツ（※）という、動物行動学者がドイツにおられて。ミュンヘン郊外の研究所に一度、友達と二人で、ローレンツ先生の研究所を見せてもらったことがありました。灰色ガン（鳥）のひなを、彼は生まれた時から育てて、一緒に湖水を泳いだりして。その鳥にとってローレンツ先生は自分の母親だという「刷り込み」という現象を確立して、ノーベル賞をもらった人です。<br />
</p>
<p style="font-size:x-small">
※コンラート・ローレンツ（1903-1989）：オーストリアの動物行動学者。刷り込みの研究者で、近代動物学を確立した人物の一人として知られる。1973年ノーベル生理学・医学賞「個体的および社会的行動様式の組織化と誘発に関する研究」<br />
</p>
<p>
　ローレンツ先生のところで夕飯をご馳走になって、いろいろ研究所を見せてもらって、僕はそんなに偉い人だという実感がなかったのですけど、その一週間後、ノーベル賞をもらうことが決まりました。そういう人と話していると、断定的なことは言わないですよ、確かに。一般の人たちに説明する時は、多少白黒はっきりさせないと、しょうがないですけどね。ですから、一般の人に科学とは何か、ということを質問されたら、もっと断定的に返事をしなければいけないのでしょうけど。今日は、専門家に質問されたみたいな気分です。<br />
</p>
<p class="q">
―とは言え、武田さんが一番リアルに感じていることに、一番伝える力があると思っています。それがたとえ断定系ではなくても、断定的に言い切れないことそのものが、武田さんのリアルに感じる科学とはそもそも何かをあらわしていることが、逆に伝わると思いました。<br />
</p>
<p>
　だいたい頭の中には、評価システムというのがありましてね。評価システムも、おもしろいものなのですよ。あることが起きた時、次にこういうことが起こるのは何十％かと、常に評価しているのです。あることが起こる可能性が、80％の時と40％の時で、評価している神経細胞の活動の度合いが違うのですよね。ですから、けっこう人間というのは、いろいろ関心があるものについては、意識にはのぼらないですけど、評価し続けているのです。評価しないと、進歩しないのです。<br />
<br />
　この評価システムには、評価が間違ったときの修正システムもありましてね。けっこう意識にはのぼらないですけど、なんか自動的にうまく学習するようなシステムにはなっているのですね、びっくりするくらい。<br />
</p>
<p class="q">
―それは、95％の「脳の暗黒エネルギー」の働きに入っているのですか？<br />
</p>
<p>
　そう、95％の中には、そういう働きも入っています。もちろん95％の中には、休息して何も考えていない時や、眠っている時に使われるエネルギーも入っていますけどね。それでも休憩中や睡眠中に、けっこう繰り返し学習していますね。びっくりする。ただし95%と言ったのは、本当は人によって違うかもしれない。そんなにたくさんの人を調べたわけではないですから。ちょっとよくわからないのですけど...<br />
<br />
　よくわからないことばっかりですね。<br />
</p>
<p style="text-align:center">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/takeda-san_500px.jpg" alt="" />
</p>
<p class="q">
―武田さん、本日はありがとうございました。<br />
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20110910-top.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910-top.jpg" width="600" height="400" class="mt-image-none" style="" /></span>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">名誉教授</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東京大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
            <pubDate>Wed, 12 Oct 2011 10:12:57 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>次の１００年にむけて決意新たに　東北大学理学部開講１００周年</title>
            <description><![CDATA[<h1>次の１００年にむけて決意新たに　東北大学理学部開講１００周年</h1>
<p class="date">2011年10月1日公開</p>

