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2017年 04月 25日 (火)

学生の新事業提案コンテスト、社会的視点の提案ふえる/第8回CVG東北

2013年2月8日公開


第8回CVG東北表彰式のようす=5日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)

 学生による新事業提案コンテスト「第8回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)東北」の表彰式が5日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)で開かれ、各賞あわせて8件が表彰された。高橋宏明実行委員長(東北経済連合会会長)は「東北の復興に必要なものは、若い活力による事業活動。東北を牽引する人材として成長して」と挨拶した。

 CVG東北は、起業家精神に富んだ人材を育てようと、東北地域の経済人などでつくる実行委員会が2005年から実施。今年は9の大学や短大などから41件の応募があった。震災復興や地域産業活性化に貢献したいという社会的視点からの提案が多くあった。


最優秀賞受賞グループによるプレゼンテーションのようす

 審査の結果、最優秀賞に八戸工業大学の中居秀太さんらによる「ブルーライト照射したセミドライりんごの商品開発」が選ばれた。青色LED等を使用してりんごの新たな加工食品をつくる提案で、具体的な分析をもとに最適な条件を求めた科学的な姿勢だけでなく、地元産業に貢献したいという熱意が高く評価された。中居さんらは3月7日に東京都内で開催される全国大会に、東北地区代表として出場する。

 このほか、東北経済産業局長賞などの特別賞2件、奨励賞2件、努力賞3件が入賞した。入賞者には表彰式で賞状と盾、賞金が授与された。表彰式後は企業経営者との交流パーティーも開かれた。入賞者は次の通り(Gはグループ受賞で氏名は代表者、敬称略)。

▽最優秀賞=ブルーライト照射したセミドライりんごの商品開発(八戸工業大学・中居秀太G)▽特別賞・東北経済産業局長賞=高齢者に身近な生活圏を自由に移動できる手段を提供する事業(東北大学大学院・瀧澤勇人)▽同・日刊工業新聞社賞=特別な1枚を特別な形で。伝えたい記憶、残したい記録。(山形県立米沢工業高等学校専攻科・鈴木里実G)▽奨励賞=「習い事、何かしてる?」「私?...食育!」~子ども達の習食活動~(宮城大学・今野築G)▽同=University Managers~地方大学のマネージャー~(東北大学・佐藤克唯毅)▽努力賞=視界モニターの活用による、中小小売業の業績改善支援事業(東北大学・石橋蓉子G)▽同=おいてみるんるん(東北大学・宇羽野郁也G)▽同=ぶらり旅~廃線を利用して地域活性化を!~(会津大学短期大学部・富樫有里沙G)

20130206_03.jpg 入賞者と関係者による集合写真


受賞者インタビュー

■「ブルーライト照射したセミドライりんごの商品開発」
/最優秀賞受賞グループ代表の中居秀太さん(八戸工業大学)


最優秀賞受賞グループ代表の中居秀太さん(八戸工業大学)

―受賞おめでとうございます。喜びの声を一言。

 非常に嬉しい。私たちが研究してきた新しい商品が、実際に広く普及すればいいなと願っている。

―本プランを提案しようと思ったのはなぜ?

 地元青森のりんごの品種「ジョナゴールド」は、色づきが良くないことから、「ふじ」と比べて低価格である。しかし、生食用だけでなく加工用にも適するため、新しい加工食品をつくることで付加価値を高めることができると思い、私たちが立ち上がった。

―本プランをつくる中で最も苦労した点は?

 本プランの特徴は、りんごの乾燥処理過程で波長の短いプルーライトを照射することで、りんごの各種栄養分を向上させた点にあるが、りんごをどのように加工するかに頭を悩ませた。今後は実験結果を基に、どんな実験条件でどの成分が向上するかをさらに追求する必要があると考えている。

―全国大会にむけて意気込みを一言。

 全国大会に出場する他大学チームはIT関係が多いが、私たちは唯一ものづくりに関するチーム。それを突破口に全国大会に臨みたい。

―中高生も含めた後輩たちへメッセージを。

 色々なことに興味を持って、自分が今まで経験してきた様々なことを基に、自分が何をしたいのかを貫くことが大切だと思う。

―ありがとうございました。


関係者インタビュー
Q.今年のCVG東北を踏まえ、中高生も含めた若い世代に期待することは?


■協力し合いながら高めていく姿勢、大切に
/実行委員長の高橋宏明さん(東北経済連合会 会長)


実行委員長の高橋宏明さん(東北経済連合会 会長)

 特に今年は、東日本大震災からの復興や地元産業の活性化に貢献したいという提案が多かった点が、最も印象的だった。また、グループによる提案も多く、いろいろな技術や知識を持つ人たちが集まって、総合的なものを高度につくっていく、コラボレーションをうまくやっていると感じた。
 (中高生も含めた若い世代へ)いろいろな分野があるが、特に科学の分野を勉強すること。そして、自分を高めていく気持ちを持って、皆がお互いに協力し合いながら、研究の度合いを高次なものにしていく姿勢を大切にしてほしい。


■社会の課題解決のために技術使う発想、頼もしい
/審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所 東北センター 所長)