<p>
　東北大学理学部の前身、東北帝国大学理科大学の開講１００周年を記念した行事が先月、東北大学理学部や仙台市内のホテルで催された。記念行事には、大学と同窓会関係者、学生らが参加し、理学部ならびに同大の一層の発展を期した。
</p>
<br />
<h3>◆東北帝大学理科大学初代学長・小川教授の胸像除幕式</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910_06.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>小川正孝教授の胸像除幕式のようす＝東北大学理学部広場で</p>
</div>
<p>
　記念行事に先駆け、東北帝国大学理科大学初代学長で、同大第４代総長の小川正孝教授（１８６５～１９３０年）の胸像除幕式が、同大理学部広場で行われた。<br />
<br />
　旧財団法人東北大学研究教育振興財団（２０１０年３月解散）が寄贈した。胸像は青銅製で、宮城県出身の彫刻家・佐藤忠良さん（１９１２～２０１１年）の監修で、弟子の笹戸千津子さんが制作した。<br />
<br />
　小川教授は、新元素「ニッポニウム」の発見で脚光を浴びたが、追試が成功せず、その研究業績は忘れ去られていた。しかし、実はニッポニウムは４３番元素ではなく７５番元素のレニウムだったことが判明し、小川教授の新元素発見者としての名誉は回復した。<br />
<br />
　除幕式には、大学と同窓会関係者、学生ら約４０人が出席。財団元理事長の西澤潤一上智大特任教授が井上明久同大総長に目録を贈呈した後、理学部広場の化学棟近くに設置された胸像を関係者らが除幕した。<br />
<br />
　記念撮影をした後、同大の福村裕史理学部長が「小川教授の胸像をシンボルに今後も研究に邁進したい」と謝辞を述べ、次の１００年にむけての決意を新たにした。<br />
</p>
<br />
<h3>◆理学部開講１００周年記念行事</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910_13_.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>記念式典で祝辞を述べる福村裕史理学部長＝仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で</p>
</div>
<p>
　除幕式の後、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で、式典や講演会などの記念行事が開催された。式典では、福村理学部長から式辞があった後、磯田文雄文部科学省高等教育局長、井上同大総長、東京大学の山形俊男理学部長が祝辞を述べた。<br />
<br />
　あいさつにたった福村理学部長は、「自由な基礎科学の安定維持が難しい現状や東日本大震災による被害など、２１世紀における理学部の前途は厳しい。しかし、いかなる困難な状況であっても、最先端研究に没頭することでしか道は開けない。この難局を乗り越え、数百年の歴史をつくるべく努力していく」と述べた。<br />
<br />
　東北帝国大学理科大学は、東京、京都に次いで三番目の帝国大学として１９０７年に創設され、１９１１年９月から授業を開始した。初期は、数学・物理学・化学・地質学の４学科のほか、外国語や科学概論・哲学・倫理の共通学科も設けられた。<br />
</p>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910_17.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>花輪公雄前理学 部長による「東北大学理学部の百年の歴史を振り返る」</p>
</div>
<p>
　最先端研究こそが真の大学教育になると考える「研究第一主義」、入学を希望する優秀な人材を地域や性別の区別なく受け入れる「門戸開放」の伝統のもと、独創的な学術研究とともに人材育成に取り組み、知の拠点としての役割を果たしてきた。<br />
<br />
　同大の花輪公雄前理学部長は１００年の歴史を振り返り、「大学は知の継承・創出の拠点。引き続き研究と教育に邁進し、その結果として人類に貢献する。良き伝統を継承しつつ、改めるべきところは改めて、これからの１００年の歴史を刻みたい」と語った。<br />
</p>
<div class="rightPicture">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910_21.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>飯島澄男名城大学教授による講演会のようす</p>
</div>
<p>
　次いで、飯島澄男名城大学教授と鈴木厚人高エネルギー加速器研究機構長の両氏による講演会があった。飯島教授の「カーボンナノチューブ科学と応用」、鈴木機構長の「基礎科学と大学と社会」と題した講演に、大学と同窓会関係者、学生ら約２９０人が聞き入った。<br />
<br />
　講演会後は祝賀会もあった。同大の福村理学部長のあいさつに続き、財団元理事長の西澤潤一上智大特任教授、同大の武田暁元理学部長と櫻井英樹元理学部長、野家啓一東北大学理事・図書館長の祝辞が続いた。同大の田中正之元理学部長から乾杯のあいさつがあった後、大学と同窓会関係者らで開講１００周年の節目を祝って懇談した。
</p>

<br />
<h2>インタビュー</h2>
<p style="font-weight:600">
【問】「東北大学理学部のこれまでの100年、これからの100年をどう思いますか？」
</p>
<br />
<h3>◆何かの創造を目指して、常に前進し続けることは人間の運命<br />
／福村裕史さん（東北大学理学部長）</h3>

<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/hukumura-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>福村裕史さん（東北大学理学部長）</p>
</div>
<p>
　何かの創造を目指さなければ、人間の心の幸福が満たされることはない。常に前進し続けることが人間の運命。その基礎研究に従事するのが理学部の使命である。これまでの100年もこれからの100年も、そのような研究者や学生らの気持ちは恐らく変わらないだろう。ただし時代というものは、これまでの100年とこれからの100年で変わってくる。そのことは前進し続けながら考える必要があるだろう。<br class="c" />
</p>

<h3>◆難しいことも、実用性の可能性は絶えず逃してはならない<br />
／西澤潤一さん（上智大特任教授、元東北大学総長、旧財団法人東北大学研究教育振興財団理事長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/nishizawa-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>西澤潤一さん（上智大特任教授、元東北大学総長、旧財団法人東北大学研究教育振興財団理事長）</p>
</div>
<p>
　科学には、役に立つことと難しいことの、二つの面がある。難しいことは、すぐに役に立つことは無理でも、いずれ実用性はきちんと出てくる。しかし、そのことを知らずに中途半端で終わっている人たちが大勢いる。だから、難しいこともどんどん取り入れつつ、実用性の可能性は絶えず逃してはならない。<br class="c" />
</p>

<h3>◆まだ揺籃期（ようらんき）と見るべき<br />
／武田暁さん（元東北大学理学部長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/takeda-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>武田暁さん（元東北大学理学部長）</p>
</div>
<p>
　一言で言えば、まだ揺籃期（ようらんき）と思ったほうが良い。ハーバード大学など欧米の大きな大学は、創立から400年を過ぎている。これからの100年は、如何に世の中の雑事を避けて、自由な研究環境をつくるか。そのためには、理学部の人は考え方を変えなければいけないだろう。<br class="c" />
</p>

<h3>◆研究大学として世界をリードする大学に<br />
／櫻井英樹さん（元東北大学理学部長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/sakurai-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>櫻井英樹さん（元東北大学理学部長）</p>
</div>
<p>
　東京大学は「官僚を養成する大学」、京都大学は「学問をやる大学」と標榜する中、東北大学は「研究第一主義」を掲げる研究大学と標榜して、創立当時の先生方が多大なる努力をされた。その努力が実り、様々なところで大いなる成果をあげてきた。これからの100年は、その上に立ち、日本はもちろん世界をリードする大学として、ますますの発展を願っている。<br class="c" />
</p>

<h3>◆基礎学の伝統、今後も堅持して発展を<br />
／野家啓一さん（東北大学理事・図書館長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/noe-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>野家啓一さん（東北大学理事・図書館長）</p>
</div>
<p>
　東北大学は、どちらかと言えば工学部や医学部など実学が強い大学だが、理学部は基礎学の面で非常に大きな役割を果たしてきた。理学部には目先の利益にとらわれず基礎学を大事にする伝統、つまり、いつ役に立つかわからないようなことを無償の情熱を込めて研究する伝統がある。もちろん時代により研究のテーマは変わるが、真理の探求という目標は変わらない。その原点を忘れず、今後の発展を祈念している。<br class="c" />
</p>