審査委員長の原田晃さん(産業技術総合研究所 東北センター 所長)

 ITは現在の人間の技術として重要なポイントではあるが、ここ2年ほどの提案では、スマートフォンやSNSなどの普及に伴い、これらITをどう駆使するかを目的とする提案が多かった。もちろん今年の提案もITを利用する提案は多く見られたが、ITの利用自体が目的ではなく、それを何のために使うかという視点に立った提案が増えた。
 例えば、就職活動で地方は都市部の学生と比べて不利を感じた自身の経験から、後輩のためにその格差を是正しようとする提案や、仮設住宅の車を持たない高齢者が自由に移動できるよう、屋根付きの電動アシスト自転車を提供する提案など。誰かのために、特に、地元産業や社会的弱者のために、解決手段を考える中で技術を使おうという発想が増えた。これは今後の社会を考える上で大変良いことであり、頼もしく感じた。
 (中高生も含めた若い世代へ)いろいろ新しいことを考えることは大切だが、その時、基礎を勉強しながら考えていくことが重要。ぜひ一緒に科学を遊びながら学びましょう。


■工業の農業化、若い世代に考えてもらいたいテーマ
/主催者の佐野友昭さん(日刊工業新聞社 専務取締役)


主催者の佐野友昭さん(日刊工業新聞社 専務取締役)

 最優秀賞を受賞した「ブルーライト照射したセミドライりんごの商品開発」のように、ものづくりによって地元農産物の付加価値を高めようとする発想は良いと思う。農業の工業化は、特に東北で、これから若い世代にぜひ考えてもらいたいテーマだ。例えば福島県などでは、放射能対策の一つとして、植物工場が注目されている。若い発想で考えて実行したことが、最終的に、商品化されるなどの形になったら、素晴らしい。


■自分の足元の課題を解決する先に、循環社会
/実行委員の工藤治夫さん(宮城産業人クラブ会長)


実行委員の工藤治夫さん(宮城産業人クラブ会長)

 これから日本も地球全体も、資源循環社会に入らなければならない。今回のプランを見ると、競争による世界の支配という目線より、自分の足元に目線を向ければビジネスチャンスがあるという視点の受賞内容が多い。これはどうも今、循環社会に入りつつある流れではないか。
 循環社会は、動脈と静脈の役割に例えることができる。動脈産業は、化石資源に依存した大量生産・大量消費、いわゆる工業化して製品をどんどんつくり供給する。皆「競争」というと、お金の流れている動脈産業の方に目が向く。けれども人間の血液にも動脈と静脈があるように、お金の流れていない方向に目を向けると、これから静脈産業の方にお金が流れていく。それに若い人たちは気づいているかはわからないが、自分たちの足元の課題に目を向けていることは良いことだ。
 (中高生も含めた若い世代へ)循環社会とは、親子三代が同じ地域で幸せに生きれる社会のこと。自分のいる家庭でも学校でも地域でも良いが、困っていることはたくさんある。それを解決するためにどんなことができるか、考えていくことが一番大切だ。それが循環社会のきっかけをつくるだろう。


■思いを実行して人に説明する積み重ね
/山田尚義さん(東北経済産業局長)


山田尚義さん(東北経済産業局長)

 思いつきが、単なる思いつきで終わらず、それを文章にあらわして人に説明し、それが仕事として成立する形にできることは、大変なこと。それをできる人たちはすごいが、一日ではできないことだ。おそらく小さな頃から、積み重ねてきた結果だと思う。そして、その対象はどんなことでも良いはず。今日は、そのような人たちが大勢いることがわかって嬉しかった。
 (中高生も含めた若い世代へ)中高生の皆さんも、自分の中で何か思いついて、実際に思いついたものを実行し、何を実行したかを皆の前で説明することを積重ねることができれば、将来のビル・ゲイツになるかもしれない。


■新事業提案は、企業活動そのもの
/竹渕裕樹さん(みやぎ工業会 会長)


竹渕裕樹さん(みやぎ工業会 会長)

 企業として成立するかという観点で見れば厳しい点もあるが、何人かのチームで新しいものを考えたり、課題を見つけて克服しようとしたらビジネスになるという考え方は、いわゆる普通の会社が「お客様視点で物事を捉える」ことと同じ。課題、つまりニーズに対して、どんな解決策があり、それをどうやって展開していくか、その考え方は企業のマーケティング活動そのものだ。
 そのような意味では、プランをそのまま続けて企業になる場合もあるが、そうでない場合でも、その経験や考え方、チームで一つの提案まで実現したことは、社会に出た時の大きなアドバンテージ(優位性)になると思う。
 (中高生も含めた若い世代へ)今の世の中、暗い話ばかりで、若い人たちが夢を持てなくなっている。なぜかといえば、大人も夢を持てなくなっているから。目先のことで苦しいから、より弱いものに目が向いてしまうのではないか。やはり大人は、若い人に夢を見させてあげるよう努力しなければいけない。若い人は夢を追いかけて欲しい。夢を実現することが大切だ。

取材先: 日刊工業新聞社      (タグ: ,

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