<h3>◆科学の基礎をなす理学ますますしっかりと<br />
／田中正之さん（元東北大学理学部長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/tanaka-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>田中正之さん（元東北大学理学部長）</p>
</div>
<p>
　本来、理学とは理工系科学の基礎。東北大学は、工学や医学など実学が強い大学だが、理学が本来の存在感を高めることをしなければ、やはり応用の幅は狭くなる。資源のない日本は科学技術立国を標榜しているが、それしか日本の生きる道はない。その意味でも、理学部がますます立派な研究をし本来の役割を果たすことが、これからの100年も大切だ。<br class="c" />
</p>
<h3>◆基礎研究が非常に重要<br />
／飯島澄男さん（名城大学教授）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/iijima-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>飯島澄男さん（名城大学教授）</p>
</div>
<p>
　一言で言えば、基礎が非常に重要だ。今の日本ではあまりに短い期間で成果を問う。しかし基礎研究とは、10年、20年単位でじっくり問題を定め、それを解決するもの。「これが何になるのか？」といった出口思考ではなく、枠が全くない自由な中で、自分で考える。そのような基本が重要であり、まさに理学部はそれをやらなくてはいけない。<br />
　東北大学は歴史的にも自由な雰囲気の中で、例えば、本多光太郎先生は、非常に重要な物理もやると同時に、その出口で実際的な非常に強い電磁石をつくった。基本をしっかりやりつつ、その先に何かおもしろいことがあるかもしれない。しかし、それはあくまで量的な基礎研究を行った結果であって、初めからそれに向かってやるものではない。<br class="c" />
</p>
<br />
<h3>◆無我夢中になることが大切<br />
／鈴木厚人さん（高エネルギー加速器研究機構長）</h3>
<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:120px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/suzuki-san.jpg" alt=""  style="width:120px;" />
<p>鈴木厚人さん（高エネルギー加速器研究機構長）</p>
</div>
<p>
　無我夢中になることが大切。例えばサッカーボールに向かって無我夢中で突っ走るのと同様に、「これをやれば役に立つ」からではなく「とにかくこれはおもしろい、こういう研究をやりたい」と思ったら無我夢中になって突っ走る。東京から程々の距離がある仙台には、程良く必要な情報を得ながら、自分のやりたいことに猪突猛進できる良さがある。これからの１００年も、これまで同様に研究に邁進し成果を出してほしい。<br class="c" />
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20110910_17.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110910_17.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学理学部物理系同窓会 泉萩会</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">理学研究科</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">理学部</category>
            
            <pubDate>Sat, 01 Oct 2011 12:40:26 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>「たくましく生きる力」育む授業プラン、学校現場で試行開始／仙台市教委</title>
            <description><![CDATA[<h1>「たくましく生きる力」育む授業プラン、学校現場で試行開始／仙台市教委</h1>
<p class="date">2011年9月30日公開</p>

<p>
　時代の変化を受け止め未来を切り開いていく力を児童生徒に授業で身につけてもらおうと、仙台市教委が開発中の「たくましく生きる力育成プログラム」の試行が市内の小中学校で始まった。<br />
<br />
　同市教委は、２００９年１２月、企業経営者や学識経験者などからなる検討会議を設置。会議では、子どもたちの社会体験が減少する中、学力の土台となる人間関係や心の課題などが指摘された。<br />
<br />
　「幅広い見方・考え方」「人間関係を形成する力」「自分および他者と向き合う心・態度」といった、たくましく生きる力の素地となる知恵や態度の育成をねらいとした授業を検討し、教諭中心のチームがモデルプランを作成した。<br />
<br />
　今月から学校現場での試行を重ね、今年度末にプログラムの完成版を市内小中学校へ配布する方針。
</p>

<br />
<h2>立場を変えて考える授業　「我が子への手紙」</h2>

<div class="rightPicture" style="margin:0px 0px 0px 0px;">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110928_01.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>「たくましく生きる力」育成プログラムの授業実践のようす（仙台青陵中、２８日）</p>
</div>
<p>
　２８日は仙台青陵中で、新田由美子教諭が１年生の道徳の時間に、「我が子への手紙」と題して、立場を変えて考える授業を行った。<br />
<br />
　授業では、３人の子どもが親宛てに書いた３種類の手紙を読み、同じ中学生の持つ悩みについて考えた。「どうやったら優しい人になれるの？」「勉強が楽しいから部活はやめてもいいよね？」「お笑い芸人になりたいから勉強はしなくてもいいよね？」<br class="c" />
</p>

<div class="rightPicture" >
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110928_02.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>グループでの話し合いのようす</p>
</div>
<p>
　手紙の種類でグループに分かれた生徒らは、手紙を書いた子どもが親に何を伝えたかったかを考えた。<br />
<br />
　生徒らは「そもそも優しさとは何か、優しさとは自己満足とは違うのか」「勉強に集中したい気持ちはわかる」「何のために学ぶのか、確かに疑問に思う」などと熱心に話し合っていた。
<br class="c" /></p>
<div class="rightPicture" >
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110928_03.jpg" alt=""  style="width:200px;" />
<p>親の立場で子どもへの返事を書く生徒</p>
</div>
<p>
　次いで、生徒らは親の立場で子どもへの返事を書き、内容を発表した。<br />
<br />
　生徒らからは、「まだ自分では気づかぬ可能性を消してしまう恐れがあるから、勉強に専念するのはまだ早い」「嫌なことから逃げているだけではないか。誰でも苦しいことはある」といった発表があった。<br />
<br />
　新田教諭が「親の立場で考えると何がわかるか」と聞くと、生徒らは「子どもが誤った道に進まぬよう必死に考えた」「こんな質問は親でも答えるのが難しい」「子どもが伝えたいことを理解していないかもと不安に思った」などと感想を話した。<br />
<br />
　最後に新田教諭は「別の立場で考えてみると、いろいろな考え方ができる」とまとめた。
</p>
<br />
<h2>現場インタビュー</h2>
<h3>◆視点と目標を変え、自ら困難を乗り越える力を育む<br />
／新田由美子さん（仙台青陵中等教育学校　教諭）</h3>

<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:150px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_nitta-san-200px.jpg" alt=""  style="width:150px" />
<p>新田由美子さん（仙台青陵中等教育学校　教諭）</p>
</div>

<p class="q">
－普段の道徳とは、どのような点が異なるか？
</p>
<p>
　中身は同じだが、視点の置き方と、むかわせる目標が、普段の授業とは異なる。
</p>
<p class="q">
－教育現場から見て、視点と目標を変える意義を感じるか？また、それをどう考えるか？
</p>
<p>
　最近の傾向として、壁にぶつかっても乗り越える力がなかったり、逃げてしまう子どもが増えている。本プログラムは、視点と目標を変えることで、自ら壁を乗り越える力をつけるものであり、それは授業でもやっていくべきものだと考えている。
</p>
<p class="q">
－授業実践を終えての感想は？
</p>
<p>
　生徒たちが良い手紙を書いていたので感激した。もっと時間をかけて生徒の話を聞きたかった。子どもたちは本気で、例えば「優しさって何？」と考えていた。子どもはすごいと、改めて思った。
</p>

<br />

<h3>◆学校単位でなく全体として必要な取組み<br />
／渡辺尚人さん（仙台青陵中等教育学校　校長）</h3>

<div class="rightPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:150px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_watanabe-san_200px.jpg" alt=""  style="width:150px" />
<p>渡辺尚人さん（仙台青陵中等教育学校　校長）</p>
</div>
<p class="q">
－本プログラム導入の意義をどのように考えているか？
</p>
<p>
　最近の子どもたちの傾向として、自己肯定感が低く、人との関わりが苦手で閉じこもりがち、といった問題が日本全体で見られる。これらの壁を自ら乗り越え、自分の可能性を広げるために、このような取組みは学校単位だけでなく全体として必要だ。
</p>
<p class="q">
－授業実践を終えての感想は？
</p>
<p>
　生徒の心を引き出す教材を、如何に用意できるかが勝負どころ。今回の授業では「教材」と「教師と生徒のやり取り」がよかったので、「立場を変えてものごとを考える」本プランの目標を達成できたと思う。何よりその土台となる「生徒の学ぶ力」が、これまでの学習で育まれていた点が大きい。45分という短い時間だったが、教育のあり方にまで踏み込めた良い授業だった。
</p>

<br />
<h2>関連記事</h2>
<p>
<span style="font-weight:600;font-size:small">
※「たくましく生きる力」育成プログラム<br />
</span>
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110129.php">仙台市教育委員会の新しい教育の取組みについて聞く<br />
　：「たくましく生きる力」育成プログラム検討会議</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20100821.php">変化の激しい社会を「生きる力」育成プログラム作成へ／仙台市教委</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20091214.php">社会を生き抜く「応用力」育成へ検討会議設置／仙台市教委</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20100522.php">仙台市教育委員会教育長の青沼一民さんに聞く：教育って、そもそもなんだろう？</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20090624.php">仙台市教育長の荒井崇さんに聞く：「確かな学力育成プラン」って、そもそも何ですか?</a><br />
</p>
<p>
<span style="font-weight:600;font-size:small">
※仙台青陵中等教育学校<br />
</span>
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20090723.php">仙台青陵中等教育学校校長の渡辺尚人さんに聞く<br />
　：「土」作りからの発想で、知性・感性・意志のバランスが取れた人間の育成を目指す</a><br />
・<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20091110.php">開校７ヶ月の成果披露　仙台青陵中で開校記念式典</a>
</p>

<!--
<span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="article_20110928_01.jpg" src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110928_01.jpg" width="500" height="333" class="mt-image-none" style="" /></span>
-->
]]></description>
            <link>http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20110930.php</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">仙台市教育委員会</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">仙台青陵中等教育学校</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">教育って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">仙台市教育委員会</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">仙台青陵中</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">校長</category>
            
            <pubDate>Fri, 30 Sep 2011 10:39:32 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>歴史的発明から先端技術まで体験　東北大通研で一般公開　10月8‐9日</title>
            <description><![CDATA[<h1>歴史的発明から先端技術まで体験　東北大通研で一般公開　１０月８・９日</h1>
<p class="date">2011年9月29日公開</p>

<div class="rightPicture" style="margin:20px 0px 0px 0px; width:180px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110815.gif" alt=""  style="width:180px;" />
<p>今年の東北大学通研一般公開は、１０月８、９日に行われる</p>
</div>
<p>
　東北大学の電気通信研究所（仙台市青葉区片平２－１－１）は１０月８、９の両日、研究施設や研究成果を一般公開する。午前１０時から午後５時まで。入場無料。小学生から大人まで楽しめる。<br />
<br />
　現在も電子レンジに必ず使われているマグネトロンや、テレビやラジオの受信に欠かせないアンテナ、ビデオテープやハードディスクの開発につながった世界初の磁気記録方式、光通信や半導体素子など、数々の歴史的発明品を世に送り出してきた同研究所。<br />
<br />
　一般公開では、これら歴史的発明品の展示とともに、高速光通信やインタラクティブコンテンツなどの最先端技術を体験できる公開実験も行われる。<br />
<br />
　約３０ある研究室・施設も公開され、小中学生でも理解できるよう、研究者や学生が最先端研究をわかりやすく紹介する。工作教室では、毎年好評の電池不要のラジオ製作のほか、太陽電池で動くソーラーカー製作や囲碁パズル遊びなどもある。<br />
<br />
　なお、今年度は「片平まつり」も同日開催され、金属材料研究所や加齢医学研究所など、同研究所のほかに７つの附置研究所も一般公開される。詳しくは、<a href="http://www.riec.tohoku.ac.jp/koukai/" target="_blank">東北大通研一般公開ホームページ</a>、または東北大「<a href="http://www.katahira-f.tohoku.ac.jp/" target="_blank">片平まつり</a>」ホームページを。<br />
</p>

<div class="leftPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:280px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110815_01.jpg" alt=""  style="width:280px;" />
<p>発明当時のマグネトロンの試作品</p>
</div>
<div class="leftPicture" style="margin:10px 0px 0px 0px; width:280px">
<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110815_02.jpg" alt=""  style="width:280px;" />
<p>日本初の磁気記録研究に使われた録音機の再現装置</p>
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<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110815_03.jpg" alt=""  style="width:280px;" />
<p>仮想世界でインタラクションできる映像コンテンツを体験</p>
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<img src="http://shinbun.fan-miyagi.jp/images/article_20110815_04.jpg" alt=""  style="width:280px;" />
<p>電池不要のラジオをつくる工作教室のようす</p>
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【関連記事】<br />
<a href="http://shinbun.fan-miyagi.jp/article/article_20101010.php">歴史的発明から最先端研究まで体験　東北大通研で一般公開（2010年度・取材レポート）</a>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">科学って、そもそもなんだろう？</category>
            
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">東北大学</category>
            
                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#tag">電気通信研究所</category>
            
            <pubDate>Thu, 29 Sep 2011 07:00:00 +0900</pubDate>
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